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「過熱したタイムライン」の怖さ――原発に言及して気づいたこと

 私はtwitterというツールの厄介さや恐ろしさについて、昨年の震災や幾つかの炎上案件を通してそれなり気をつけているつもりでした。でも、まだまだ甘かったというか、twitterの心の闇(棒読み)について、理解が足りなかったと思い知りました。

 気付いたきっかけは、以下のツイートです。

 いままで私は、原発についてtwitterで発言するのを避けていました。あまりにもたくさんの人が原発に問題意識を持ち、そのなかには最も穏健な人から最も過激な人まで混じっていることを思うにつけても、デリケートな話題にちがいないだろう、と気をつけていたからです。で、上記のツイートをポロッと書き込んでみたら……あれよあれよという間にリツイートされまくって、被言及されまくって、しばらくの間、私のタイムラインは*1原発タイムラインと化してしまいました。

 「うわぁ、こんなの俺のタイムラインじゃない!」

 原発にロクに言及したことのない私のツイートですら、お目こぼし無しなのですから、日頃から原発に言及しまくっている人のタイムラインは、原発即時廃止派であれ、原発順次廃止派であれ、たぶん凄い風景になっているんでしょう。もちろん原発に限らず、「あまりにもたくさんの人が関心を持っていて」「最も冷静なツイートから、最も感情的なツイートまでごちゃ混ぜで」「揮発性の高いツイート合戦を行っている」ようなトピックスでは同じことが起こっていそうです。そのようなtwitterの発熱地帯にベッタリへばりついている人のタイムラインは、そのトピックスにまつわるリツイート・賛同・反対・罵倒・共感といったものが滝のように流れていて、すごい熱気とハイテンションに包まれているのではないでしょうか。

 そんな、熱すぎるタイムラインに曝され続けている人間の、認知、思考、感情はどのような影響を受けるか想像してみると……よほど強い意志と判断力がなければ、熱気に呑まれてしまうのではないかと思うのです。そのようなタイムラインのなかにも、冷静な見解や、ためになるアイデアも混じってはいるでしょう。しかし、罵倒や共感といった強いエモーションを伴った発言も大量に流れてきて、しかも自分の発言やFavoriteがバンバンリツイートされているのを眺めていたら、気がおかしくなってくるというか、まともな議論に適した心理状態を維持できなくなるのではないでしょうか。少なくとも私だったら、お祭り騒ぎのような熱気にあてられて、議論どころではなくなってしまうと思います*2

「過熱したタイムライン」というリスク

 今まで私は、twitterのリスクというと、「酩酊している時やイラっとしている時に、勢いあまって失言してしまうリスク」「タイムラインが自分の願望だけに染まってしまうリスク」ばかり意識していました。ですが今回の件で、特定のトピックスでタイムラインを過熱させすぎるのも危ないと思いはじめました。

 もともとtwitterは、誰をfollowするかが自己選択なツールなので、タイムラインが自分色に染まるというか、自分の価値観・思想信条に偏りやすいツールです。でも、タイムラインのfollowersが偏っていたとしても、それを読む人が冷静で客観的な判断力を備えているうちは、さほど問題にはなりません。

 しかし、twitter上での参加人数と熱量が尋常ではないトピックスに関わっていると、単に情報が偏るだけでなく、圧倒的な質・量のリアクションやメンションに曝されてしまいます。エモーションの洪水というか、肯定や否定、罵倒や共感、そういったメンションがズラリと並んで、自分自身の発言も含めて繰り返しリツイートされていれば、だんだんテンションがおかしくなってくるのではないでしょうか。躁状態とまではいかなくても、少なくともそのトピックスについて冷静に判断しにくい気分的影響を、twitterから受けてしまうように思えるのです。これはもう、情動面では立派なリスクであり、コストです。

 そんな、人間のエモーションを揺さぶるような熱気の渦中に何週間も何ヶ月も留まり続けて、それでもなお、そのトピックスに対して冷静でいられるとしたら……その人はとても凄い人です。なかには、そういうドライアイスのような人もいるでしょう。でも、私も含めて大抵の人は、熱気にあてられ続けたら冷静さを失っていくのではないでしょうか。

 ということは、twitterでものすごい熱量を放っているようなトピックスには、むやみに言及せず、凝視し過ぎてもいけないのかもしれません。いや、「とにかく熱く語りたいんだ」「なんでもいいから燃え上がりたいんだ」という人なら、どんどん参加して構わないかもしれませんが、そのトピックスに対して真面目で冷静な判断力を働かせたい人にとっては、“触らぬtwitterに祟り無し”でしょう*3

 じっくり考え事をするにも、集中力を研ぎ澄ますにも、カーニバルの真ん中でやるよりは、静かな書斎でやったほうが効率的なはず。そうでなくても、みんなの熱気にあてられ過ぎればテンションが上がりすぎてしまったり、後で疲れてしまったりしやすいでしょう。テンションのコントロールが苦手な人や疲れやすい人にとっても、「過熱したタイムライン」は危険かもしれません。

 やっぱりtwitterって難しいなぁ。

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