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- 2019年12月23日 15:30
【105カ月目の浪江町はいま】大都会で叫んだ「3・11を忘れるな!」。浪江町「希望の牧場」の吉沢さんが渋谷109前で演説「五輪など俺達には関係ない!」
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牛飼いが大都会のど真ん中で叫んだ。眼前にはスクランブル交差点。背後には渋谷109。師走の渋谷駅前に「希望の牧場・ふくしま」代表理事の吉沢正巳さん(65)の言葉がこだました。めまいがするほどの人の波。節電ムードなどとっくの昔に忘れたと言わんばかりのライトアップ。福島第一原発は誰のための発電所だったのか。今日も電気を消費し尽くす大東京。五輪開催を来夏に控え、お祭りムードすら漂う渋谷で吉沢さんは何を訴えたかったのか。

「御通行中の皆さん。福島県双葉郡浪江町の『希望の牧場』です。私たちの福島県は『東北』です。『関東』ではありません。東北の福島県がこの東京の電力を支えているにもかかわらず、私たちは放射能差別の眼を向けられています。福島県の農産物が売れない。そういう差別は今なお根深く続いております。私たちは、東京オリンピックを心から喜べる状態ではありません。東京五輪を応援する気分にはなりません。オリンピックなんか勝手にやってください。オリンピックなんか東京の、大都会のエゴの極限の姿ではないだろうか。私たちには関係ない!」
そもそも、福島第一原発は誰が使う電力を生産していたのか。東京電力が首都圏で使う電力を作っていたのではないのか。福島県民が契約をしているのは東北電力。福島第一原発でつくられた電力は一切、使わなかった。しかし、原発事故で町を追われ、ふるさともコミュニティも奪われた。大都会で暮らす人々にその自覚はあるのだろうか。吉沢さんの怒りは頂点に達した。
「私たちの浪江町は、あの8年前の大震災によって地震で壊され、津波で流され、東京電力福島第一原発の大事故による放射能によって町中追い出され、もう戻る場所では無い。町の存続意義さえも今、崩れ落ちようとしております。子どもたちは戻って来ない。もはや町ではなく村のようです。私たちの無念さを今後もぜひ、この東京で話し続けていきたい。この渋谷は今日も、福島県の電力供給によって灯りがついています。福島県をいじめないでください。福島県を差別しないでください。福島県からの電力供給が無ければ、渋谷の街など成り立ちません。渋谷駅周辺の高層ビルを動かしているのも、全て電気ではありませんか。エレベーター、照明、暖房…。全部電気で動いています。その電気を今日も福島県が支えているという事を、どうか忘れないでください」
「原発が生み出した電気を使って来た皆の連帯責任だろ!原発が生み出した電力で便利な暮らしを送ってきたんじゃないか!この豊かな大都会は、福島県の電力供給によって今も成り立っているという事を忘れないでいただきたい!」
最後は怒鳴っていた。聖火リレーだオリンピックだと浮かれる陰で泣かされている人々の存在を忘れないで欲しいと訴え続けた。宣伝カーの脇にある喫煙所では、多くの人々が何も聞こえないという表情でタバコを吸っていた。


【福島が支える豊かな大都会】
競馬の「有馬記念」を2日後に控えた今月20日夜。吉沢さんは、スクランブル交差点を行き交う人の波に向かって語りかけた。初めは穏やかだった口調は徐々に激しくなり、叫ぶように言葉を発した。きらびやかな師走の大都会に怒りをぶつけるかのような姿だった。「御通行中の皆さん。福島県双葉郡浪江町の『希望の牧場』です。私たちの福島県は『東北』です。『関東』ではありません。東北の福島県がこの東京の電力を支えているにもかかわらず、私たちは放射能差別の眼を向けられています。福島県の農産物が売れない。そういう差別は今なお根深く続いております。私たちは、東京オリンピックを心から喜べる状態ではありません。東京五輪を応援する気分にはなりません。オリンピックなんか勝手にやってください。オリンピックなんか東京の、大都会のエゴの極限の姿ではないだろうか。私たちには関係ない!」
そもそも、福島第一原発は誰が使う電力を生産していたのか。東京電力が首都圏で使う電力を作っていたのではないのか。福島県民が契約をしているのは東北電力。福島第一原発でつくられた電力は一切、使わなかった。しかし、原発事故で町を追われ、ふるさともコミュニティも奪われた。大都会で暮らす人々にその自覚はあるのだろうか。吉沢さんの怒りは頂点に達した。
「私たちの浪江町は、あの8年前の大震災によって地震で壊され、津波で流され、東京電力福島第一原発の大事故による放射能によって町中追い出され、もう戻る場所では無い。町の存続意義さえも今、崩れ落ちようとしております。子どもたちは戻って来ない。もはや町ではなく村のようです。私たちの無念さを今後もぜひ、この東京で話し続けていきたい。この渋谷は今日も、福島県の電力供給によって灯りがついています。福島県をいじめないでください。福島県を差別しないでください。福島県からの電力供給が無ければ、渋谷の街など成り立ちません。渋谷駅周辺の高層ビルを動かしているのも、全て電気ではありませんか。エレベーター、照明、暖房…。全部電気で動いています。その電気を今日も福島県が支えているという事を、どうか忘れないでください」
「原発が生み出した電気を使って来た皆の連帯責任だろ!原発が生み出した電力で便利な暮らしを送ってきたんじゃないか!この豊かな大都会は、福島県の電力供給によって今も成り立っているという事を忘れないでいただきたい!」
最後は怒鳴っていた。聖火リレーだオリンピックだと浮かれる陰で泣かされている人々の存在を忘れないで欲しいと訴え続けた。宣伝カーの脇にある喫煙所では、多くの人々が何も聞こえないという表情でタバコを吸っていた。

スクランブル交差点を行き交う人々に向かって怒鳴るように訴え続けた吉沢さん。きらびやかな大都会を支えているのは誰なのか。福島第一原発の電力を使っていたのは誰なのか。忘れないで欲しい、と叫んだ
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



