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オスプレイの配備を許してはならない

「安全性に疑問があるものは断然拒否する」「事件事故が起きたら(基地の)即時閉鎖撤去」

これは7月1日、沖縄県庁で米軍の新型輸送機オスプレイの配備計画を説明した森本敏防衛相に対する仲井真沖縄知事の発言です。この後の記者会見でも、仲井間知事は「危険な安心できない物を人口密集地で運用し、それで“地位協定がありますから”などという話をしたら、それこそ全基地即時閉鎖という動きにいかざるを得なくなると思う」と語っています。

沖縄県知事が、「全基地」の「閉鎖」、それも「即時」という言葉を口にしたのは、おそらく初めてのことだと思います。今回のオスプレイ配備の計画が、いかに沖縄県民の大きな憤激を呼び起こしているかが分かろうというものです。

この前日、普天間基地がある宜野湾市の佐喜真市長にも森本防衛相は協力を求めましたが、佐喜真市長はオスプレイの配備に反対した上で、「事故が起きた時に誰が責任を取るのか」などと強い口調で迫りました。また、沖縄訪問の後、森本防衛相は、オスプレイが運ばれて陸揚げされる予定のアメリカ軍岩国基地がある岩国市を訪れて福田市長に理解を求めましたが、福田市長は「安全性に対する不安が払拭されない状況では、飛行の有無に関係なく了解できない」として拒否しました。

このように、関係する首長が全てオスプレイの配備に強く反対しています。それには、明確な根拠があるからです。

オスプレイはヘリコプターと飛行機の機能を併せ持つ垂直離着陸機ですが、これまでに6度の墜落事故を起こし、36人の死者を出しています。このために「未亡人製造器」と呼ばれているほどで、「オスプレイ」というより「オチプレイ」と呼びたくなるような危険な代物です。

今年に入ってからも、4月にモロッコで、6月13日にアメリカのフロリダで訓練中のオスプレイが墜落しました。どうしてこれほど事故が起きるのかといえば、二つの欠陥があるからです。

一つは、設計上の欠陥がある可能性です。オスプレイはヘリコプターのように垂直に飛び立ち、空中でプロペラを前に倒して飛行機のような水平飛行に移ります。

この垂直から水平になる途中、プロペラが斜めになったとき、上への揚力が一時的に低下します。後方や横からの風があればバランスを崩して墜落の危険が生じることになりますが、実際に、海兵隊のMV22オスプレイが4月にモロッコで墜落した事故は、追い風を受けた中での操縦ミスとの見方が示されています。

このように、オスプレイはヘリコプターと飛行機の良いとこ取りをしたとされていますが、両者の機能を結合したために致命的な欠陥が生じた可能性があります。私は専門家ではないので断言できませんが、もしそうなら、構造上の改善や操縦技術の向上などで補うことは難しいでしょう。

もう一つは、構造上の欠陥です。万一、エンジンが停止して緊急着陸する際、ヘリコプターであれば回転中のプロペラの角度を変えて揚力をつくり出し、安全に着陸させるオートローテーション(自動回転)機能を備えるよう設計されます。

しかし、オスプレイはこのような機能を持っていません。緊急時には固定翼モードで滑空するとされていますが、グライダーのように滑空するためには、水平飛行の状態になっている必要があります。

垂直で離陸して水平飛行に移る途中で墜落した場合、このような滑空は不可能なのです。しかも、長距離飛行の能力を持たせるためにプロペラが大きく、墜落時に破損したプロペラで内部の乗務員が負傷しないよう、地面に接触したプロペラはすぐに胴体の外側に外れる構造になっています。

つまり、オスプレイは設計上、構造上の欠陥を持っている可能性があり、いったん事故が起きれば、周囲に大きな犠牲を生みかねない危険きわまりない飛行物体なのです。このような欠陥機は、アメリカでも民間機であれば航空局から飛行許可が出ないものですが、あくまでも軍用機であるとして許可されました。

オートローテンション機能のない飛行機は、日本の航空法でも飛ぶことが禁止されています。しかし、日米地位協定によって米軍の装備に日本の国内法は適用されません。

とはいえ、このことを多少は気にしていたのでしょう。『しんぶん赤旗』7月2日付によれば、防衛省が発行し、国会議員などに配っているパンフレットでは「オートローテーション(自動回転)を行う」と嘘の説明をしているそうです。オスプレイの製造元であるベル・ボーイング社が『ガイドブック』に「オートローテーションに頼らない」と明記しているというのに……。

このような危険きわまりないオスプレイの配備を許してはなりません。しかも、配備された後、日本全土での飛行訓練も計画されています。

「安全神話」に惑わされ、事故が起きてから「しっまた」というのでは遅すぎるというのが「フクシマの教訓」でした。このような失敗を再び繰り返さないよう、アメリカによる押しつけを断固として跳ね返さなければなりません。

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