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実は「延長戦」である 速報・英国総選挙2019(下)

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▲写真 ジョー・スウィンソン前議員 出典:Flickr; David Spender

ここで再び、得票率の話を。

EU残留派の自民党とスコットランド国民党、それに再度の国民投票実施を公約としていた労働党の得票率を合計すると、47.1パーセントとなり、保守党の43.6パーセントを上回っている。(上)(中)で、今次の総選挙の結果は、ブレグジットを実行すると公約した保守党の勝利と言うよりは、残留派の票をとりこぼしたり、戦略的に議席に反映させることができなかった野党の自滅であると述べたのは、数字の裏付けがある話だったのだ。

私は、ブレグジット騒動の先行きが見通せなかったこの秋、

「五分五分よりもやや高い確率で〈離脱撤回・ジョンソン辞任〉になると思うが、そうならなかった場合は、ひとまず離脱して、比較的早い段階で〈再加盟〉の気運が盛り上がるのではないか」

との予測を開陳していた。

どういうことかと言うと、保守党は離脱後のEUとの関係について、1年以内にFTA(自由貿易協定)を締結する、と公約しているのだが、同時に、新たな貿易関係を構築するまでの移行期間(2020年末まで)については、現行のEUとの協定では2022年末まで延長することが可能であるにもかかわらず、延長しない、と断言している。

つまり、来年1月末に離脱を実行して、その後11ヶ月でFTAの交渉をまとめ上げねばならないわけだが、EUの関係者は口を揃えて、まず不可能だ、と語っているし、日米を含む各国のエコノミストも、大半が「まず無理だろう」としている。

FTA締結と簡単に言うが、個別具体的な貿易品目について、関税を免除するか減額するか、あるいは残すか、本当に当該国で生産されたものであることを、どのようにして保証するかといった交渉プロセスが必要なのだ。

2018年にEUとシンガポールとの間でFTAが発効したが、交渉開始は2014年であった。しかも、この4年という交渉期間は過去最短であって、メルスコール(南米関税同盟。ブラジル、アルゼンチンなどが加盟)との交渉など、驚くなかれ20年を費やしている。

要するに、来年の今頃は、またしても「合意なき離脱」の危機が再燃するわけで、言わばブレグジット騒動は「延長戦」に入っただけなのである。

▲写真 ブレグジット抗議者の旗 出典:Flickr; ChiralJon

もちろん、今や議会で単独過半数を握っているジョンソン政権は、柔軟に法案を修正して行くことも可能である。メイ前首相と同様に「優柔不断」だと非難はされるだろうが。

とどのつまり、ジョンソン首相が「合意なき離脱」を強行し、その混乱の結果、再加盟の動きが盛り上がるとしても、その「比較的早い時期」は、現行の議員の任期が切れる5年後になるという可能性が高く、かつ経済混乱の度合いによりけりだと言える。

そのまた一方では、これもすでに述べたことだが、ブレグジットが実行されると同時に、スコットランド独立問題や南北アイルランド統一問題が再燃するのも、火を見るよりも明らかだ。とりわけジョンソン首相によって切り捨てられた形となった、北アイルランドの諸派は、このまま黙ってはいまい(『まさかの北アイルランド切り捨て』を参照)。

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として。二度目は茶番として」

という言葉があるが、もしかして来年の今頃、ブレグジット騒動について、私も同じ事を言わなければならないのだろうか。

。全3回)

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