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今の医療における成功確率とお金 どこまで許容する?

前回の記事、BLOGOSに様々な意見をいただきました。そしてマクロ、ミクロ含め建設的な提案含め感謝します。医師としての個人的意見は、金がいくらかかろうと救命に運ばれたら全ての可能性ある医療は受けるべし。それを望まないのなら、前もって人生会議しておこうというものです。
(ちなみにBLOGOSコメント無くなるんですね。残念です。)

私は血液内科が専門です。様々な疾患、治療方法でその成功確率が異なります。ただ何らかのいい反応が想定される確率は数十%以上のものが多く、治療しなければほぼ100%死亡する疾患が対象ですので、積極的に治療を進めてきました。

例えば白血病は抗がん剤で約80%の短期の成功率、40%の長期の成功率を認め、その治療の値段は1%の開胸心臓マッサージの数十倍、300万程度になりますが、その金額を全く気にしたことはなかったです。(参考:各種疾患での入院費用概算

それに対して、治りが悪いがんの化学療法だとかは、お値段が高い割りにメリットが少ないと感じていました。ある腫瘍の治療薬は1ヶ月の延命効果しかないのに100万って何の意味があるのだろうかと疑問を感じていました。伸ばしたその期間はきっと入院で使われるだけなのではと。

そして高齢者の医療を担当していると、治療を行ったことでの寝たきりとか、意識を失った状態で胃瘻、中心静脈栄養で生かされている患者が存在し、医療っていったいなんだろうと最近いつも感じています。それでも家族との時間含めていい時間を過ごしてもらえることにメリットがあると信じ頑張っています。(ちなみに老衰は医療で治せないと本当強く実感しています。)

いいことか悪いことかは別にして、今後の医療を皆保険で対応するには人口構成含めて少し限界になってきています。もちろんそこにPD-1抗体やCAR-Tなどの高額医療品も影響していますが、一番は少子高齢化です。

そう一番悲しいことは、今の日本はコストパフォーマンスが悪い医療、一見無駄にみえる医療にお金を湯水のようにかけることが難しくなってしまった国になってしまったということです。これだけ医療者の働き方を無視しているのに、効率をあげれなかったことでどんどん病院が潰れています。そして今後さらなる効率化ができなければ2025年には医療難民がきっと溢れて、税金投入がさらに増えるでしょう。
(まあ15年持ちこたえることができれば患者数が減少し医療ニーズそのものが減ると思いますが)

どんな医療を行うことが望ましいのか。そしてどこまでお金をかけることをみんなが許してくれるのか。その点を国民が決めることが大切です。

それこそ金は出さずにやって欲しいと住民が署名をあげてもなんの解決にもなりません。

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