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「日本は貧乏」説に「でも日本は住みやすいし楽しいから充分」と反論するのはもうやめないとオレら後進国まっしぐらだぞ

日経新聞の「 『年収1400万円は低所得』人材流出、高まるリスク 安いニッポン(下)」という記事が登場し、12月16日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、OECD加盟国で日本だけが成長しておらず、サンフランシスコでは1400万円でも「低所得」扱い、という話をしていました。日本の家庭あたりの所得は500万円、とも説明していました。

厚労省によると給与は男性441万円、女性249万円。外国人が日本のダイソーで爆買いするのは、日本の方が安いからだそうです。これは嘆くべき話です。しかし、これに対してネットでは反発する人も一部います。それは以下のような論に表れています。

【1】日本で十分に楽しく生活できているんだからいいじゃないか
【2】お前達は家賃60万円、ランチに3000円かかるサンフランシスコに住みたいか?
【3】それでもGDP世界3位だろ
【4】こんなに安全な国はない
【5】税金・医療費も安いし、物価も安くて最高じゃないか

【3】については「お前達は何位になるまでそれを良しとするのだ」という危機感を持つべきだし、OECD加盟国の中ではアメリカ・メキシコに次ぐ人口3位。一応「先進国」扱いの中で人口が多いんだからGDP3位というのも驚くべき話ではない。問題は「一人当たりの生産性」についてなのです。

ここではまず【2】から考えるべきです。東京では1人暮らしで満足できる家だと家賃12万円、ランチが800円~1000円でしょう。地方では家賃6万円~8万円、ランチは700~900円とでもしましょうか。「家賃60万円、ランチ3000円のサンフランシスコなんて最悪だろ?」という発想ですが、それは「下から上を見ている」ことに他なりません。サンフランシスコの人間が、東京事務所に駐在して、サンフランシスコと同様の賃金を貰えるとしたら、松濤のマンションやら高級タワマンを借りる「上級国民」になるわけです。

普段、日本人のあまりカネ持っていない人々としか付き合っていないから、【2】のような発想になるんですよ。「彼らはこちらに余裕で来られるけど、オレらはサンフランシスコに行けない。それは悔しい」という発想になった方がいいんですよ。最低でも彼らは「世界のどこでも生きられる」という選択肢を持っている。

国の強さを表すのは通貨の価値ですが、私は1996年、1ドル=79円の時、アメリカ旅行をしました。いやはや、円の強さ、感じましたよ。だって学生街でまともな外食をしたら4ドルとか5ドルなわけで、すると320円~400円で腹いっぱいになるんですから。吉野家の牛丼が400円の時代ですから、アメリカの方が満足度は高かったです。ホテルに泊まろうにも60ドルのまともな部屋だったら4800円です。

こうした経験を経た上で2016年にイタリアに行ったら、ビール2本とパスタで4000円!ランチが4000円ですよ! しかし、周囲のイタリア人を含めた白人や中国人は平然とこれらを食べている。円の力が落ちたことと、日本国内の給与水準の低さを痛感し、「もうヨーロッパには来ない。惨めな気持ちになるだけ」と感じてしまいました。

【1】と【4】についてはセットで考えるべきですが、というかこれ、【2】と【3】も全部考え方としては同じだな。えぇい、すべてまとめてしまえ。【5】は詳しくないので述べない。

◆すべて、「日本買いがしやすくなる」ということに落ち着くのだ

この言葉がすべてです。バブル時代、日本が世界中でブランド品を買い漁ったり、企業の買収を仕掛けまくった時期がありました。あれは日本のあの時の富をもってすれば物価が安い国のものをいくらでも買えた、ということなんですよ。日本の若者も1990年代は東南アジア諸国で「安い安い!」と言いながら現地の人々を見下しながら若干お大尽プレイのようなことをしていました。

今、中国人や欧米の観光客、いや、タイ人だって日本で買い物を満喫しています。小売店で買う分にはいいですが、これがマンションの投機(これはもう充分中国人によって進んでいる)に始まり、土地、水源、企業の買収続出に繋がったらどうするか? 外国からやってきた金持ちに使い倒されるかつてのプランテーションの如き状況になってしまうのかもしれません。

恐らく「日本すごい!」でこの50年ほど来ていたけど、それはもう1995年ぐらいでやめるべき話だったんですよ。バブル崩壊から就職氷河期がやってきて、デフレは改善せず、値上げをすると企業にクレームが寄せられる。安物には大行列ができる惨めな光景がそこかしこで展開される。

多分、今我々は「海外から投機の対象になりうる後進国入りまっしぐら」であることを自覚し、値上げに耐えることをまずはし、金持ちはカネをガンガン使い、あとは新たなる成長のエンジンを作ることに邁進する必要があるのではないでしょうか。そのためには基礎研究にカネをつぎ込む必要がある。2位じゃダメなんだよ!

多分、その際にネックになるのが英語力なので、文科省、そこなんとかしろよ。

スウェーデンの環境活動家のグレタさんにカッカしてる大人も多かったけど、あれ、16歳であそこまで英語うまいのに対して劣等感抱いた人も多いんじゃないの? 結局、日本企業が海外に進出しまくったり、海外の金持ちからカネを誰もがふんだくるようにできるには、英語力が必要。そして英語力がないことについても上記【1】のように「だって日本にいればすべて大丈夫だもーん」「日本は、英語ができなくても大丈夫なほど大きなマーケットがあるから問題ナシ」的に開き直り、低い給料に甘んじる。

それでいてソフトバンクが牛丼1杯無料になる企画をすれば道が渋滞するほどの車列を作り、無料の牛丼に群がる。こいつら、若いくせにマインドだけはバブル期の「日本すげー」的なんだよな。危機感ってもんは持った方がいいに決まっている。「取りあえず快適だから」でい続けても成長しないぞ。

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