記事

「街中うろついてるより、クラブのほうが安全」摘発された元クラブ経営者 金光氏に聞く

2/2

クラブには自浄作用がある

――今回の「Let's Dance」には、どういう期待をされていますか?

金光氏:一番は法改正ですね。これは「Let's Dance」というのはとにかく声を上げたということが一番大事です。また、こうした活動に、ものすごい反響があったことが、すごく嬉しかったですね。クラブ側から声を上げるということ自体が初めてで、今までなかったことなんですよ。

――今まで、こうした動きがなかったのは何故なんですか?

金光氏:「誰かが(声を)上げるやろ」と、日本人的な感じだったんじゃないですか?インターネットがなかった時代って、皆が何を思ってるかわからなかった。今だからこそ声が上がったんじゃないか。海外でもfacebook革命とか言われてるけど、時代背景もあったと思う。Twitterであれだけ拡散して、反響があるということを考えると、「インターネットは素晴らしい」と思いますね。

もちろんインターネットを利用して反対の意見も聞くんですが、それはごく一部ですね。やっぱほとんど署名運動に賛成します、手伝いますという声が多いですね。

――坂本龍一さんやいとうせいこうさんが「Let's Dance」の呼びかけ人になっていますが、その中にクラブ関係者の方があまりいないのが気になりました。あれは何故なんでしょう?

金光氏:クラブ関係者だけやったら「あなたたちの利害のための運動じゃないの」と言われるだろうと。それならクラブを利用していた人たちが立ち上げるのがスジだろうと思ったわけです。

クラブ関係者の顔が見えないという点においては、やっぱり関係者は警察の恣意的な報復捜査を怖がっています。だから、影で支えているけど顔を見せるのはめちゃくちゃビビってます。

――そういう意味では今まで報復捜査を恐れて何も言って来なかった経営者の人たちも、変わって行かなければいけないと。

金光氏:変わっていくと言っても生活もあることですからね。僕みたいに「踊らせる営業をしない」というのはすごく勇気のいることです。僕らはたまたまカフェ営業に特化してある程度やってきたからまだなんとかやれてますけど。

そしていま「SAVE THE NOON」という運動も起こってます。アーティストの応援があって、これは「NOON」を助けるというのが直接的なことですけど、アーティストの皆さんの意識としては「NOON」だけじゃなくクラブカルチャーを守りたいと。そこまで背負うんやったらアーティストに恩返しをするつもりでもオレらは前に出ていって活動せんとアカン。そういう責任感のもとに、僕はやってます。 僕は皆のために、アーティストの将来を考えると法改正に動くしかない。

――「NOON」の今後としては、踊らせる営業をしないということですが、ライブもやらないということですか。

金光氏:いやライブは、アコースティックライブはできますし、DJバーもできます。通路は1メートルから1.5メートルだと「通路」とみなされ、それ以上開くと「ダンスホール」になるらしいです。よくわからない。そういうところが曖昧なんですよ。

――基準の根拠がよくわからないということですね。

金光氏:だから僕は法の網目をかいくぐるのではなくて、僕らが調べたなりの風営法以外の経営をしっかりやっていきます。最近ではファッションショー的なこともやっています。そのファッションショーの主催者がちょうどそこにいるんですけど(笑)。彼らのイベントはかなり話題になってますよ。

――今後も、法改正に対する運動は続けられると。

金光氏:警察にも宣言しましたからね。「法改正するための活動家になるからな」と。警察も「やって、やって」と言ってました。

あとね、クラブには自浄作用があるってことを言っておきたい。1年ぐらいじゃどうにもならないですが、3年や5年経営したら、サマになってくるんですよ、同業者としては腹も立つんですが(笑)。

同業者でキャバクラなんかで結構儲けた奴が調子に乗ってクラブをやりよったんです。キンキラキンのやつ(笑)。営業開始当初は「なんや、あんなんやりやがって」と思ってましたよ。でも、何年か営業を続けてると、お客さんやDJが経営者に「こんな感じじゃダサいですよ、もっとこういうDJ呼んだり、こういうイベントやらなあきませんわ」とアドバイスしよるんです。

そうしたら経営者は「そうか、そっちのがカッコいいのか」思って、東京から有名なDJやアーティストの方を呼ぶんですよ。そうしたら、ワーッと客が入る。「今日めっちゃええやん、カッコよかったやん」と言われたり、呼ばれたアーティストがその経営者にクラブを語ったりするんですよ。

そうしたら、経営者が学ぶんです。「こういうことやったら、客って来るんやな」と。もともとキャバクラやってた奴なんやから「ゲスいことやっとけや」と僕は思うんですけど(笑)。さらに調子に乗って本とか書きよるんですよ。「クラブカルチャーとは」とか言い出しとるんです。でも、そうやって、どんどん良くなるんですよ(笑)。

――良くならなかったところは潰れていくと。

金光氏:クラブってね、やっていけばカッコいいことが至上になってくるんです。5年やったら大概そうなる。いかがわしいことで儲けようと思ってたところは潰れていくんです。ほとんどのお客さんやクラバーからそっぽ向かれて、経営が成り立たなくなって潰れるんです。同業者はだいたいネットワークを持っていますし。だから、「クラブって自浄作用あんねんな」と思ってます。

――自浄作用があるから、クラブカルチャーというものに偏見を持たないでほしいと。

金光氏:これからは、クラブ経営者側もパラダイムシフトしないとアカンし、価値観はもう変わってる、認識も変わってる。クラブ自体も成熟して、状況も変わってんねん。「クラブはアンダーグラウンドなもの」からオーバーグラウンドなものになっていってる。実際は街中うろついてるより、クラブのほうが安全ですよ。

――本日は、ありがとうございました。

プロフィール:金光 正年
元クラブNOON経営者。20数年前より関西のクラブシーンに関わり続ける。18年前にクラブ「DAWN」を開業し、8年前「NOON」にリニューアル。数々の有名アーティストに愛されるクラブに育て上げた。今回の摘発により行政処分を受け、経営から退くことになった。

あわせて読みたい

「風営法」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「自民党は嫌いでも、投票するのは自民党」立憲民主党が自民党に勝てない最大の理由

    御田寺圭

    09月23日 08:07

  2. 2

    「レジ袋の有料化」と「レジ袋の減少化」が生んだ本末転倒な事態

    自由人

    09月22日 22:07

  3. 3

    専門家の感染者数予想はなぜ実数とかけ離れてしまうのか

    中村ゆきつぐ

    09月23日 10:26

  4. 4

    NHK党・立花孝志氏 へずまりゅう擁立も「二度と信頼しない」と支持者が続々離脱

    女性自身

    09月23日 10:32

  5. 5

    河野氏は論戦巧者 他の候補者3人がほぼ無防備な年金問題に手を付けたのは上手い

    ヒロ

    09月23日 10:39

  6. 6

    菅さんの水面下での仕事の成果が今になって出て来たようだ

    早川忠孝

    09月22日 15:52

  7. 7

    横浜市長就任後も疑惑について説明しない山中竹春氏 ウソと恫喝の追及は続く

    郷原信郎

    09月22日 10:56

  8. 8

    賃上げ・労働分配率向上策は、河野氏の法人税減税よりも高市氏の人材育成投資が有効

    赤池 まさあき

    09月22日 09:04

  9. 9

    華々しい総裁選の裏で…隠蔽体質の政府与党・自民党の闇はまったく変わっていない

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    09月23日 08:32

  10. 10

    アメリカの輸入規制撤廃に福島から喜びの声 「菅首相の置き土産?」指摘も

    BLOGOS編集部

    09月22日 16:26

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。