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日本企業の多くが「昔の成功モデルでやっていける」と盲信している - 「賢人論。」第106回(後編)河合雅司氏

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『未来の年表』(講談社現代新書)の3冊のシリーズを通じて河合雅司氏が一貫して提言しているのは、拡大路線でやってきた従来の成功体験と決別し、日本社会全体が「戦略的に縮む」ということだ。そしてそれは、日本人ひとり一人が働き方を変えていくことでもある。インタビューの後編では、その具体的な方法について聞くとともに、長く勤務してきた新聞社を退職し、専業作家となった現在の心境などについても聞いてみた。

取材・文/ボブ内藤 撮影/公家勇人

令和時代は企業の「大倒産時代」になる

みんなの介護 河合さんは『未来の年表2』において、「個人でできること」を中心にさまざまな提言をされています。中でも「働けるうちは働く」「1人で2つ以上の仕事をこなす」という提言は非常に重要なことだと思いますが、企業も個人も、その方向に一歩を踏み出せずにいるような印象があります。なぜでしょう?

河合 定年の延長や廃止に踏み切る先進的な企業は、まだ少数派。その原因は多くの企業が「これまでの成功モデルでやっていける」と盲信しているからでしょう。その傾向が大企業に多いのは、組織が大きいために時代の変化に気づきにくいということが考えられます。

1人の女性が生涯に出産する子ども数の推計値(合計特殊出生率)が「1.57」になり、1966年の丙午(ひのえうま)の年の「1.58」を下まわった「1.57ショック」が起きたのは1989年、すなわち平成元年のことです。

その平成時代の30年間で成長し、業績をあげ続けてきた企業こそ、過去の拡大路線の成功モデルにしがみついてしまうのではないかとみています。

経済界には「企業寿命30年説」というものがありますが、よく言ったもので、これまでの少子化で若者の数が激減していく令和時代には、すべての企業が生き残ることは、どう考えたって難しいでしょう。

私は、令和時代は「大倒産時代」になるんじゃないかと考えています。

いつの時代も、イノベーションや流行は若者たちがつくりあげてきた

みんなの介護 そのような最悪の状況を回避するために、企業ができることは何でしょう?

河合 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2017年)」によると、世の中の働き手として位置づけられる20~64歳までの人口は、2015年には7,122万7,000人いましたが、その30年後の2045年には5,167万人と、2,000万人近くも減る予測となっています。

私は1冊目の『未来の年表』で、74歳までを“若者”と位置づける「高齢者の削減」を提言しました。74歳が適切な年齢かどうかは別としても、企業が自らの未来を持続可能なものにするには、これにならって高齢者を “戦力”として活かすことを真剣に考えることが必要です。

現在、20代、30代のスタッフが担っている業務や作業の中には、昔からの慣習という理由で深い考えもなく若手に押しつけられているものも少なくないでしょう。こうした中には、高齢者ができる仕事、さらにはベテランだからこそ効率的にこなせるケースもあるはずですから、そのような仕事は高齢者に積極的にまわすべきです。

そのかわりに、20代、30代の人には若くなくてはできない仕事や、若手がやったほうが成果の出やすい仕事に専念させるべきです。

みんなの介護 企業にとって「戦略的に縮む」ためには、まさに「肉を斬らせて骨を断つ」という表現がピッタリきそうな大胆な戦略を選ばねばなりませんが、それを実行するにはかなりの決断力が必要になるでしょうね。

河合 イノベーションにしても、流行やファッションにしても、いつの時代でも若者たちがつくりあげてきました。これから若い人が減っていくということは、日本ではこうしたものが生み出されづらくなってくるということです。

年功序列や拡大路線といった旧来のビジネスモデルに固執し、そのような仕事を若者世代から奪うことは自分のクビを締めることにつながるということを、多くの経営者が自覚すべきだと思いますね。「令和の大倒産」は、古き発想にとらわれて人口動態の変化についていけない企業からはじまっていくでしょう。

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