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『絶海の孤島』の社会学

■「日本は世界で最も成功した社会主義国」

 かつて、ソ連のゴルバチョフ書記長は日本を訪れた時に次のような言葉を述べたという。

 「日本は世界で最も成功した社会主義国だ

 言葉のニュアンスは若干違うかもしれないが、要は、日本は理想的な社会主義国家だということを述べられたらしい。

 「日本人と話すと共産主義が伝染る」という中国人のブラックジョークもあるぐらいなので、さもありなんと言ったところだが、ゴルバチョフ書記長が日本に旅行して直ぐさま直観的に「この国は社会主義国家だ」と解るわけはないので、日本に来る前からゴルバチョフ書記長の頭の中には「日本は社会主義国家」という認識があったということになる。

■戦争当時、社会主義に傾倒していたアメリカ

 日本は戦時経済体制が社会主義だったので、戦後もそのまま延長して社会主義になったという説もあるが、これは少し違うということがソ連が崩壊した後で判ってきた。
 日本は戦後、占領軍(GHQ)の占領政策によって、軍国主義から民主主義に変わったという説もあるが、これも全く違っている。

 1920年代の大不況によってアメリカ国内では「資本主義はもうダメだ」という悲観論が蔓延り、あろうことか、ソ連の社会主義(共産主義)に憧れを抱いている人が数多くいた。
 太平洋戦争(大東亜戦争)当時、アメリカは自由主義ではなく、社会主義に傾倒していたため、日本の占領政策には自由主義的な思想ではなく、社会主義的な思想を注入することになってしまった。

 その後、アメリカは1950年頃の朝鮮戦争を機に、この間違いに気付いたものの既に時遅しで、日本は戦後、社会主義の実験場として歴史を刻んでいくことになった。
【参考文献】日本人としてこれだけは知っておきたいこと(中西輝政著)

 立地的に絶海の孤島として存在していた日本は、思想的にも絶海の孤島となり、日本でしか通用しないルールが数多く創り出された。そのせいもあってか、本当の自由主義も民主主義も理解しないガラパゴス化した評論家や思想家が数多く輩出することになった。

■「中国に必要なのは、かつての日本的な精神」

 本来であれば、戦後、日本はアカ化して崩壊する予定だったのかもしれないが、精神性の高い日本人の気質が幸いして、アカ化は免れ、間違いに気付いたアメリカの庇護の元、奇跡的な経済発展を遂げる幸運に恵まれた。

 「日本は世界で最も成功した社会主義国だ」という言葉の裏には、「なぜ、日本は社会主義でも成功することができ、ソ連は行き詰まってしまったのか?」という問いかけが潜んでいる。
 ソ連に無くて、日本に有ったもの、ソ連の労働者にはなく、日本の労働者が持っていたもの、それは高度な倫理観に基づいた勤勉の精神であり、資本主義の精神だった。

 ゴルバチョフ書記長は、戦後、日本が歩まざるを得なかった歴史と日本人の精神性を理解されていたのだろうと思う。
 もし、ゴルバチョフ書記長が現代の中国に訪れた場合、彼はこう言うかもしれない。

 「中国に必要なのは、かつての日本的な精神である

 倫理観を持たない社会主義国家は滅びる。それは、戦後の日本を研究すれば自ずと理解できることだと思う。

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