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受験生ファースト

臨時国会が9日、閉幕しました。野党連携の最大の成果は、来年度から大学入試センター試験に代わり始まる「大学入学共通テスト」の構造的な欠陥を明らかにし、制度設計の見直しを実現できたことです。

まずは、英語の民間試験の導入が延期となりました。様々な問題点を内包していましたが、とりわけ、受験生が住む地域や家庭の経済力により有利不利の差が生じることが致命的でした。

教育の機会均等を実現する最高責任者である萩生田文科大臣の「身の丈」発言が端緒となり、受験生や保護者の不安が拡大しました。野党が共同して「民間英語試験導入延期法案」を提出したことも、政府与党を導入延期に追い込む一助になったと思います。

萩生田大臣は歴代文科大臣の話を聞くことも含めて、英語民間試験の活用を決めた経緯を検証すると明言しました。6団体(7種類)が民間試験導入に備えていましたが、某元文科大臣のご子息の結婚披露宴には、全ての団体の関係者が顔を揃えていたと仄聞しています。業者ファーストになってしまった経緯をしっかり検証すべきです。

先週に入り、国語と数学に導入される予定だった記述式問題の延期も発表されました。記述式については、採点者ごとのばらつきが出るといった採点の不透明さ、難解な問題の採点を専門性の欠如したアルバイトにさせることへの不安などの懸念がありました。

自己採点が困難になることにより、受験生は2次試験の出願に迷うことになったでしょう。採点作業は大学入試センターからベネッセの子会社に業務委託されることになっていましたが、ベネッセは記述式の対策本を用意していました。利益相反の疑いが濃厚です。百害あって一利なしです。

これまた野党共同で「記述式試験中止法案」を提出していましたが、記述式入試の中止を求める高校生4万人の署名提出が決定打となったと思います。

かつて東京、千葉、愛知、岐阜、三重、福井の6都県の高校入試において、学校間の格差をなくすために「学校群制度」という入試実施方法が用いられたことがあります。いずれも不評で全て廃止されました。千葉県では、1975~1977年に実施されました。

第1学校群(千葉、千葉女子、千葉東、千葉南、千葉市立)、第2学校群(船橋、船橋東、薬園台、市立船橋、市立習志野、八千代)、第3学校群(国府台、国分、鎌ヶ谷)とグループ分けがされました。各学校の希望者のうち、成績上位の者から、各学校の募集定員の20%(1976年からは30%)を優先的に希望校に配分。残りの合格者については、成績分布や男女比均等などを勘案して振り分けられました。

当初から反対の声も多かったのですが、受験生の不満と教育現場に無用の混乱をもたらしたため、わずか3年で廃止されました。私の弟たけひこ(息子と思い込んでいる人がいますが3歳差です)も学校群世代ですが、彼らは机上の空論のモルモットにされてしまい気の毒でした。改めて、入試制度は受験生ファーストが鉄則だと思います。

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