記事

定年後も働く人の厚生年金を減らす制度の是非

在職老齢年金62万円案

定年後も働くシニアが増える中で、厚生労働省は在職老齢年金制度の見直し案を公開した。在職老齢年金とは、定年後の給与(労働所得)と年金受取額の合計が一定基準を上回ると、厚生年金の一部もしくは全額の支給が停止され、その分が繰り下げ(支給の先延ばし)になる制度。60歳以上65歳未満の場合は合計が月28万円、65歳以降は月47万円を超えると減額されていく。


2019年10月9日、在職老齢年金制度の見直しを議論した社会保障審議会年金部会。(時事通信フォト=写真)

厚生労働省は、65歳以降の基準額を62万円に引き上げて対象者を減らすか、制度自体を完全撤廃する案を示した。一方、60歳以上65歳未満については、やはり62万円に引き上げるか、現行どおりとするという。ただ、そもそも60歳以上65歳未満の年金は、男性が2025年度、女性が2030年度に支給が終了することがすでに決定済みとなっている。

「現状、在職老齢年金の対象者は約41万人で、全体の約17%に相当」と指摘するのは法政大学の小黒一正教授。減額を止めれば、おのずと支給のための負担は増す。その結果、「同制度の廃止には約1.1兆円の財源が必要で、将来的に所得代替率(現役男性の平均月収に対する、モデル世帯年金額の割合)を0.2%ポイント程度引き下げる」(小黒教授)。だが、減額を続ければシニアの労働意欲を削ぐのは明らかで、時代の変化が求めている見直しとも言える。

----------
大西 洋平(おおにし・ようへい)
金融ジャーナリスト
出版社勤務等を経て1995年に独立し、金融経済の分野を専門に執筆活動を続ける。著書に『「株式新聞」のスゴイ読み方』(廣済堂出版)。
----------

(金融ジャーナリスト 大西 洋平)

あわせて読みたい

「厚生年金」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「大規模会場予約 67% 空き」はお役所仕事の想像力欠如 ~ なぜ「高齢者」に拘り続けるのか

    近藤駿介

    06月14日 14:19

  2. 2

    オリジナルを常に超越してくる 愛すべきガーナの手描き映画ポスターの世界

    木下拓海

    06月14日 11:34

  3. 3

    「ディズニーランドのついでに予約」女性向け風俗の利用者が爆増しているワケ

    PRESIDENT Online

    06月14日 15:30

  4. 4

    東大・京大も志願者減で止まらぬ「国公立離れ」 その最大の要因は何か

    NEWSポストセブン

    06月14日 08:38

  5. 5

    LGBT、夫婦別姓…“憲法改正”は令和に必要か? 憲法学者「最高裁や国民がしっかりしないといけない」

    ABEMA TIMES

    06月14日 09:28

  6. 6

    歳を取ると「厄介な人」になりがちな理由

    内藤忍

    06月14日 10:57

  7. 7

    私がDHC吉田会長の在日コリアンに関する妄想は相手にしなくていいと思う理由

    宇佐美典也

    06月14日 12:00

  8. 8

    チュートリアル、友近…ギャラ100万円芸人がリストラ危機なワケ

    女性自身

    06月14日 12:27

  9. 9

    小池百合子「女帝」の最後の切り札 五輪中止に動くタイミングはあるのか? - 石井 妙子

    文春オンライン

    06月14日 08:32

  10. 10

    困っている人を見て見ぬふりはトラブル回避の自己防衛?親切が悲劇を招くことも

    諌山裕

    06月14日 12:55

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。