
[東京 20日 ロイター] - 政府は20日、2020年度当初予算案を閣議決定した。消費税率引き上げに伴う税収増を全世代型社会保障制度の構築に振り向け、一般歳出総額は102兆6580億円と8年連続で過去最高を更新した。税収見通しは63兆5130億円で過去最高。新規国債発行は10年連続で減額する。
歳出総額は19年度当初比1兆2009億円の増額となった。社会保障の充実に国費約1兆2000億円を増やす。高等教育の無償化で4882億円増、幼児教育・保育の無償化で1878億円増。
政府の経済対策を実行するため、19年度補正予算に追加して、20年度当初予算では「臨時・特別の措置」で国費約1兆7788億円を計上した。国土強靭化に1兆1432億円を充てるほか、キャッシュレス・ポイント還元事業に2703億円、マイナンバーカードを活用した消費活性化に2478億円を充当する。東京オリンピック・パラリンピック後を見据え、個人消費や投資を下支えする。
高齢化に伴う社会保障関係費の伸びは4111億円と、薬価引き下げなどで歳出改革の目安とする5000億円以内に抑えた。社会保障費以外の経費も330億円の伸びにとどめた。
歳出の2割強を占める国債費は23兆3515億円で、前年度当初から1567億円減った。国債利払い費を算出する際の積算金利は過去最低の1.1%で据え置いた。地方交付税交付金等は、前年度比1758億円減の15兆8093億円とした。
20年度予算案は、臨時・特別の措置を除いても歳出総額が100兆8791億円となり、通常の一般会計予算としても初めて100兆円の大台を突破する。
歳入では、税収を63兆5130億円と過去最高額を想定した。消費税率引き上げに伴う税収増は2.4兆円と見込んでいる。税収とは別に、外為特会からの繰り入れなどで「その他収入」6兆5888億円を計上した。
税収やその他収入で財源を積み上げ、新規国債の発行額は32兆5562億円と、19年度当初から1043億円減額。当初予算ベースでは10年連続の減額となった。
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(和田崇彦 編集:青山敦子)