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原発事故は人災だった、それでどうする

 国会の原発事故調査委員会は、福島の原発事故の調査結果を「人災だった」と総括したということだ。事故後の対応ばかりでなく、事故にいたる前に対策をしておけば防げたという予測を含んでいる。これで政府・東電側の責任が明確になるので、被災者の支援などにはプラスに生かされるのかもしれない。しかしそれだけでは終らない。

 あの福島原発事故を「人災」と位置づけたことを裏返すと、充分に安全策を講じておけば事故は起こらなかった、つまり悪かったのは人間で、原発自体は注意して扱えば安全と認めたことになる。これが公式見解なら、脱原発の思想は誤りということになるのだが、果たしてそうか。

 原子力村から追われて警鐘を鳴らしつづけていた人たちが危惧したのは、原発の本質的な危険性であり、人間の技術力に完全はなく、必ずいつか破綻するという警告だった。そしてその通りになったのが福島の原発事故だった。

 折しも関西の電力不足を救うためとして大飯の原発は発電を再開した。福島の教訓は生かしているから安全と判断したと野田政権は公式見解を出している。反対の声が首相官邸を取り巻いても、その方針を変える気配はない。めざす方向として明らかになったのは、原発依存の継続である。

 今ここで判断すべきは、電力のための核利用を是とするか非とするかということなのだ。核兵器もそうだが、原発を維持しようとすれば、膨大な核物質を製造・管理することになる。それらは自然界には存在しない不自然物質で、放出されれば地上の生物を絶滅させる威力を秘めている。正常に管理して燃料として消費したあとでさえ、万年の単位で隔離しなければならない危険な物質なのだ。

 そんなものを、他の方法でも可能な発電のために使うのはやめようというのが「脱原発」である。

人智を集めて安全管理すればいいという相対的な話ではない。想定外の事故や災害があったら取り返しようのない危険物からは、早く手を切ろうということなのだ。

 金曜日の夕方6時から首相官邸を囲む脱原発のデモは、先週は過去最大規模になった。きょうの金曜日はどうだろう。昨日の「第一木曜日の12時から、国会一周お散歩デモ」でも話題になったのだが、先週よりも下火になるようでは政府の公式見解に屈したことになる。再稼動が強行された今こそ、ますます盛り上がる国民の声を届けたい。私も初めてこの金曜デモに参加する。

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