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目的ではなく手段から出発している太陽光政策

太陽光発電が好きな政治家が多いのには驚きます。もう宗教なのか、あるいはなにかそこに特別なロマンを感じているのかわかりませんが、そこに欠如していると思うのは、経済性に関した議論です。ほんとうに太陽光発電にそこまで肩入れしていいのだろうか、電力全量固定価格買取制度は本当にイノベーションを促進するしくみなのかと疑問を感じます。

太陽電池に限らず、原子力や火力に変わる発電を普及させるには、一に価格、二に価格、三に価格です。最初の価格は蓄電池を含めた設備コストで決まり、二の価格は設置また施工コスト、三の価格はそれらの結果、また発電効率を含めた発電コストです。

それはまさしくパナソニックの創業者松下幸之助の「水道哲学」です。水道の蛇口をひねると、タダみたいな安い料金で水道水が利用出来るように、便利な家電製品をどんどん安くして、広く国民がその便利さを利用できるようにするのが企業の使命という理念です。

電力はインフラなので、とくに総合的に見た発電コストが問題になってきます。

電力全量固定価格買取制度によって太陽光パネルの普及促進を行えば、量産効果がでてきて、価格が画期的に落ちるだろうという筋道なのでしょう。だから発電コストが今後約10年で現状の3分の1に、2030年には6分の1にするとの目標、つまり最初は1キロワット時当たり42円が、10年後には14円、2030年には7円になるという計算です。

しかし、それは頭で描いた計画にすぎないのではないでしょうか。つくることが目的となって数字を作文し、無駄な道路やハコものが作られ続けてきた歴史があるので、にわかには信用できません。太陽電池こけたら皆こけたでは困るのです。

感じるのは、再生可能な自然エネルギーの問題でも、「モノ」からの発想が中心になってしまっています。

肝心の「再生可能な自然エネルギーで、原発や火力に代替できるしくみをつくる」目的を達成するためにはどんな課題があり、なににチャレンジすべきかではなく、いきなり太陽電池なのです。太陽光であっても、風力でも、地熱でも、あるいはマイクロ水力でも、その他でも、それらは手段にすぎず、目的ではありません。

むしろ、さまざまな発電方式の間でフェアな競争が起こり、イノベーションを促進することが重要です。また、それよりも、どの発電方式であっても、送電あるいは蓄電、あるいはスマートグリッドなどの供給のしくみ、また電力小売のしくみなどが整備されなければ絵に描いた餅になります。

いまの電力のしくみを前提に、電力全量固定価格買取制度を導入することは、政治が市場に関与する社会主義経済そのもので、電力のしくみの改革が本当に進むのかははなはだ疑問です。やるとしても中立的でなければ競争になりません。風力、水力、地熱、バイオマスが15円から20円程度で、なぜ太陽電池ならその倍以上で買取ることになるのか、理解に苦しみます。

電力全量固定価格買取制度は、太陽電池という「モノ」の価格をある程度押し下げたとしても、事業化にリスクがないために、ビジネスの発展を阻害する負の力にもなってきます。
日本の農業衰退の歴史がそれを物語っています。

おそらく生まれてくるのは、電力の全体のしくみの進化ではなく、新たな利権ではないかという気がします。市場価格を無視した高い買取料金で、すべて買い取られるというのでは、それは姿を変えた公共事業だからです。

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