記事

男子高校生が「N国党」を圧倒的に支持するワケ

2/2

■NHKの解体は最優先で取り組むべき問題か

【原田】大学生からそう言われちゃってるけど、高校生はどう思う?


座談会の様子 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

【A(高1男子)】たしかにN国党にはネタとして面白いところもあるんですけど、それはあくまで政治の土俵に上がるための策略で、政策自体もちゃんと理論武装されていると思ってます。受信料の問題とか、言っている通りだと思うし。

【F(大3男子)】素朴な疑問なんですけど、Aくんは高校生だから自分で受信料を払っているわけではないですよね。それでいてNHKから不当にお金を取られているという不満がある?

【A(高1男子)】自分自身は不満はないけど、不満を抱いている人が一定数いるという話はわかります。

【F(大3男子)】政治が解決しなきゃいけない問題って、例えば格差の解消や、ほかにもたくさんあると思うんです。それらを差し置いて、最優先でNHKを壊さなきゃいけない?

【A(高1男子)】それはたぶん、ちょっと過激なことを言っている人を支持してる自分に酔ってるところもあるのかも……。

■党名を見ただけで何をする政党かわかる

【原田】今Fくんが「政治が解決しなきゃいけない問題」と言ったけど、NHKの解体もその中に含めるとして、高校生が気になっている社会問題って何かな?

【C(高1女子)】まずNHKに関しては、私も高校生だから受信料を自分で払っていないので、その問題自体を身近に感じていません。それよりも、例えば高校の無償化だったり電車の停車駅がどう変わるかとかのほうが、自分にとっては身近な問題です。

【D(高1女子)】NHKを壊して私たちに何かプラスの影響があるのかなって考えたときに、あんまり思い浮かばないですね。それよりは、自分の未来のことを考えても、待機児童の問題とかのほうが重要だと思います。

【原田】Dさんはさっき「N国党以外に印象に残る政党がほとんどない」と言っていたけれど、高校の無償化なり待機児童の問題なりを議論している政党もあると思います。そういう情報は入ってこない?

【D(高1女子)】そうですね。「自分から情報を取りにいっていないだけ」と言われればそれまでですけど。

【C(高1女子)】そういう意味では、N国党は「NHKから国民を守る党」という党名を見ただけで何をする政党なのかわかるのが大きいかも。「自民党」とか「立憲民主党」とかいわれても、どういう政党なのかわからないので。

【原田】じゃあ、例えば「待機児童をなくす党」とか、ワンイシュー政党がほかにも出てくれば若者は政治に関心を持ちやすくなる?

【C(高1女子)】伝わりやすさは結構変わると思います。

【原田】一方、女子大学生のEさんはれいわ新選組を支持していると。それは政策を見て判断しているんだよね?

「れいわ新選組に好印象」と語る女子大学生Eさん - 撮影=プレジデントオンライン編集部

【E(大1女子)】そこまで詳しく調べたわけじゃないですけど、山本さんは生活保護とかセーフティーネットについても言及していて、なんとなく弱者に優しいイメージがあるので。私は高校時代に授業でホームレスの問題に触れたことがあって、ホームレスの人たちは「努力が足らなかったからそうなったんだ」と言われがちだけれど、努力だけじゃどうしようもないこともあると思っています。れいわはそういう意見をすくい上げてくれているのが好印象です。

■18歳に選挙権はまだ早い?

【原田】今回プレジデントオンラインに「男子高校生のN国党支持率が高い」という記事が出たら、おそらく「やっぱり18歳に選挙権なんて与えるべきじゃなかった」みたいなことを言うおじさんが少なからず出てくると思うんだよね。

【D(高1女子)】中学3年生ぐらいから学校の先生が選挙について話をしてくれるようになりましたけど、どういう政党があってどういう政策をしているかにはあんまり触れてくれないんです。だからいまいちよくわからない。これも「自分で調べなさい」と言われればそれまでなんですけど……。

【C(高1女子)】私は、実際に投票できる年齢になったら公約は調べると思います。そのうえで票を入れないと無責任なので。でも、今の段階では意欲的に調べようという気にはならないです。

【D(高1女子)】そういうふうに「政治ついて知らなきゃいけない……でもよくわかんないな」となったときに、「NHKをぶっ壊す!」というのは言っていることはわかるので「これでいいや」ってなっちゃうところはあるかも。

【原田】興味がないのに世の中から「政治に詳しくなれ」という圧力がかかるから、わかりやすい公約に飛びついてしまう……という側面もあるかもしれないと。大学1年生のEさんはすでに選挙権を持っている?

【E(大1女子)】はい。投票にも行きました。私の場合は、自分でも多少は調べたんですけど、両親からよく政治についての話も聞いているので、その影響はあると思います。

■N国党の動きは若者向け発信のヒントになる

【F(大3男子)】高校生の皆さんの話を聞く限り、政治について興味もないし情報収集の仕方もわからない中で、主にYouTubeでN国党が発信したメッセージが刺さった結果、アンケートでの支持率が高かったということですよね。それは言い換えれば、皆さんに最初に届いた政治的なイシューが、NHKの体質の問題だったということ?

【B(高1男子)】僕の場合はその通りですね。

【原田】じゃあ、別にNHKじゃなくてもよかった可能性もあるのかな。例えば立花さんが猛烈に喫煙に反対してても刺さったかもしれない。NHKを解体することの是非は置いておいて、今回のアンケート結果を好意的に解釈するなら、N国党は若い人に政治的関心を抱かせるためのヒントを与えてくれたと言えるかもしれません。それは既存の政党が若者向けにメッセージを発信することをサボっていた、あるいは発信していたけどうまくいっていなかったことの裏返しでもあるよね。

【F(大3男子)】人口構造を考えたら、選挙を見据えるうえで若者が軽視されるのは仕方がない部分もありますけどね。

【原田】うん。だから僕は、少しでも若い人の票を増やすためにも18歳で選挙権を与えることには賛成なんです。ただ、N国党に感化された男子高校生がN国党しか知らないまま大人になってしまうリスクもある。一方で今のところは、自民党も立憲民主党をはじめとする野党も、YouTubeを使って立花さん以上に男子高校生を取り込める気がしない。メディア環境が変わっていく中で、必ずしもキャッチーではない、でも社会にとって必要な政策を訴えるにはどうすればいいか。正直、今の僕にはいい案が浮かばないんだけど、N国党のような極端なPRが刺さりやすい状況は、ひょっとしたら今後もしばらく続くかもしれないね。

----------

原田 曜平(はらだ・ようへい)

マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。

----------

(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=須藤 輝)

あわせて読みたい

「NHKから国民を守る党」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。