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“炊き出し”にお酒と音楽。被災地支援に「エンターテインメント」を届けるキッチンカーたちの活動

9月に発生した台風15号で、大きな被害を受けた千葉県南部。多くの家屋の屋根が飛ばされるなど日常生活への影響も大きく、現在も住宅復旧が半ばの地域も残っている。

被災後には停電・断水が数日続き、NPOが炊き出しボランティアを行ったり、外食事業者が移動販売車を稼働させて持ち帰り弁当を販売したり、といった食事を支援する活動も各地域で見られた。

館山市内でとりわけ被害が大きかった地域の一つ・米良地区では、台風上陸の2日後から有志のキッチンカー事業者が炊き出しを行なっていたが、一般にイメージされる炊き出しボランティアとは異なり、イベント会場のような賑やかな雰囲気に住民からも笑顔がこぼれていた。

この日、焼き立てのピザを振る舞っていたのは、キッチンカー専用のポータルサイト「KITCHENCAR'S JAPAN」を運営する、プルーブライフ社が自社で保有する移動販売車「RUBBER TRAMP」。

こだわりのピザだけでなく、かき氷やお酒も無料で地域の住民に提供しており、ビールやカクテルを楽しんだ住民からは「こんな風にお酒を飲めるのとは思ってなかったので嬉しい」「停電が続いていたので冷たいビールが美味しい」といった声が上がっていた。

代表の山本新一さんは炊き出しの目的について、単に食事を届けるためだけではなく、「delivery meals and entertainment」をコンセプトに、楽しい時間を届けることだと話す。

被災地に行く時は食事だけを届けるだけではなく、その場所にいる人の心を満たしに行くのだと考えています。我々は自衛隊ではないので、命の危険にある人たちの元に行くことはできない。その分、行ける場所ではいつも通りの営業スタイルを通すくらいのつもりで、なるべく楽しく贅沢な時間を過ごしてほしいと考えています。

同サイトでは、キッチンカーから受け取る掲載料から毎月300円を震災基金としてプールしている。今回はそのお金に加えてクラウドファンディングで活動資金を募り、台風2日後の炊き出しに動いたという。

自社のフードトラックを派遣するだけでなく、現地に行くことができる業者をサイトで募集し、手を挙げた業者に対しては1日当たり5万円を支給した。

愛や思いだけではご飯を食べていけないのと一緒で、炊き出しも無料ではできません。でも、キッチンカーの仕事として被災地に行ければ、現実的に温かい食事を長く届け続けられるんじゃないかな、と。キッチンカー業者がボランティアに行こうと思うと、自分の店を休まないと行けなくなるので、その期間は収入がなくなります。そのため、継続していける仕組みを作らないと被災地での活動はやっていけないなと思って、仕組みづくりから始めました。

山本さんが、展開する事業と被災地での支援活動を結びつけて考えるようになったのは、2011年に起きた東日本大震災だったそう。現地で震災ボランティアに関わる中で、現地の人の助けになればいいと思う一方で、自分が本当にやるべき仕事なのだろうか、という思いも生まれた。

元々、全ての人は、日常の仕事の延長線上に「人助け」があると考えている、山本さん。自身に置き換えて考え、フードトラックでの事業を災害が起きた時の被災地支援に結びつけることを思いついたと話す。

よく、被災地に炊き出しボランティアに行って偉いと言われるんです。でもそんな大層なことをしているつもりは全くなくて、自分たちが日常でしている事をそのまま被災地に持って行っているだけなんです。そして、そもそもボランティアでもない。
だから僕らは炊き出しという言葉は使わず、「支援」という言葉に統一しています。分かりやすく、「炊き出し」を使う時もありますが(笑)。もちろんフードトラックのスケジュールを急遽変更したり、支援可能な車両、支援受入れ可能な場所を探したりすることはとても大変な作業です。水も通らず、電気も通らず、家屋は甚大な被害を受けている。想像して共感するのが失礼なくらい大変なことがあるかと思いますが、その不運をきっかけにその方々にとって何か少しでも良いことがあればと願っています。

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