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守れ葛西臨海水族園。【第4章】国内外の名だたる建築家も業を煮やし立ち上がる!

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令和元年最後の本会議第四回定例会も無事に12月18日に終了をいたしました。本年10月消費税増税が実施され、三カ月続く景気動向指数の悪化幅は前回、5年前の増税後の4.8ポイントを上回って、東日本大震災があった2011年3月以来、8年7ケ月ぶりの大きさとなっています。このような状況の中、平成30年度決算において、未だ都債残高が約5兆円あるにも関わらず都が決算意見で述べた「一層の無駄を排除できた」とは判断できなかったことから一般会計、不祥事が相次いだ水道事業会計、突如として住宅経営本部を本年4月に設置されることとなった都営住宅会計、5,600億円の有償所管換を執行した中央卸売市場会計の4会計に反対を致しました。

本年またしても上程された第186号議案ほか3件の職員の給与の増額議案にも反対をいたしました。理由は、人事委員会の引き上げ勧告は、中小零細企業が多い我が国において、民間給与と公務員給与の差を増額調整する妥当性が極めて疑問視されるからです。また、同議案と連動し議員報酬・期末手当引き上げを防ぐための議員提出議案第10号を共同提案するも、「東京大改革」を掲げたはずの都民ファースト会派を中心に数の力で否決されましたことも非常に遺憾です。

 今回、知事鳴り物入りで目玉条例第215号議案「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」については、条例の中核概念である「ソーシャルファーム」の定義規定が置かれていないと同時に対象者の範囲を規定する概念も明示されていないこと、従前の雇用・就労支援政策と同条例による取組は重複するかどうかの調査検討とその情報提供もなされず、特定の事業者や法人を念頭に置いてないか、影響を受けていないかの確認・検証もなされていないことから「新たな福祉をうたった利益誘導になるのではないか」という都民の疑念を晴らすことは困難であり、あまりに拙速かつ安易な条例設置であることから反対を致しました。なお「ソーシャルファーム」及びその取り組み自体を批判や否定するものではないことを申し添えます。

【異例の満席となったシンポジウム】

※これまでの経緯は「守れ、葛西臨海水族園」(序章第1章第2章第3章)ご参照ください。

12月19日には、日本建築学会主催の「葛西臨海水族園の長寿命化を考える」シンポジウムが開催されました。私はどうしても15時から都庁での公務があったため中座せざるをえなかったことから開催1時間前に会場に駆けつけ、主催者の建築家の皆様から専門家のお立場からのお声を頂戴した次第です。
中でも、大変光栄なことに、現代の世界的日本人巨匠の建築家の先生方に直接おめもじしてお話をうかがえたことです。

▲右:槇文彦先生 真ん中:古谷誠章前日本建築学会会長


▲葛西臨海公園水族園を設計された谷口吉生先生

皆様口をそろえて

「葛西臨海水族園本館を残してください。よろしくお願いいたします。」

とおっしゃられ、谷口先生に深々と頭を下げられたことは、今年一番胸を突く出来事でありました。
基調講演の動画はこちらからご覧になれます
当日は、建築会館は続々と所属、関連する先生方が集まられていました。


忙しい建築家の先生方がこのように集まることはまれで、異例の満員御礼状態のことです。お姐が指摘した、パブコメの捏造?!が一目でわかるよう回廊には全文が掲示され皆様足を止めて読み込まれていました。

そして、槇先生の基調講演が始まると会場は静かな熱気に包まれたのでした。

【行政は痛みもなく連絡もせず文化的建築物を壊す】
1975年、槇先生ご自身が設計された沖縄国際海洋博・海洋生物園を事例にあげられた、恒久に使うことも念頭にいれて設計したも関わらずたった20年で壊されてしまったこと。
その際に行政サイドからは何も連絡がなかったことを厳しく指摘されました。会場からは、納得とも嘆きともとれぬため息が聞こえてきました。

現在葛西臨海水族園事業計画検討会の委員をつとめておいでの柳澤要先生は、事業計画が解体ありきで進められていること、そして、今の本館でも十分機能できること、そして本館を生かしながら今後運営していける一同納得の代替え案を明示。

古谷 誠章前会長(早稲田大学 創造理工学部 建築学科 教授)は
「建築はその場に建ち続けることで、人は記憶を辿ることができる
逆に、消え失せると同時に人々の記憶も断ち切られてしまう

