- 2019年12月20日 07:42
「人が連続殺人犯に惹かれるのは自分の悪を認識しているから」 映画『テッド・バンディ』監督が語る凶悪犯の魅力
2/2「連続殺人犯=社会にはまらない人間」は間違い

−−日本では知名度は高くないテッド・バンディですが、アメリカの人たちが抱くイメージはどんなものですか。
アメリカ人の多くは彼に魅了されます。我々の持っている連続殺人犯のステレオタイプをぶちこわす存在だからです。連続殺人犯というと、社会にはまらない人物をイメージしがちですが、テッドの事件から学べるのは、信頼できると思っている隣人でも恐ろしいことをなし得るということです。
−−テッド・バンディの事件が起きたのは1970年代です。現代アメリカの若い人たちにとってはどういう存在でしょうか

この映画を作ろうと決める前に、当時大学生だった20代の娘2人に電話してバンディのことを知っているか、聞いてみました。結果、2人とも「知らない」と答え、娘たちの友人もほぼ全員が彼の名前を知らないことがわかりました。
映画は被害者リズの視点から物語が綴られていますが、彼女の視点でテッド・バンディの事件を伝える意義を感じました。娘たちにとって学びがある映画になると。なりすまし行為による犯罪などが起こる今の時代、美しく魅力的だからといって簡単に人を信用してはいけない、盲目的に人を信じてはいけないというメッセージを、娘や皆さんの世代に向けて込めました。
Netflixの登場で映画制作の現場は変化したのか
−−今回、日本など複数の国を除いては、劇場公開でなくNetflixでの公開となります。普通の映画を作る際と異なっている点はありましたか。
いい質問ですね。スクリーンのサイズは制作時には考えません。観客にとってどれだけインパクトがあるのかを考えます、映画の300人、テレビの前の3人、スマホの前の1人というのはどれも一緒です。
私がドキュメンタリー映画を作り始めた25年前は、もちろんストリーミングサービスなどありませんでした。作品ができあがっても、配給権などの問題で上映できる場所は1~2箇所。多くの人には見せられませんでした。しかし、Netflixをはじめとするストリーミングの革命が起きたことで、国際的な観客、視聴層ができ、映像を届けられる人の数がものすごく増えました。
例えば今回の映画はNetflixでリリースされて最初の28日間で、7000万人が視聴したと聞いています。フィルムメーカーとしては、こんなにも多くの方に見てもらえるということは夢でもあり、とても魅力的なことです。
ただ、そのために諦めないといけないのは、劇場でひとつのコミュニティとして同じ作品を楽しむ体験です。私が映画作家になったのは、そういう体験が原点でした。しかし今では、映画館とは違った方向でのコミュニティ作りがされているのではないかと思っています。
Netflixであろうとテレビ局であろうと、制作費の規模は変わりません。ただ、世界中の視聴層に向けて仕事をすることができるというのは、我々にとっては素晴らしい機会なのです。

『テッド・バンディ』
12月20日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ他で全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©︎2018 Wicked Nevada,LLC



