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なぜ夫に"重大なことを相談"してはいけないか

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管理職にチャレンジしたい、起業したい……人生の大きな決断をするときほど、不安にもなるもの。『夫のトリセツ』の著者で脳科学・AI研究者の黒川伊保子さんは、不安でも夫に相談しないほうがいいと指摘する。その理由とは――。

※本稿は黒川伊保子『夫のトリセツ』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。


※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

「相談」するから、「ノー」と言われる

意地悪な夫でなくても、夫に「仕事したい」「子どもを塾に入れたい」などと相談すると、たいていの場合、ブレーキをかけられる。危機意識の強い男性脳(とっさの危機回避力が低いので変化を厭う)は、問題が起きない限り(食べていけない、学校の授業についていけない)、現状維持を望む。

このため、私自身は、夫に相談する、ということがほとんどない。

会社を辞めて起業するときも、「再来月、会社を辞めて、起業するね」と報告をしただけ。もちろん、その利点(幼い息子のそばにいられ、家事をする時間が増える)を強調し、マネープランも説明したけれど。「どう思う?」とは聞かなかった。そう聞けば、ネガティブな答えが返ってくるに違いなかったから。慎重派の彼は、我が家のブレーキ役なのである。このとき、ブレーキは欲しくなかった。

夫に何か提案するときは、どんな些細なことでもネガティブな理由は使わない。「今の会社が嫌だから、もういられない」という言い方をすると、その問題解決をしようとして食い下がってくる。「ベンチャーブームで資金が作れる見込みが立った。今がチャンスだから、やってみるわ」と笑顔でプレゼンテーションするしかない。

もちろん、独立に当たっては、私も不安だった。しかし、その不安を夫にぶちまけたら、夫は強いブレーキになってしまう。私自身の不安は、自ら乗り越えるしかなかったのだ。

夫に不安を解消してもらおうと思うな

いつだったか、新聞社の取材で、「黒川さんは、主婦起業ですよね。この世には、夫の協力を得られず、働きに出たくても出られない主婦の方がたくさんいます。その方に一言を」と言われたことがある。

「夫の協力」を先に確保しようとしてない? 自分の不安を、夫に解消してもらおうと思ってるよね? それをやめたほうがいい、と私は、アドバイスした。

夫に「そろそろ、働きたいの」と相談して、「僕が家事を手伝うよ。保育園のお迎えも、週に2日はやってあげるから、大丈夫。君のやりたいように挑戦してみればいい」なんて優しい声をかけてもらうつもりだったら、甘すぎる。

夫だって、社会でギリギリの思いをして働いているのだ。「家のことをちゃんとしてくれるのなら、働いてもいい」と言えるのが関の山じゃないだろうか。

働きたかったら、当たり前のように働く。それしか手はない。「この春から、職場復帰するわ。何があっても、保育園を確保する」と宣言するだけ。

「保育園の送り迎え」だの「家事の分担」だの、最初に夫に確約を取っておけば、妻側の不安は解消されるだろうが、夫側の不安は無限大になってしまう。先の不安を増大させる能力は、実は男性脳のほうが高いのだ。

確約なんか取らなくても、火事場と一緒。家族が困ってパニックになれば、どうしたって手伝うことになり、男の覚悟もちゃんと決まる。「家のことがちゃんとできるなら、働いてもいい」と言われたら、「ちゃんとやるね」と明るく応えておけばいい。

朝からやったことを列挙して泣く

後に「ちゃんとやるって言ったじゃないか」となじられても、なんら反省することはない。スルーするか、「やってるじゃん」と言い返すか、泣くかすればいい。

私なら「朝から、保育園の支度して、ご飯作って、ぐずるあの子をなだめながら保育園に連れて行って、会社に行って、お昼も食べずに働いて、保育園に迎えに行って、スーパー寄って、ご飯作って、その間に洗濯機を回して、あ、その前に、あなたのワイシャツの襟汚れにスプレーもして、子どもにご飯食べさせて、お風呂に入れて、絵本を読んで……。本当は、家族のために、もっともっとしてあげたいの。お部屋もきれいに片付けたい。どうしたら24時間でそれができるの? え~ん」と泣く。

この「朝からやったことを列挙する」は、けっこう効く。「なぜ世の中の夫は『言わなきゃ動かない』のか」でも述べたが、男性は、女性の所作を認知していないので、妻がどんなに身を粉にしているか、わかっていないのである。

新婚のある日、私は、お皿を洗いながら、「なんで、私ばっかり」と悲しくなってしまったことがある。朝から、ご飯作って、二人のお弁当を作って、一緒に会社に行って、一緒に働いて、帰ってきたら、私だけが座る暇もなく、洗濯、料理と走り回る。夫はのほほんとテレビを観ているだけ。

そこで、私は、しゃがんで泣いた。朝からしたことを列挙して、「本当は、全部やってあげたいの。なのに、疲れてお皿が洗えない。悲しい」と泣いたら、「皿洗いくらい、僕がやるよ」と言ってくれ、後は、「皿洗い」が彼の担当になった。その使命感は、35年経った今でも、薄れていない。

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