わが国は震災や戦災で多くの記憶装置を失って来た。特に戦後の何もないもない国土に築かれた数々の素晴らしい建築が危機に瀕している
これ以上無闇とそれらを失いたくない


公共建築は、近年とみに大型化し、かつてのように珠玉の作品が生まれにくくなっている。全国に残る戦後のこのような稀有な建築作品をぜひ大切にしましょう」(古谷先生FBより引用
と強くうったえられました。おりしも人気ドラマ「同期のサクラ」の最終回。
主人公北野桜のいつもの定番セリフ「私には夢があります」。
そこで

「私たちが作った建物をみて未来の人たちが私たちが生きていたということを思い出してくれることです。私がいつもすばらしい建物をみて感動するように生きる希望や勇気をもってくれることです」

と、最後のシーンで締めくくりました。

「私たちが生きていたということを思い出してくれる」

この思いこそが設計者谷口先生の未来への贈り物、「愛」そのものではなかったのではなかったでしょうか?

当初プログラムにはなかったものの谷口先生はマイクを向けられ一言ご挨拶をされました。

「葛西臨海水族園を設計させていただいた谷口吉生です。
今日は年末の大変お忙しい中、また天気の悪い中、私の設計した水族園を守るためにおいでいただき、本当にありがとうございました。心からお礼申し上げます。

皆さんから色々とお話をしていただいたので、私が話すことはありませんけれども、一つだけ申し上げたいのは、水族園の計画には、本当にたくさんの方が関わっていらっしゃるということです。

今日は、もちろん一緒に設備設計をしていただいた森村事務所の村田さんもいらっしゃいますし、ご一緒に水族園を作った安部さん、福島アクアマリンの館長さんもいらっしゃいますし、そのお話にも出ていた、展示をやっていただいた伊藤隆道さん、いろいろな方がいらっしゃいます。それから最近ご連絡いただいたのですけれども、東京都設計者選定委員会の建物に関わっていらした東京都財務局の営繕の伊藤博夫さんという方がいらっしゃいます。彼はこの建物を東京都の管理側から参加していただきました。たまたま体を悪くしていてリハビリ中ということで、今日はいらっしゃいませんでしたけれども、大変ご親切なメールをいただいて、この建物を守らなくてはいけないとおっしゃっていただきました。

今日は建築のご専門の方が多いから、お分かりになると思いますけれども、一つの建築を作るには大変いろいろな方が関与しています。まず、工事関係に本当にたくさんの方がいらっしゃいました。そういう方達も私の心に残っています。特に葛西の場合は、お話にもありましたけれど、非常に厳しい軟弱地盤で、杭をたくさん打たなくてはならない。それと杭の横に力がかからないように周りを埋め立てる時には、スタイロフォームを埋め込むEPS工法により地盤を軽量化して盛り土を行なっています。それから、建設廃材が埋まっていましたから、メタンガスが発生します。それらいろいろなことを克服した。そういうことを考えると、絶対に壊せるはずがないと私は思います。

先ほども言いましたけれど、力が続く限りお手伝いさせていただきたいと思います。まず、私もだいぶ歳ですので、まず、自分の長寿命化を図らないと(笑)いけません。それから、最近水族園の中に参りましたら、かなり中が少しスラム化している状態にありました。

やはり私たちは、最初の作ったときに、みなさんの息がこもったそこにできる限り戻したいと、長寿命化の前に若返り化を図り、これも私に必要なもの(笑)でもございます。
そんなことで、本当にありがとうございました。心からお礼を最後に申し上げます。よろしくお願いします。」

時に、ユーモアを交えながらも世界的な日本人建築家としての矜持と、そして断固たる静かな意思をもって語られました。中には涙ぐむ先生方もいらっしゃったそうです。

【ぞくぞくと名だたる建築家が声をあげ始める】

「葛西臨海水族園本館を壊すということは、持続可能な社会づくりに反し近代建築文化財を冒とくするものだ」という、当たり前の思いはさざ波のように伝わり、2月提出された無視され続けていた小池知事への日本建築学会要望書に続いて、日本建家協会からも緊急要望が知事あてに12月17日に出されました。

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日本建築家協会要望書

そして12月20日には、イエール大、ハーバード大の先生方からも要望が寄せられ、直接小池百合子知事室に持ち込まれたのです。

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▲ハーバード大学院 森 俊子建築科教授

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▲イエール大学 Mr.Sunil Bald建築学准教授

国立競技場を壊された痛みは、関東大震災、東京大空襲、そして高度成長期による乱開発、都民不在の都市整備事業…
江戸と東京の風景も思い出も壊された日本人・東京人の痛みと重なり、今度は谷口先生設計の葛西臨海水族園本館か?!と痛みや悲しみから憤りに、そして今回のアクションへと昇華していったのであります。

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