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ファーウェイ、OPPO……2020年「中華スマホ」が日本を席巻する2つの理由 - 石川 温

 日本で人気のスマホといえばアップルのiPhone、そしてソニーのXperiaが続く。しかし数年後、日本人が持つスマホが中国メーカーに席巻されるかもしれない。

【写真】シャオミは5G対応の新型スマホ「Mi-9-Pro」を発表

 いま日本で最も売れている中国メーカーといえば、世界3位のシェアを誇るファーウェイ。しかし、昨年からアメリカのトランプ政権による制裁措置の影響で、ファーウェイは、アメリカ企業であるグーグルが提供するスマホ向けOSであるAndroidを自由に扱えないという制約が入った。

 現状では、日本で流通しているファーウェイ製のスマホへの影響はないが、今後はAndroid対応のスマホを出せない可能性が強い。ファーウェイでは、世界市場向けのスマホにおいては自社ブランドのOSを搭載しつつある。日本でも、自社ブランドのOSに切り替えるかは未定だ。


ドイツ家電見本市で講演するファーウェイのコンシューマー・ビジネス・グループのCEO、リチャード・ユー氏 ©AFLO

トランプ政権による制裁がむしろ追い風に

 いま、ファーウェイには逆風が吹いているように見えるが、事実は異なる。

 ファーウェイは今年、スマホの出荷台数がすでに全世界で2億台を突破している。さらにこの2億台突破を、昨年(2018年)に比べて2ヶ月も前倒して達成している。つまり、ファーウェイのスマホは、トランプ政権の措置によって認知度を上げ、むしろ世界的に人気が高まっているのだ。

 日本市場においても、今年SIMフリースマホ市場で、すでにファーウェイはシェア第1位。NTTドコモやKDDI、ソフトバンク向けの端末は、制裁措置の影響で発売日を延期せざるを得ないなど影響があったが、SIMフリー市場では堅調な成績を収めているのだ。

 ファーウェイが日本でも人気になっているのは、コストパフォーマンスの良さにある。

 日本メーカーのスマホと比べても、安価でありながらスペックが高い。特にカメラにおいては、iPhoneに先駆けて背面に2個、3個、4個と複数カメラを搭載。自社で開発したAIと組み合わせ、インスタ映えする写真が撮れるとあってSNS上の口コミで性能の良さが広まった。

 日本で勢力を拡大している中国メーカーはファーウェイだけではない。世界シェア第5位の「OPPO(オッポ)」というメーカーが日本に上陸したのは2018年1月のことだ。

 今年10月には、おサイフケータイや防水など日本仕様を搭載した「OPPO Reno A」を投入。価格も3万円台に抑えるなど、スペックの割に安価ということで人気に火がついた。

 さらにOPPOでは、CMキャラクターにタレントの指原莉乃さんを起用。大量にCMを投下することで、これまで無名であったブランドをなんとか認知させつつある。

 12月に入ってからも、世界第4位の「シャオミ」という中国メーカーが、日本に上陸し、スマホを販売しはじめた。シャオミは総合家電メーカーとして、スマホだけでなく、炊飯器も手掛けている。この炊飯器は、かつて三洋電機でIH炊飯器を作ったエンジニアが開発に携わっている。価格は約1万円と安価でありながら、炊きあがったご飯は日本人でも美味しいと感じられる炊飯器に仕上がっているというわけだ。

改正電気通信事業法が中国メーカーの商機に

 中国のスマホメーカーがこぞって日本市場の開拓に注力しているのは、今年10月に施行された改正電気通信事業法をチャンスと捉えているからだ。 

 改正電気通信事業法では、スマホの料金プランと端末代金を分離し、スマホの料金をわかりやすくする狙いがある。そのなかで「契約と端末代金をセットにする際、端末の値引きは上限2万円まで」という制限がついた。

 つまり、10万円以上するiPhoneやXperiaであっても、契約と紐付けられていれば、端末代金への値引きは「2万円まで」しか引けない。今後、スマホを買い換えようと思ったら「端末代が高い」と思うことだろう。そこに中国のスマホメーカーが商機を見出した。

 今回の改正電気通信事業法では、キャリアを解約する際の解除料が、従来は大手3社とも9500円が一般的だったのが、1000円に引き下げられている。また、「2年縛り」の料金プランについても規制が入った。

 これにより3大キャリアを解約して、SIMフリーの格安スマホデビューする人が増えると予想されている。その際、これまでのiPhoneやXperiaではなく、ファーウェイやOPPO、シャオミなどの「安くてスペックの高いスマホ」が選ばれやすくなると予想されるのだ。

5G市場を中国メーカーに奪われる

 もうひとつ、中国メーカーに追い風となりそうのが、日本では2020年春から始まる次世代通信規格「5G」だ。

 現在、4Gと呼ばれる通信サービスが大手3社で提供されているが、さらに来年春からは5Gという新しいサービスが追加される。5Gになることで、今まで以上に高速でありながら、スマホ向けの使い放題のネット接続サービスも提供される見込みだ。

 当然ながら、今持っている4G対応スマホを買い替えなければ、5Gサービスにはつながらない。5Gに対応したスマホはハイエンドモデルが中心となるため、当初は10万円以上するのが当たり前となりそう。総務省の改正電気通信事業法によって、値引きが規制されているため、5Gスマホであっても値引き上限は2万円となっている。

 この「2万円」という数字も、チャンスと捉えているのが中国メーカーだ。

 ある中国メーカー幹部は「我々は、すでに1000元(約1万5000円)で5Gスマホをつくる計画を進めている」と胸を張る。つまり、中国メーカー製の5Gスマホであれば、2万円の値引きをつけることで、実質無料で、5Gスマホをばらまくことも可能なのだ。

 11月より5Gサービスが始まっている中国では、すでに1000万近い5Gスマホユーザーがおり、「年内には2000万を超えるのではないか」(中国メーカー幹部)というほど5Gスマホが売れまくっている。

 中国市場向けに5Gスマホを大量生産すれば、それだけコストを下げることが可能だ。結果として、世界や日本を席巻する安価な5Gスマホが生まれることになる。

 日本では2020年春に5Gのスタートを設定したために、すでにサービスを開始している韓国やアメリカ、中国などから遅れを取っている。このままでは来年、日本で5Gが始まった途端に、すでに世界中でノウハウを積んでいる中国メーカー勢に市場を奪われてしまうかもしれない。

(石川 温/週刊文春デジタル)

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