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外国人を集め日本人に敬遠される「京都」の未来

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■ライトアップで昼も夜も観光客がウロウロ徘徊

京都において、もっとも宿泊数の多い月(2018年)は紅葉の時期の11月だ。日帰り客と宿泊者客を合わせた総数の最多月は3月である。

しかし近年の傾向として、年間を通じて「常に観光客が多い」と感じる。

2003年、観光客が1年を通じてもっとも少なかった2月の186万人に対し、同年11月では666万人。その差は3.6倍もあった。それが昨年は7月の383万人に対し、3月の531万人とその差が1.4倍に迫っている。

大混雑する嵐山の中心部。天龍寺前 - 撮影=鵜飼秀徳

したがって、常に観光客が名所をウロウロしている状態だ。夜かなり遅い時間でも、生活道路に入り込んでくる。私は、「ライトアップ」が原因ではないかと思っている。いま京都の寺は見回せば、猫も杓子も「ライトアップ」している。観光客の方々が喜んでくれるのはよいが、同時に迷惑している地元民がいるのも確かだ。観光客増に乗じた寺院の、安易な商業主義が透けて、私は素直に歓迎できない。

■韓国人観光客は「消えた」が、インバウンドはここ20年で10倍以上

外国人旅行客(インバウンド)に目を転じれば、2000年台初頭は40万人程度にすぎなかったが、2018年の外国人旅行客の総数は、450万人と過去最高を記録した。インバウンド増の背景には、特に米国の有力な旅行雑誌であり、世界の旅行市場に影響力をもつ『トラベル・アンド・レジャー』誌の影響が大と言われている。同誌の読者アンケートで、京都は7年連続ベスト10入りを果たしている。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Purplexsu

しかし、今年は目に見えて韓国人旅行客が「消えた」。言わずもがな、日韓の政治対立が原因である。京都に訪れる国別の観光客数は中国(117万人)、台湾(66万人)、米国(43万人)、韓国(30万人)、オーストラリア(21万人)。韓国旅行者が激減しているのは確かのようだが、それを感じさせないほど全体の客足が増えている印象がある。

京都では宿泊施設が建設ラッシュだ。宿泊施設の客室数は、2016年は3万室にすぎなかった。「国際観光都市にしては宿泊施設の数が少ない」と言われていた京都だが、わずか3年で4万6000室にまで増加。現在は、飽和状態で、空室も目立ってきているという。

無許可営業の違法民泊も増えている。今年5月までに通報のあった2518施設が行政指導を受けた。違法民泊は指導を受けると営業許可を取る手段には出ず、さっさと営業をやめるという。金儲けをするだけして、問題が発覚すればさっさと逃げる。京都を「草刈り場」にするような行為であり、実に悪質である。

■日本人宿泊客数は2014年以降、4年連続で減少

外国人は増えているが、肝心の日本人宿泊客数が減っていることが心配だ。2014年以降、4年連続で減少している。また、修学旅行客も減っている。2017年に112万人であった修学旅行者が翌2018年には95万人にまで減少している。京都は、日本人からは敬遠されてきているのだ。

いったん増えた観光客を、減らすことはほぼ不可能だ。だとするならば、観光客のマナー向上に向けてアイデアを絞るべきだ。

たとえば、観光客にゴミ袋を渡し、道すがらゴミを拾って一定分量集めれば、観光施設の無料パスがもらえるといったふうに。もちろん、地元民がゴミを率先して拾い、美観につとめることこそが、地道かつもっとも効果的な方法ではあるが(むろん、多くの地元民がやっている)。

「規制」よりも「共生」の模索こそが、京都のブランドを高めることになるのだと思う。

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鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)
浄土宗僧侶/ジャーナリスト
1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。著書に『寺院消滅』(日経BP)など。近著に『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか』(文春新書、12月20日発売)。一般社団法人良いお寺研究会代表理事。
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(浄土宗僧侶/ジャーナリスト 鵜飼 秀徳)

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