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乗客が餓死する高原列車で行く北朝鮮「ブラック温泉」リゾート

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北朝鮮・平安南道(ピョンアンナムド)の山あいの町、陽徳(ヤンドク)。16世紀の地理書「新増東国輿地勝覧」にも登場する古くからの温泉地で、日本の植民地統治下、平壌と東海岸の港湾都市・元山(ウォンサン)を結ぶ鉄道が1926年に開通してから、温泉リゾートとして急速に発展した。

北朝鮮建国後は、ソ連式のサナトリウムが建設された。毎分2400リットルの湧出量を誇る弱アルカリ性カルシウム泉は、皮膚病、神経痛、関節炎、婦人病に効能があり、多くの人を魅了してきた。

金正恩党委員長は、陽徳温泉を再開発し、ホテル、スキー場、乗馬場を併設した一大スパリゾート陽徳郡温泉文化休養地に変貌させた。平壌からは110キロのところにあり、80キロ先には2012年に完成した馬息嶺(マシンリョン)スキー場、さらに20キロ先には、日本海に面した元山(ウォンサン)、リゾート地の元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区を経て、金剛山へと繋がる。すべて完成した暁には、長さ数百キロに渡る金正恩印のリゾート地帯ができるというわけだ。

(参考記事:「金正恩氏の指導は勝利の原動力」北朝鮮メディア、温泉リゾート地の再開発を讃える

陽徳の住民も鼻高々かと思いきや、不満の声が続出していると、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋が伝えている。

リゾート施設が作られた場所には元々、農民の住宅や畑があったが、多くが奪われ、立ち退きを強いられたのだ。農民には、国の定めた計画量に沿った軍糧米(軍向けの食糧)の供出が求められているが、今年の収穫は計画の半分にも満たないという。立ち退きを強いながら、供出の命令は撤回しなかったようだ。

彼らには新しい住宅が与えられたが、内装工事が全くなされておらず、今からオンドルを作らなければならない状況だ。陽徳は平均海抜が800メートルの高山地帯で、冬の寒さが非常に厳しい。農民たちは、目前に迫った冬をいかに乗り越えるかで頭がいっぱいだという。

また、新しい住宅は1棟に4世帯が住む長屋形式だが、自家消費用と市場で販売するための野菜を育てる畑は備えられていない。新たに畑を作って耕そうにも、金正恩氏が現地視察を行ったことで特別管理地域に指定され、それすらままならず、「畑のトウモロコシで延命してきた農民たちにとって、生活手段を奪ったスパリゾートは災害も同然だ」と情報筋は嘆いた。ちなみに、地元民はリゾート施設を利用できないという。

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