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外国人を集め日本人に敬遠される「京都」の未来

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2018年の京都市への観光客数はインバウンドを含め5275万人で、観光消費額は3年連続で1兆円を突破した。だが、日本人宿泊客数は4年連続で減少している。ジャーナリスト・僧侶で京都在住の鵜飼秀徳氏は「近年の京都の混雑ぶりは異常。しかも悪質な観光公害が後を絶たない。京都は日本人から敬遠されるようになっている」という——。

ゴミ箱の周辺に散乱するゴミ - 撮影=鵜飼秀徳

■京都市民の堪忍袋の緒が切れそうな「観光公害」

ふるさと自慢になって恐縮だが、京都の紅葉には心底うっとりとさせられる。私は1年半前に24年ぶりに東京から、故郷の京都にUターンしてきたが、四季の移ろいを五感で味わえる生活に、何よりの贅沢(ぜいたく)を感じている。

しかしながら、四半世紀前と比べて京都が様変わりし、失望した面があるのも事実だ。

それは、いわゆる「観光公害」である。自坊は観光客でごったがえす嵯峨・嵐山地区にあり、観光客の急増に伴う「危うさ」を身にしみて感じている。地元住民の生活に、大きな影響が出始めているのだ。

随分、改善されてきてはいるものの、観光客の「マナー」の悪さは依然としてある。それは、「ゴミのポイ捨て」「樹木を折ったり、落書きしたりするなどの破壊行為」「大声を出す」「路上駐車」「車道で写真を撮るなどの交通妨害」「私有地への無断立ち入り」「舞妓さんなどへの付きまとい」など、挙げればきりがない。

■京都名所に“自分の名刻む”世界のバカ観光客

インスタ映えするスポットとして有名な「竹やぶのトンネル」は、小刹のすぐ近く。数年前までは日が暮れれば、地元の男性も寄り付かない「危険な道」だった。今では夜10時を過ぎても、真っ暗闇の竹やぶを歩く観光客の姿を見かけることがあり、ぎょっとさせられることしばしばだ。

しかし、これは危ない。

当該地は観光客が食べ残したゴミ箱の中の残飯を漁(あさ)って夜間、イノシシが出る。イノシシに遭遇するのはまだいいほうで、むしろ「不審な人間」のほうが怖かったりする。痴漢・暴漢などによる「事件」がいつ起きないとも限らないので、私は気を揉(も)んでいる。

当地では、器物損壊などの犯罪行為も生じている。美しい竹の肌が、人為的に傷つけられているのだ。鍵やナイフなどの鋭利なもので名前やマークなどが刻まれている。マジックで書かれたものもある。この小径には、竹穂垣と呼ばれる高さ2mほどの垣根があるが、その垣根を壊して手を伸ばし、竹に落書きしているのだ。

一部の竹は緑色のガムテープを貼って隠しているが、まるで絆創膏(ばんそうこう)のようで痛々しく、美観上、みっともない。

傷つけられた竹にガムテープが貼られている - 撮影=鵜飼秀徳

私が数分歩いて確認しただけで英語や中国語、ハングルなど外国人の手によるものと思われる傷が多数、確認できた。日本語での落書きも少なくなかった。「嵯峨野の竹林を守ろう」との立て看板の真横に生えている竹には、あたかもその文言に挑戦するかのごとく、竹の上部から下部まで傷が付けられ、ボロボロの状態だ。傷ついた竹を見るたび、悲しい思いになる。

マジックで書かれた竹も - 撮影=鵜飼秀徳

傷が付けられた竹はそこから腐食して、枯れてしまう可能性もある。もはや、マナーの問題ではなく犯罪行為なので、警察にはきちんと捜査してもらいたいものだ。

■舞妓さんに付きまとい、庭の苔を踏みまくる外国人

ところ変わって花街で有名な祇園の花見小路では、舞妓さんが外国人に追い回され、写真を撮られるなどのマナー違反で困惑しているという。舞妓さんの襟にタバコを入れられるなどの、信じられない被害も報告されている。

小刹のような寺院の場合、もっとも困るのが庭の苔(コケ)を踏まれることである。杉苔が踏まれると枯死してしまう恐れがある。自由に庭を見ていただきたいとは思うものの正直、立会いなしでの外国人の参拝は、不安がよぎる。できれば、観光ガイドと一緒に参拝していただきたいとも思う。

私はこの1年で複数の外国人旅行者に対し、「苔を踏んではいけない」と注意している。すると、すぐに謝っていただけるケースがほとんどだった。「おもてなし」のお礼として、お布施を賽銭箱に入れていただくケースもあった。双方、コミュニケーションをはかりながら、観光マナーのリテラシーを高めていくことが大事だと思った。

■1990年ごろの観光客数は年間3500万人、今や6年連続5000万人超

観光客の増加は、それそのものは京都にとっては良いことだ。歴史的にも「観光ありき」の京都だからだ。観光消費額は3年連続で1兆円を突破。京都市は雇用誘発効果を18万8000人としている。近年の経済的なメリットは計り知れない。

しかし、それも過剰になり、「公害」にも発展すれば、観光する側、受け入れる地元側双方にとって不幸である。

少し観光に関する数字を紹介しよう。バブル期にあたる1990年ごろ、京都の観光客は年間3500万人ほどだった。この頃、嵐山界隈は外国人の数はさほどではなく、日本人のみで混雑していた記憶がある。

当時問題になっていたのは、タレントショップの乱立である。まるで原宿・竹下通りのようなありさまだった。嵐山の景観を台無しにする酷(ひど)さであったが、全てのタレントショップが一掃されたのが数年前のことである。

ようやく嵐山らしい風情が戻ったと、ホッとしたのもつかの間、京都市は2000年に観光客5000万人構想を発表。すると、計画より2年前倒しの2008年には目標を突破する。2018年の京都市への観光客数は5275万人で、6年連続で5000万人を超えている。近年の京都の混雑ぶりは異常だ。

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