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日本企業の多くが「昔の成功モデルでやっていける」と盲信している - 「賢人論。」第106回(後編)河合雅司氏

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人材を「奪い合う」のではなく、アイデアや発想を「分かち合う」

みんなの介護 そのような状況の中で、働く人それぞれの個人が「働けるうちは働く」「1人で2つ以上の仕事をこなす」ということを実践していくには、どのような心構えが必要でしょうか?

河合 少子化の深刻さを考えると、多くの企業で思うように若者を採用できなくなります。

これから当面の間、企業は若くて優秀な人材を確保するためには、中途採用も積極的に行わねばならなくなるでしょうし、雇用契約を年単位で結び直すなどして、人材の流動化に対応した制度を整えざるを得なくなるでしょう。

個々の企業が優秀な若者を囲い込むといった「奪い合い」ではなく、彼らが生み出すアイデアや発想を「分かち合う」という発想に切り替えたほうがよい。優秀な若者たちをバックアップする基盤をつくっていくことが急がれます。

これを個人の立場で考えますと、人手も減って行くし、人生が長くなって老後も長くなるわけだから、働かざるを得ない年月もどんどん長くなっていかざるを得ません。1つの企業で生涯働き続けようとしても、人生のほうが長すぎるということです。

どこかで、人生のギアチェンジをしなければならないのであれば、若いうちから備えておくに越したことはない。多くの人が「働けるうちは働く」「1人で2つ以上の仕事をこなす」という前提でライフスタイルを構築していくしかなくなることでしょう。

そうならば、社会から必要とされる存在であり続けられるよう努力することです。そうすることが、結局は自らの生活の安心・安全を支えることにつながります。

自らのスキルを向上させるための教育投資を惜しんではなりません。一方で、すでに高齢者でこれから働くことは難しいしいう人は、自分の能力に応じて賃金労働に限らず、ボランティア活動や地域のコミュニティ、趣味のサークルといった社会とのつながりを持つことです。それは日々の生活を支えるセーフティネットになっていくはずです。

いずれにせよ、「個人ができること」とは、一人ひとりが社会とのつながりを複数持つことです。こうした取り組みが、今後、重要な課題となっていくことは間違いないでしょうね。

「戦略的に縮む」国づくりをすれば、豊かさは維持できる

みんなの介護 ところで、河合さんは今年、長年勤務してきた新聞社を退社し、作家として独立されました。どんなきっかけがあったのですか?

河合 私の場合、ジャーナリストという職業ということもあるのでしょうが、30代、40代のころから自分の人生を考えて、定年まで新聞社に籍を置くのではなく、取り組むべきテーマが決まったら、気力、体力、知力がともに充実している間に第二の人生を再スタートさせようと決めていました。

いわば、第一ロケットを切り離して、第二ロケットに乗り換えたということです。乗り換えるための準備は、若いころから怠らずに進めてきましたね。

みんなの介護 河合さんの第二ロケットの推進力となるものは、果たして何でしょう?

河合 私の場合は、「時代」から何を求められているのかがかなりはっきりしています。作家・ジャーナリストとして少子高齢、人口減少社会の実像をわかりやすく可視化し、その対応策を世に問い続けていくことが、いまの私に与えられた役割だと思っております。

新聞記者としてはできなかったことも含め、自由なスタンスで活動していくつもりです。

日本の人口はこれから急速に減っていきます。それは「避けられない未来」です。しかしながら、小さな国になったとしても衰退すると決まったわけではありません。日本よりも人口の少ないヨーロッパ各国は豊かな暮らしを実現しております。要はやり方なのです。

人口減少と少子高齢化を前提としてコンパクトで効率的な国づくりをすれば、豊かさを維持していけると私は考えています。

「日本ならでは」というものに磨きをかけなければ、世界には通用しない

河合 だから万遍なく縮小してしまう前に、「戦略的に縮もう」と提言しているのです。人が減るのですから、これまでのような集積の経済ではうまくいかない。

日本人が得意とする分野に産業を特化し、国際協力に力を入れざるを得ないでしょう。「日本ならでは」というものに磨きをかけなければ、世界には通用しません。

人が少なくなるのだから、やめてしまうものは思い切ってやめてしまう。その代わり、伸ばすところは思い切って伸ばしていく。メリハリをつけていかなければならないということです。

個々においては、「自分でやることは自分でする」という意識を持つことが重要になります。1人でできない部分は、お互い様の精神に立ち返って助け合うということを組み入れていかなければなりません。社会の担い手は大きく減りますし、税収だって目減りするでしょうから。いままでの発想では、行政だってとてもカバーできないでしょう。

国全体としては縮んだとしても、一人ひとりの国民が今よりも豊かな暮らしを実現することは可能なはずです。そうした国づくりを今後は目指していくへきだと思いますよ。

そのために私に何かできることがあれば、使命として取り組んでいこうと思っています。

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