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横浜IRの再考を望む

 少子高齢化の先にある人口減少社会が目前に迫る中、日本政府は海外からの観光客、すなわち「インバウンド」の誘致に、民間事業者を巻き込みながら、必死に活動を展開してきた。クールジャパン戦略やオリパラの盛り上がりを手段として、2020年には訪日外国人数を年間4000万人、2030年には6000万人という目標を掲げ、今年は早くも3000万人を超える勢いである。

 いうまでもなく国内の需要喚起だけでは経済的インパクトは弱くなる一方であり、今後の経済力維持を目指そうとすれば、いきおい海外からのパワーに頼らざるを得ない。しかし最近その足を引っ張るのが、日韓関係の悪化である。稼ぎ頭であるはずの韓国からの個人旅行者はもとより、民間交流の事業も軒並みストップする始末である。4000万人目標達成に黄色信号が点り始めている。

そこで政府は強力な切り札として、カジノ施設をはじめ国際会議場、ホテル、展示場、劇場などを組み合わせた「統合型リゾート(IR)」開発に踏み出した。関連法は既に成立しているが、一番問題だったのがカジノによるギャンブル依存の増加の懸念だった。日本人の入場回数を制限したり、一回で賭ける金額を制限したりして、そのような懸念を払拭しようと智慧を絞っている。

さらに問題なのはIRによる周辺の環境悪化である。様々な規制を設けたとしても、これを払拭することはなかなか容易ではないと思う。候補地の一つとなっている大阪では、2025年に夢洲(ゆめしま)という埋立地に万博を開催する予定であり、ここにIRを造る計画だ。ここは「人里から離れた」場所にあり、管理・監督も十分に行いやすいので、適地と判断されている。

 一方、同様に候補地とされている横浜の山下埠頭はどうかというと、「人里離れた」とは言いにくい場所だ。加えて横浜港は、早くも幕末から需要な外港として開かれ、山下公園や赤煉瓦倉庫群、外国人墓地や山手教会など、洗練された文化遺産や素晴らしい景観に恵まれた土地として人気が高い。これらの目と鼻の先にカジノが出来る未来を想像したくないのは、横浜市民だけではないはずだ。因みに横浜市民の94%がIR建設に反対である。

 私はIR全てに反対しているわけではない。「人里離れた」場所で、ギャンブル依存や周囲の環境が適切にコントロールできるのであれば、国内数カ所に建設することは、経済活性化のためには必要と思う。しかし私たちが憧れ、大切にしたいと思うあの横浜港の目と鼻の先に造るとなると、話は別である。あの横浜を守るために私も行動したい。

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