政府は、海上自衛隊の中東派遣について、近く閣議決定する概要を固めました。緊急対応する必要性に触れつつ、外交努力による緊張緩和を優先する方針が明記され、派遣期間の1年に合わせて、国会報告を少なくとも1年ごとに実施すると盛り込む、と報じられています。
自衛隊の海外活動が無制限に拡大するという批判を踏まえて、歯止めを意識した、とのこと。20日の閣議決定を目指しています。
しかし、中東海域への自衛隊の派遣は、防衛省設置法4条の「調査・研究」を根拠としていて、有志連合を主導する米国の不興を買わないための方便であるのは明らか、といわれています。
与党の自民・公明両党内で指摘されてきたのは、
〇日本の自衛隊派遣が逆に中東の緊張を高めないか
〇何を基準に派遣をやめるのか
〇地理的制限もない「調査・研究」名目で安易に派遣していいのか
〇日本関係以外の船舶から救援要請があった場合、どういう法的根拠で対応するのか
〇派遣海域に含まれていないホルムズ海峡で事案が発生した場合、自衛隊は何もしなくていいのか、などです。
イランとの友好関係を重視する日本は、有志連合には加わらず、独自に自衛隊を派遣する方針を固め、米国の賛意も得ている、とされています。
「調査・研究」は目的があいまいで、拡大解釈をしていくと、きりがないと指摘され、この根拠では商船の警護はできないとのこと。
明確な目的も法的根拠もないまま、海上自衛隊を派遣することは、武力行使の範囲が広がる可能性があり、自衛隊員を危険にさらすことにもなります。
派遣するのであれば、安倍政権として、明らかな根拠を示し、目的を限定し、国会や国民の理解が得られるようにすべきで、そうでなく派遣されるのでは、自衛隊員もたまらないと思います。
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- 2019年12月13日 18:45