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終末期に医療の出番はあるのか



 厚労省が作成した「“人生会議”しとこ」というポスターに対して批判があがり、撤回されるという事態が起きた。「人生会議」というのは、医療関係者や家族とともに、終末期の医療や介護についての意思を事前に決めておくために行うACP(アドバンス・ケア・プランニング)の呼び方として、厚労省が昨年、検討会を開いて決定した表現だ。国民の間に理解が広がっていないため、普及のためのポスターが作られたが、患者や家族の気持ちがわかっていないと患者団体から批判があがり、取り下げる事態となったのだ。

 ACPは昨年、厚労省が公表した「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に初めて盛り込まれた。このガイドラインは、終末期の患者の人工呼吸器を外したことが明らかになった「射水市民病院事件」をきっかけに2007年に策定されたものだが、その後、高齢化がさらに進む中で作られた改定版に、欧米でも普及しつつあるACPの概念が取り入れられた。

 しかし、終末期になって“会議”という形で意思の確認をしたり、ましてや、それを国が奨励することについて、在宅医で臨床倫理学会理事長でもある新田國夫氏は首をかしげる。終末期は、病気や状態によって異なった経過をたどるが、がんの末期などについては、ある程度見通しがつくようになってきているが、それでも亡くなる直前まで、そうした情報を患者や家族と共有しないまま抗がん剤治療が続けられるようなケースもあると、新田氏は語る。 情報を共有し、本人の意思を確認し、その決断を理解し共有するためには、何か標準化された形ではなく、信頼関係のなかで繰り返し話し合いをする必要があると新田氏は言う。

 東京都は12月16日から救急搬送の際、ACPが行われている成人で心肺停止状態だった場合は、かかりつけ医に連絡をした上で蘇生を行わない運用を始める。ACPについて、患者・家族、そして医療関係者等が、共通の理解をしておかないと、現場が混乱するおそれもある。

 そもそも終末期に医療の出番はあるのか、どうすれば尊厳ある死を取り戻すことができるのかなどについて、在宅医療に携わり、在宅で数多くの看取りをしてきた医師の新田國夫氏と、社会学者の宮台真司氏、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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