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「ネトウヨ」という空想の産物

■「右傾化」という言葉の勘違い

 ネット上では、よく「ネトウヨ」とか「右傾化」という言葉を耳(目)にする。
 私もたまに保守的なブログ記事を書くと「ネトウヨ」とか「ネトサポ」とか言われることがあるのだが、どうも釈然としないものがある。
 私自身、「ネトウヨ」などという認識はまるでなくて、ごくごく普通のことを書いているという感覚しか持っていないので、「ネトウヨ」などと言われると「えっ?」と思うことがある。それはちょうど、平均身長の人間に対して「チビ」だとか「ノッポ」と言われているような感覚かもしれない。

 「ネトウヨ」という言葉は、単純に「右翼的な」という意味になるのだろうけれど、現代の日本に右翼的な思想を持った人などほとんどいないのではないかと思う。反面、左翼的な思想を持った人なら、ごまんといる。

 日本の場合、戦前は自由主義、戦中は右翼全体主義、戦後は左翼全体主義と変遷してきたので、どうしても左翼的な思想を持った人が多くなる。それ以前にも、大正デモクラシーから昭和初期にかけては大不況の影響も手伝ってかマルクス主義が流行したこともあり、思想自体が全体的に左に寄り過ぎているきらいがある。

 実際、戦後間もない頃は、「左翼でなければ人間ではない」というような風潮があり、左翼であることが進歩的とされ、左翼であることが知識人としての必須条件というような時代が本当にあったことはよく知られている。

■本当のシーソーを知らない子供達

 それゆえに、現代でも多くの日本人の思想は左寄りのまんまであり、彼らが言うところの「右傾化」というのは、単に思想的なアンバランスさが解消されつつある現象に過ぎないのではないかと思う。つまりは、「左傾化」した地点から見た姿でしかないということである。

 シーソーを例にすれば、これまでずっと大きく左側に傾いていたシーソーが、少し持ち上がって水平に近付いている現象をとらえているに過ぎない。シーソーが水平に近付いている状態であることを「右傾化」とは言わない。
 「右傾化」とは、シーソーの右側が下がっている状態のことを意味する。こんなことは公園で遊んでいる子供にでも解ることである。
 目の前にあるシーソーの左側が持ち上がり水平に近付いていく姿を見て、誰が「右に寄った」などと言うだろうか? 普通の子供なら、「見ろ、シーソーが水平に近付いているぞ」と言うはずだ。

 左側のシーソーに乗っている子供達は、シーソーが右側に下がった状態を経験したことがない(=上からシーソーの全体像を眺めたことがない)ため、水平になることをもって「右傾化」と思っているのかもしれない。
 シーソーが水平になること、または水平に近付いていくことは、ごく自然な姿であり、どちらか一方に下がったまんまの方が不自然でアンバランスな姿だと言える。ずっと左側が下がっている状態しか経験していないため、シーソーとはそういうもの(=左に傾いているもの)だと思い込んでしまっているのである。

 日本には、戦争をしたいなどと思っているような人は滅多にいない。いるのは戦争を回避したいと思っている人間だけであり、その戦争を回避するためには「武器を備える」か、それとも「無防備でいる」かという違いがあるだけである。

 ところが現代の日本では、前者がネトウヨと揶揄され、後者が普通の人になるという傾向がある。ちょうど、アメリカで言うところの拳銃を持つか持たないかという議論に近いと言えるのかもしれない。

 世界の子供達はシーソーが右側にも傾くものであることを知っているが、日本の多くの子供達は知らない。シーソーが右側が傾くことに拒絶反応を示す子供達、それが多くの日本人の姿であり、世界の非常識と言われる所以でもある。

 なお、ここで述べた「子供達」というのは比喩であり、本当の子供を意味しない。(念のため)

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