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日本大使館前で1400回もデモをする韓国はいかに無礼か

井沢元彦氏が日韓問題を斬る

慰安婦少女像前で行われた「水曜集会」の様子

 2019年、日韓関係は荒れに荒れた。昨年末のレーダー照射問題に始まり、徴用工裁判問題、ホワイト国除外、そしてGSOMIAの破棄通告──対立の火花は連鎖し、増幅した。土壇場でGSOMIA終了は回避されたものの、交渉経緯を巡って韓国が日本の姿勢を批判するなど、雪解けの気配は見えない。

 作家・井沢元彦氏による『逆説の日本史』特別編。独立を記念する光復節でにぎわう韓国・ソウルを2019年8月に改めて訪れ、「反日の正体」をさらに深く取材したレポートよりお届けする。

【写真】慰安婦少女像前で行われた「水曜集会」の様子

 * * *

 戦後の日韓関係は最悪の状態だという。確かにそうかもしれない。その現況についてさまざまな報道や分析がなされているが、一般の日本人の反応としてはなぜこんなにこじれたのかよくわからない、というのが本音ではないだろうか。その理由を私が要約するとすれば、日本人はあまりにも韓国の実態を知らない、ということだろう。

 ちょうど『逆説の日本史』が朝鮮半島をめぐっての日本とロシアの対決つまり日露戦争に向かうところであり、その戦争の原因は日露両国のどちらが朝鮮半島を「取る」かにあり、結果的に日本が勝ち韓国併合への道が開かれた。

 そのため私は、まず韓国の状況を自分の目で確かめようと思った。そこで10数年ぶりに韓国を訪れることにした。

 日本を発ったのは2019年8月14日。日本の終戦記念日、韓国では独立を記念する「光復節」の前日であった。羽田空港からのフライトは約3時間弱、機内食をとったと思ったらあっという間にソウルの金浦空港に着いた。時差も無いからあまり海外に来たという感じがしない。改めて韓国は日本の隣国なんだと実感した。入国後ただちに日本大使館前に向かった。この日はちょうど水曜日、日本大使館前で慰安婦問題についての抗議集会が開かれていたからだ。

 集会というよりデモと言ったほうがいいかもしれないが、現地は当日カンカン照りの猛暑だったにもかかわらず、数えきれないほどの老若男女(主催者側発表では約2万人)が集まり気勢を上げていた。中高年以上には懐かしい(?)、あの学生運動の「シュプレヒコール」を聞いたような気がした。若い人には説明が必要だが、マイクを使いながら張り裂けんばかりの大声でスローガンを叫んで繰り返すことだ。

 その場にいると耳が痛くなる。だが不思議なもので、参加者はそれを唱えているうちに独特の「法悦」状態になって興奮し一体感が増す。ひょっとしたら、この「文化」も1960年代の日本から輸出されたものかもしれない。とにかく現場は大変な熱気であった。繰り返し叫ばれているのは「日本は謝罪しろ」「謝罪しろ」「謝罪しろ」ということだ。

 つまり日本政府は慰安婦問題で未だに謝罪していないというのが、少なくとも集まった民衆(2万人は現場の広さから見て不可能な数字だと思うが、数千人は確実にいた)の共通の認識なのである。

 目立ったのは若い学生、いや生徒と言ったほうがいい感じの中高生である。日本ではあまり見られない光景だ。じつは夏休み中の生徒たちがこうした場に「課外実習」として参加すると評価が上がり、優等生として認められるという。日本以上の、おそらくは世界最高の受験地獄である韓国では、だからこそこうした場に若い人が多数訪れるのだろう。そして若いころから「日本は悪」という認識が刷り込まれることになる。

 もう一つ気がついたのは、糾弾の対象が日本政府では無く安倍政権になっていたことだ。日の丸を地に「NO ABE」と書き込まれたTシャツやプラカードがあちこちに見られた。つまり韓国は、そうした戦術に変更したということである。これはどんな意味を持つのか? これについてはのちほど分析しよう。

 それにしても、日本大使館のみなさんはご苦労なことである。私は韓国語をあまり理解できないが、外交官のみなさんは何を言っているか全部理解できるわけだ。私ですらもとげとげしい雰囲気のなかでいたたまれない思いがしたのに、何度も何度も口汚く罵られるという状況のなかで勤務するのは大変なことだろう。世界中どこの国でも大使館前のデモはその国の警察が実力で排除する。それが大使を交換している国への礼儀であるからだ。

 しかし韓国では毎週日本大使館前でデモが行なわれ、この時点で1400回も回を重ねていた。この点でも韓国はきわめて無礼な国なのである。日本大使館の方々には心からお見舞い申し上げる。

●撮影/小倉雄一郎

※週刊ポスト2019年12月20・27日号

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