記事
- 2019年12月21日 08:26
排除ではなく、居場所を。「アート×ホームレス=2020 and beyondの東京を考える」より
1/2
2020年は、オリンピックイヤー。オリンピック開催国では、多くの人々の来訪に合わせ、再開発が進みます。そのため、家賃や宿泊費の高騰、老朽化した建物の取り壊しなどで退去を迫られる人の増加などが起こります。また、路上や公園も「美化」という名目のもとホームレス状態の人々が街から締め出される傾向にあります。
2019年4月2日(火)に放映されたNHK「ハートネットTV」の「TOKYO“ホームレス” 第1回 明らかになる多様化の実態」においても、「1996年開催のアトランタ大会では、およそ1万人以上の路上生活者が逮捕されました。それは大きな社会問題となり、2012年のロンドン大会では、行政と民間の共同体が、住宅の斡旋など大規模な支援を実施。しかし一方で、再開発に伴い約1千人が強制退去となり、新たな路上生活者も生まれた」と指摘されています。
東京でも、新国立競技場建造に伴い都営霞ケ丘アパートが取り壊され、約120世帯が50年以上暮らした住まいからの立ち退きを余儀なくされました。
そんな中、オリンピックに向けて、東京はどうなるのだろう。いや、どうにかしていこう、それもアートの力を借りて! そんな前向きな空気に満ちた日英国際シンポジウム「東京を色とりどりのアイディアで埋めつくす!」が、2019年8月、東京工業大学で開かれました。イギリスから、アートの力によるホームレス問題解決を目指し活動するマット・ピーコック氏(With One Voiceディレクター)や、Beth Knowles氏(サルフォード大学研究員)を招き、東京からは稲葉剛氏(つくろい東京ファンド代表理事)、河西奈緒氏(ARCH共同代表)が登壇、活発な意見交換が繰り広げられました。
2019年夏のカウントでは、調査した都内8区だけで一晩に1,040名の人々が野宿状態にあることが確認されています。これは、東京都の昼間調査の値378名の約2.8倍にあたります(https://www.archomelessness.org/)。
またマンチェスターからは、「マスタードツリー」というNPOより「ホームレス憲章」(英語: / 日本語)に関する報告がなされました。
「マンチェスターのホームレス状態に終わりをもたらす」と題された同憲章は、市民、行政、慈善団体や企業など、立場を超えて協働を進めていくことが明記されています。同憲章作成にあたっては、支援団体やホームレス経験のある当事者だけでなく、マンチェスター市長や研究者、地元企業のCEOなどが参加して話し合いを重ねたと言います。また、実際に路上に出て、ホームレス経験のある人たちに「どういう憲章がいいと思うか?」「どのような価値が明記されることが大切だと思うか」と聞いて回ったそうです。
この「ホームレス憲章」を核として、様々な活動が立ち上がりましたが、その一つが「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」という芸術祭(※)におけるインスタレーション。アーティストやミュージシャンがホームレス状態の人たちとストリートで共に詩を創作するなど、この芸術祭は好評を博しました。
(※)・アートでホームレス問題に関心を向けることはできるか/英国の人気音楽ユニット「アンダーワールド」による挑戦
また、マンチェスター市も「アクション宣言」をし、「現在ホームレスの人々にしているサービスを今一度、ホームレスの人たちに実際に話を聞いて、サービスを見直す」ことを取り決めました。
2019年4月2日(火)に放映されたNHK「ハートネットTV」の「TOKYO“ホームレス” 第1回 明らかになる多様化の実態」においても、「1996年開催のアトランタ大会では、およそ1万人以上の路上生活者が逮捕されました。それは大きな社会問題となり、2012年のロンドン大会では、行政と民間の共同体が、住宅の斡旋など大規模な支援を実施。しかし一方で、再開発に伴い約1千人が強制退去となり、新たな路上生活者も生まれた」と指摘されています。
