政府が、昨日19日発表した全世代型社会保障改革の中間報告は、安倍首相が最重視した医療費負担増をめぐって外来受診時定額負担の導入などが見送られ、不発に終わった、と報じられています。次の衆院選をみている与党などが抵抗したため、とのこと。
安倍首相の総裁任期が残り2年を切り、求心力の低下もささやかれる、といわれています。そもそも、安倍首相は、この検討会議で、「新しい社会保障制度のあり方を大胆に構想する」と表明していましたが、その土台となる財源について、7月に消費税について「(10月の増税後)10年間ぐらい上げる必要はない」と言ってしまっていたので、自らはしごをはずしていたようなものではないでしょうか。
財源が確保できない中で、改革の範囲が限られるのは自明のことです。今回の中間報告のポイントは、
〇75歳以上の医療費の窓口負担を「原則1割」を、一定の所得がある人を対象に「2割」を新設する
〇紹介状なしで大病院を受診した患者に追加負担を求める制度を拡充する
〇パートの厚生年金加入を促進し、適用対象企業を現在の「501人以上」から、2022年10月に「101人以上」に、2024年に「51人以上」に引き上げる(中小企業などの抵抗で2段階になった)
〇現在は60~70歳の年金の受給開始年齢を75歳まで広げる
〇介護について、予防や健康づくりへの支援を強化する、などです。
これから団塊の世代が後期高齢者に向かい、社会保障費は増加し続けることは確実な中、今回の中間報告の内容は小粒で、全世代型にもなっていないと思います。このように小手先でやっているのでは、将来像がわからず、高齢者も子育て世代も不安なままなのではないでしょうか。
将来像を、必要な財源もともなって、公平な負担になるように提示する責任があると思います。受け取る私たちも、どれだけ負担をして、どのような社会保障を望むのか考えておくことが必要になります。ただ負担が増えることをいやがっていると、次の世代にどんどん借金を負わせていくことになってしまいます。来年度の当初予算案でも、社会保障費は、1.1兆円増加し、過去最大の35.8兆円にのぼっています。
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- 2019年12月20日 17:24