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ウイグル弾圧批判にTV番組『反テロ最前線』で対抗 中国当局の正当性を海外にアピール


 市場で突然起きた爆発に北京市内で人混みに突っ込む車。中国国営放送は、ウイグル族によるテロとそれに対する戦いを『反テロ最前線』というドキュメンタリーにまとめ、いま続々と海外に向けて配信している。

 ウイグルを巡っては今年、インターネット上に“強制収容されるウイグル人”とされる映像が匿名で投稿される。目隠しをされて連行される大勢の人の映像は、世界中のメディアで拡散された。


 また、ニューヨークタイムズは11月、習近平主席がイスラム教徒の取り締まりに対して「決して容赦するな」と指示したとされる内部文書を掲載。さらに、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)も、中国政府が職業教育訓練センターと主張する施設にウイグル人100万人超が収容され、ウイグル語の禁止、厳しい監視体制が敷かれていることなどを内部文書とともに公表するなど、中国によるウイグル弾圧の報道が相次いでいる。

 アメリカのポンペオ国務長官は11月26日、内部文書が「中国による人権侵害と大勢の監禁の事実を裏付けるもの」だと指摘。これに対し中国政府は、テロの被害を報じることで当局の対応の正当性をアピールしているのだ。


 新疆ウイグル自治区で起きた爆発事件の放送では、事件によって足が吹き飛んだという被害者の若い女性と、その両親が登場。さらに、ジハードで殉教することを天国への道だと信じて行動したものの、後悔する「実行犯」とされる人物のインタビューで構成されている。

 また、同じく新疆ウイグル自治区で炭鉱夫が襲われた事件、北京市内で暴走者が歩行者を次々と跳ねた事件に関する放送でも、同様に「実行犯」本人が登場。自身が起こしたテロ行為を反省する言葉を述べ、それらには英語の字幕がついている。


 アメリカでは3日、下院で「ウイグル人権法」が可決。人権侵害をめぐり、中国政府当局者に制裁を課すことができる。これについて、新疆ウイグル自治区の幹部らは「我々が新疆ウイグル自治区で行っているテロ・過激派対策は、米国を含む多くの国で行われている対策と何ら変わらない」と反論。また、強制収容所と指摘された施設についても、あくまで職業教育訓練センターだとした上で、「テロ対策が悪意でねじ曲げられている」と主張している。


 ウイグル弾圧に関して、『ニューズウィーク日本版』の12月10日号では、「ウイグルを弾圧する習近平の父親が少数民族への寛容を貫いていた皮肉」という記事を掲載。新疆ウイグル自治区を含む広大な地域を管轄する共産党中央西北局の第2書紀や副首相などを歴任した習主席の父・習仲勲(シュウ・チュウクン)は、「民族関係の業務には寛容な姿勢が必要だ」と主張していたとしている。

 “融和”な父と“強硬”な息子。2人の違いに『ニューズウィーク日本版』の長岡義博編集長は「習近平主席がなぜ強硬路線をとるようになったかというと、彼が2012年にトップに就いた後にウイグルで彼を狙うテロがあった。それに対する報復なのではないか、あるいは周囲が習に忖度して厳しい弾圧を続けているのではないかと言われている」と説明。


 一方で、習仲勲が“良い人”とは必ずしも言えないといい、「結局は共産党の統治のためにどちらが効果的かということであって、習仲勲自身がウイグルの文化に理解がある、伝統を大事にする人だったわけではないと思う」と述べる。

 また、長岡氏は「ウイグル自治区の主席が9日の会見で『収容所の教育は終了、全員釈放する』というようなことを言っている」と現地の状況について触れ、「これが仮に本当ならいいことだと思うが、真実かどうか検証されたわけではない。国際社会が検証していかないといけない」と、今後も動向を注視すべきだと指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

映像:中国国営放送が配信している映像

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