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小沢一郎元代表こそ「真の君子」、野田佳彦首相は勝栄二郎財務事務次官らの声しか聞かない「暴君」だ

◆漢字学者で立命館大学の白川静名誉教授の名著「字通」(平凡社刊)によると、「君子」の「君」という字は、「尹(いん)+口(サイ)」を組み合わせた文字で、「尹」は、「神杖を持つ聖者」を、「口」は、「祝詞を収める器」を表している。「君はもと神巫の称であった。のち祭政の権を兼ねて君王となり、古い氏族の時代には、その地域の統治者となった」という。「聖」という文字は、「耳+口+壬」を組み合わせた文字であり、『耳をそえた形に作り、聞の初文。神の声を聞きうる人をいう。口(サイ)は祝祷を収める器の形で、その神の声を聞きうる人をいう」「『論語、述而』に、孔子は「聖と仁との若きは、即ち吾豈敢てせんや』と述べており、聖は人間最高の理想態とされた」という。

朝日新聞のコラム「天声人語」ではないけれど、「神の声=人々の声」と受け止めてもよい。君子=立派な指導者は、国民の声を「神の声」として、耳を澄ませてよく聞くことができる。これに反して、暴君や独裁者は、「神の声」として国民の声を聞くことができない。

◆ならば、野田佳彦首相と小沢一郎元代表は、果たしてどちらが「君子」で、どちらが「暴君・独裁者」であろうか。

日ごろは、野田佳彦首相に甘い朝日新聞が、7月4日付け朝刊「社説」(オピニオン面=14面)で「反原発デモ音ではなく、声をきけ」という見出しをつけて、珍しく、以下のように厳しい苦言を呈している。

「関西電力・大飯原発の再稼働に、多くの人々が首相官邸前や原発周辺などに集まって反対の声を上げた。官邸前のデモについて野田首相は、『大きな音がしますね』と漏らしたという。賛否が分かれる問題では、どちらを選んでも反対の声は上がる。いちいち耳を傾けていたら物事を決めたり、進めたりできない。人々の声を音と表現する背景に、そうした意識があるなら、思い直してもらいたい。党派に属さず、これまでデモや集会に参加したこともない。参加者にはそんな普通の生活者が多い。幅広い層が瞬時に呼応して集まり、ゆるやかにつながる。米国や中東でも見られたネット時代ならではの現象だ。思いは真剣だ。2歳の子を抱いて福井県おおい町の反対行動に加わった滋賀県の女性(43)は『いてもたってもいられずに来ました』と話した。

日本ではなりを潜めていた大規模デモや集会が、福島第一原発の事故後に相次いでいる。それは、選挙を通じた間接民主主義が民意をきちんとくみとれない現実を映し出してもいる。『誰だって機動隊と向き合いたくなんかありません』と、官邸とおおい両方に行った大学生の女性(19)。『関西電力や首相と直接話す機会があれば、みんなそちらを選びます』大阪市と東京都の議会は、原発の是非を問う住民投票の条例案をあっさり否決した。

永田町では2大政党がともに再稼働を支える側にいる。そんななか、多くの人々が自分たちの意見が行き場を失わないよう、街頭に集まり、声をあげている。ルールを守れば、デモも集会も民主主義への大事な参加方式だ。それを、政治家や省庁が相変わらず『反対のための反対』としか見ないなら、政治や行政への不信は増幅されるだろう。原子力政策で国民的論議をめざす野田政権にとって、『音』ではすまない動きが今、目の前で起きている。むしろこの動きを、既存の政治回路ではとらえ切れない声を直接聴く仕組みづくりにつなげるべきである。反原発の側も、その動きを実際の政策の変化につなげる試みを強めてはどうだろう。『原発停止で電気料金があがっても、これくらいなら受け入れる』『節電をもっと進めるから、リスクの高い原発から廃炉に』といった話を、地域や集会などでもっと積み重ねる。その成果を束ねて、政府や電力会社に異論の声を届ける。そうしてこそ、声は、政策への影響力を高められる」

脱原発、再稼動反対を訴え、毎週金曜日夕に首相官邸前に集まる普通の市民が、毎回、毎回増え続けている。3月に始まったころは、わずか300人だったのが、6月22日は4万5000人、これが29日には、約20万人に膨れ上がったという。この声が、野田佳彦首相には、単なる「騒音」としか聞こえていなかった。野田佳彦首相が真剣に聞いているのは、財務省の勝栄二郎事務次官や大蔵省の高級官僚出身の藤井裕久元財務相(一旦引退していたが、鳩山由紀夫元首相の強い要請を受けて復帰、いまは大の裏切り者に変節して、民主党を滅亡に導いている)、原発所管の経済産業省の高級官僚らごく一部の者の言うことしか耳にしようとしていない。「君子=人々の声を神の声として耳を済まして聞く統治者」とは、到底言い難い。いまや「暴君、独裁者」の風体である。

◆これに対して、小沢一郎元代表は、国民の半数以上が「反消費増税」「反原発」の声を上げているのを敏感にとらえて、民主党を離党、新党を結党して、国民の声を現実の政治の場で実現しようとしている。まさに、紛れもなく「君子=人々の声を神の声として耳を済まして聞く統治者」なのである。

東京新聞の7月3日付け朝刊「特報面」(26〜27面)「こちら特報部」の「26面」に、「新党最後の闘い」という見出しつきで、私のコメントが掲載されたので、以下、参考に紹介しておこう。

「今回の新党への動きを、政治評論家の板垣英憲氏は『小沢氏の最後の闘い』と表現する。次の総選挙では政界再編が起き、中小政党が乱立するとみる。『根が保守という意味では自民党も組める。保守のまとまりで言えば、小沢さんを含めた方が安定する』と、当分は影響力が持続するとの見方だ。共同通信が先月二十六、二十七両日に行った世論調査で、『新党結成に期待』は15・9%だったが、『民主党の支持率と同じぐらい。これを低いとみるか、新党もつくっていない段階でこれだけの数字とみるか』とし、判断しかねるという。

『期待をしている人の中には、どうせなら民主党に残って、首相になってほしいという意見もある。党を立て直してほしいという願望が残っていることも関係しているのでは』とも」


東京新聞の7月3日付け朝刊「特報面」(27面)

また、7月5日付け「日刊ゲンダイ」の「3面」で「どこに正義があるかを伝えない大メディアの無責任」という見出しの記事のなかで、私の次のようなコメントが掲載されている。

「元毎日新聞記者で政治評論家の板垣英憲氏はこう言う。『大メディアは財源をひねり出せなかった以上、マニフェストを見直すのは当然と書いている。小沢氏のマニフェスト至上主義も見直せと言っていますが、3年前の総選挙の際、マニフェスト選挙を散々、煽ったのはメディアです。それを反故にしても構わないという論調は、明らかに矛盾しているが、それも小沢憎しからでしょう。政権公約を"守らなくていい"と認める無責任なメディアに今後、一体どんな選挙報道ができるのか。候補者の公約をいくら報じたところで、国民は『守られない公約をメディアはなぜ報道するのか』と不信に思うだけです。政党政治だけでなく、マスコミも瀕死の瀬戸際です』」


7月5日付け「日刊ゲンダイ」の「3面」

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