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- 2019年12月23日 15:30
【105カ月目の浪江町はいま】大都会で叫んだ「3・11を忘れるな!」。浪江町「希望の牧場」の吉沢さんが渋谷109前で演説「五輪など俺達には関係ない!」
2/2【「260頭の『被曝牛』とともに闘う」】
「福島県双葉郡浪江町の『希望の牧場』です。私の牧場では、原発の放射能によって売れなくなった牛を今なお、飼い続けております。その数は若干、減りましたけれど260頭を超えております。国にとっては非常に邪魔な『放射能の被曝牛』。早く殺して全部片付けて終わりにしろと国の指示が出ておりますが、私は絶対に国の言いなりにはなりません。売れなくなった牛の世話を最後まで続け、放射能に被曝した牛とともに『原発の時代』を乗り越える。日本の未来のために残りの人生を賭けて闘っていこうと決意しました。この牛たちの寿命が尽きるまで世話を続けて参ります。この牛たちとともに日本が原発を乗り越える。未来社会のために」今も牧場には国内外からの見学者が後を絶たない。渋谷での街頭演説も150回に達した。吉沢さんは「原発に頼らない社会」を目指して見学者を受け入れ、語り続ける。
「私は浪江町の原発事故被害の話をしながら、全国を駆け巡っております。北海道から九州・沖縄。全国を巡りながら、学校に行って原発事故後の浪江町の話をしております。フランスにも行きました。インドにも話をしに行きました。来年2月には、中東ヨルダンに行って未来を担う高校生に浪江町の話をしてきたいと思います。日本で造る事が出来ない原発を世界に売り込む。とんでもない話です。福島第一原発事故の反省をしっかりするならば、日本における原発の建設や再稼働、ましてや輸出などとんでもない話ではないでしょうか。『原発』に頼らなくてもやっていける日本の未来のエネルギーとして、多くの国民の参加による再生可能エネルギーに変えていく事は可能だと思います。ドイツを見てください。チェルノブイリ原発事故を機に反対運動が続き、とうとう原発政策をやめるという展開を成し遂げました。皆さん、やれば出来ます。スイスでイタリアでドイツで。原発をやめる。それが世界の流れです。隣の韓国でも原発反対運動が盛り上がっています。日本のエネルギー政策のあり方を原発に頼らなくてもやって行かれるように、来年は皆で変えて行こうではないですか」

吉沢さんが切り盛りする牧場の一角には「取り返しのつかないものとわかった原発とサヨナラする」と書かれている。浪江町は原発立地地では無いため何ら〝恩恵〟も無く、放射能汚染による「町の破壊」だけが降りかかった。そしてそれは、東京も他人事では無いのだ=2019年8月撮影
【「東京も『明日は我が身』だ」】
「皆さん、『3・11』は終わってはいません。『3・11』はまだ続いております。日本の抱えた根本的な大問題として、あの『3・11』は忘れてはならないと思います。ああいった大地震や大津波、火山の噴火、そして今回起きました台風によるあちらこちらの大洪水、氾濫。もう、私たちの街に『絶対安全』そんな場所など無いんだ、そういう風に強く思わなければいけないと思います。『明日は我が身』です。明日は自分たちがそういう大災害に見舞われ、避難民となるかもしれない。そういう中に日本はいます」実際、今秋は台風19号が福島県をも襲い、郡山市や本宮市、いわき市など「10・12水害」によって今なお避難所生活を余儀なくされている人々がいる。形こそ違えど、これまで他人事だった自宅の損壊や避難所生活が我が事となった。福島県中通りでは「震災後、心のどこかで『浜通りの人々は原発避難で大変だなあ』と他人事のように感じていたが、今度は自分の番だった」という声を多く耳にする。それは日々、あふれんばかりの豊かさを食いつくしている東京も同じだ。スクランブル交差点を楽しそうに歩く人々を目覚めさせるかのように、吉沢さんは大声をはり続けた。
「他所事、他人事ではなく、もう日本全国至る所、震度7クラスの地震など珍しい事ではありません。熊本、大阪の大地震、北海道におけるブラックアウトの大地震。この東京だって、直下型の地震が目前に迫っているという風に言えると思います。皆さん、先日のNHKの番組を観たと思います。本当に、あの内容は衝撃的でした。日本の破滅、日本の破局。それが東京の直下型大地震で起こるんだという事を、NHKがドラマで伝えたんだと思います。考えなければなりません。『明日は我が身』。あの台風19号の大洪水、大氾濫を見れば、東京だって『絶対安全』なんて事にはならないと思います。もし富士山が噴火すれば、この東京だって行き詰ってしまうでしょう。あの時の15メートルの津波。あんなものはもう二度と来ないのか、そんな事はありません」
吉沢さんが浪江町から運転して来た宣伝カーには「棄畜、棄民忘れんぞ」、「原発一揆」と書かれている。そして「カウ・ゴジラ」の文字も。
「皆さん、映画『シン・ゴジラ』を観ましたか?あれは『3・11』の事を色濃く表しているのです。皆さん、ゴジラは核実験によって生まれました。私は浪江町で、原発事故によって拡散された放射能を浴びながら『カウ・ゴジラ』になったと考えています」
(了)
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