東京でも、新国立競技場建造に伴い都営霞ケ丘アパートが取り壊され、約120世帯が50年以上暮らした住まいからの立ち退きを余儀なくされました。
そんな中、オリンピックに向けて、東京はどうなるのだろう。いや、どうにかしていこう、それもアートの力を借りて! そんな前向きな空気に満ちた日英国際シンポジウム「東京を色とりどりのアイディアで埋めつくす!」が、2019年8月、東京工業大学で開かれました。イギリスから、アートの力によるホームレス問題解決を目指し活動するマット・ピーコック氏(With One Voiceディレクター)や、Beth Knowles氏(サルフォード大学研究員)を招き、東京からは稲葉剛氏(つくろい東京ファンド代表理事)、河西奈緒氏(ARCH共同代表)が登壇、活発な意見交換が繰り広げられました。
日英国際シンポジウム「東京を色とりどりのアイディアで埋めつくす!」
ARCHの「東京ストリートカウント」-深夜に有志が路上生活者の数を調査する
ARCHの名が知られるようになったきっかけは、「東京ストリートカウント」でしょう。2016年1月、東京で、市民参加型の深夜の路上ホームレス人口調査を始めたのです。都による「路上生活者概数調査」は昼間に行われており、ホームレスの人々がより可視化される夜間の人数が調べられていないことから、市民の力でホームレス問題の実態を明らかにしようという意図で開始されました。2019年夏のカウントでは、調査した都内8区だけで一晩に1,040名の人々が野宿状態にあることが確認されています。これは、東京都の昼間調査の値378名の約2.8倍にあたります(https://www.archomelessness.org/)。
日中と夜間の路上生活者の数には2.8倍の差がある (ARCH資料より)
2012年のロンドンオリンピックでは、ホームレス経験者のオペラ公演も
この日はまず、ロンドンの市民団体「With One Voice」ディレクターのマット・ピーコックさんが登壇。ホームレスとプロのアーティストの協働により年1回本格的なオペラ公演を行う団体『ストリート・ワイズ・オペラ(SWO)』を立ち上げた彼は、2012年のロンドンオリンピック時には、ロイヤルオペラハウスでオペラ公演を成功させ、大きな話題を呼びました。ホームレスセンターと連携し、音楽ワークショップを通じた自立支援を継続的に実践する活動の結果が実ったこのイベントにより、ホームレス問題へのアプローチが根本から問い直され、一人ひとりが内に持つ力を発揮することに価値をおく支援モデルへと変革が始まる契機となったとピーコック氏は語ります。またマンチェスターからは、「マスタードツリー」というNPOより「ホームレス憲章」(英語: / 日本語)に関する報告がなされました。
「マンチェスターのホームレス状態に終わりをもたらす」と題された同憲章は、市民、行政、慈善団体や企業など、立場を超えて協働を進めていくことが明記されています。同憲章作成にあたっては、支援団体やホームレス経験のある当事者だけでなく、マンチェスター市長や研究者、地元企業のCEOなどが参加して話し合いを重ねたと言います。また、実際に路上に出て、ホームレス経験のある人たちに「どういう憲章がいいと思うか?」「どのような価値が明記されることが大切だと思うか」と聞いて回ったそうです。
この「ホームレス憲章」を核として、様々な活動が立ち上がりましたが、その一つが「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」という芸術祭(※)におけるインスタレーション。アーティストやミュージシャンがホームレス状態の人たちとストリートで共に詩を創作するなど、この芸術祭は好評を博しました。
(※)・アートでホームレス問題に関心を向けることはできるか/英国の人気音楽ユニット「アンダーワールド」による挑戦
また、マンチェスター市も「アクション宣言」をし、「現在ホームレスの人々にしているサービスを今一度、ホームレスの人たちに実際に話を聞いて、サービスを見直す」ことを取り決めました。
- ビッグイシュー・オンライン
- ホームレスが売る雑誌「ビッグイシュー日本版」