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適用の対象・基準はどうあるべき?川崎市の“ヘイトスピーチ禁止条例”から見えてくる課題


 川崎市議会で12日、民族差別的な言動、いわゆるヘイトスピーチを繰り返す人や団体に刑事罰を科す、全国で初めての条例が可決・成立。来年7月1日に施行される。

 条例では、市長からの勧告や命令を無視して、公共の場所で、特定の国や地域の出身者に対するヘイトスピーチを3回繰り返した場合、個人や団体の名前を公表するほか、最高で50万円の罰金を科すことも定めている。

 福田紀彦市長は「この街から不当な差別をしっかりなくしていくというその決意を今回の条例成立で決意を新たにして、先頭になって取り組んでいきたい」とコメント、市内で差別問題に取り組むぺ・チュンド氏は「強い姿勢を示したという意味で、行政が頑張ってくれたことは非常に評価できるのではないかと思う」と話している。


 川崎市では2015年、在日コリアンらが中心となって行われた安保法制反対のデモに反応したヘイトデモが起こるようになった。議論の高まりを受け、翌年には「ヘイトスピーチ規制法」が成立。そして今回、川崎市が全国に先駆けて罰則のある条例の成立となった。ただ、条例が適用されるのはデモ行為だけで、インターネット上のヘイト行為に罰則はなく、「表現の自由」を妨げることへの懸念も残る。


 12日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した高橋裕樹弁護士は「罰則適用までには3ステップある。まずは参加者や、組織の場合には中心的なメンバーなどに市長が“勧告”し、6カ月以内に再度行った場合にはより強い“命令”を出す。それでもやめなかった場合には刑事罰に進んでいく。こういう規定をしている以上、7カ月目に入ったからOKだ、という感覚でやってしまう人が出てくる可能性もないではない」と話す。

 また、罰則の対象となる行為としては「居住する地域から退去させることを扇動、告知する」「生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加えることを扇動、告知する」「人以外のものに例えるなど、著しく侮辱するもの」などが挙げられている。

 高橋弁護士は「政治的なスピーチは許されるべきなので、ヘイトスピーチとの境目が非常に難しく、本来言っていいことも“言ってはダメなのかな”感じてしまう委縮効果が生まれる可能性もあるのも問題だ。また、そもそも条例は法律と矛盾しないものしか作れないし、ヘイトスピーチ規制法があえて導入しなかった罰則も盛り込んでいるので、条例で立件される人が出てきた場合、この条例そのものの違憲性が争われる可能性は高い」と指摘した。


 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「日本人に対しては何を言ってもいいのかという問題も議論され付帯決議に盛り込まれたが、例えば絶対に許されない障害者やセクシャルマイノリティに対するヘイトスピーチはどうするのか。あるいは非正規のおじさんは罵ってもいいのか。様々なところで強者と弱者、加害者と被害者が揺れ動いている中、明快にヘイトを定義できるのかという問題もある。実際、Twitter上を見ていると、何かの言い回しに対してすぐに“ヘイトだ”と言う人がいるように 日常用語のようになってしまっている」と指摘。

 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「やはり学校教育とセットでなければ、ヘイトスピーチの問題は分かりづらいと思う人が増えてしまうのではないか」と話していた。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像: 川崎で初のヘイト罰 ネットは対象外に

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