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令和職場で最も許されない女性上司の言動とは

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今、日本の女性管理職たちはどんな思いで日々働き、周囲の人々は彼女たちをどんな目で見ているのでしょうか。2019年3月9日に開催されたプレジデント ウーマン誌イベント「PRESIDENT WOMAN Salon 先行メンバー」交流会では、女性リーダーについての意見や希望、不安や悩みがたくさん聞かれました。そんな声を基に、新しい時代をリードしていく女性リーダー像についてのアンケートを行いました。


写真=PIXTA

管理職になれば、女性の視界が変わる

平成の30年間、日本企業はなかなか業績が伸びなかったので、各社の管理職のポストは限られています。そんな中、女性活躍という流れが生まれて女性が管理職になると、男性は「なぜ俺より彼女のほうが先に昇進するんだ。女性管理職を増やすためにげたを履かされているからじゃないか」などと思いがちです。

確かに、女性管理職に聞いた「なぜ自分が管理職に選ばれたと思うか」の問いでも、最も多かった回答は「会社の方針があったから」でした。実際に、これを1つの理由として女性を管理職に上げている会社が多いのも確かです。登用する役員層も、人事部から指示されて女性を起用したものの、男性部下から不満が出ることがわかっているので、これをどういなすかに頭を悩ませています。

ただ、嫉妬する男性部下や、その不満に悩む男性役員たちが自覚すべきなのは、たまたま男女の役割分業が進んだ昭和から平成半ばの約50年間、男性が優遇されていたということ。それを棚に上げて、男性が冷や飯を食わされていると考えるのは、お門違いだと思います。

実際、「自分が男性管理職だったらよかったのにと感じたこと」の自由回答でも、「昇格試験を受けて管理職ポストについたのに、社内に『女性活躍の機運があるからだ』という雰囲気がある」「男性だったらもっと早く昇格できた」といった回答がありました。裏返せば女性管理職の方々には、「(追い風が吹いているのは確かだけれども)自分はきちんと努力して管理職になった」という自負があるわけですね。

私が営む会社はさまざまな企業で管理職研修などを行っていますが、女性の場合、管理職になる前は男性社会に引き気味で「あまりなりたくない」という方も多いです。でも、実際になってみると視界が変わるんですね。大きな仕事ができたり、決裁権を持てたり、部下を育てたりと、管理職の仕事の楽しさがわかってきます。「管理職を引き受けた理由」、「管理職になって良かったこと」の質問で、それぞれ最も多かった回答が「やりがいを感じたかったから」「新たなステージに上がった」というのは、その裏付けと言えるでしょう。

管理職になって難しいと感じたこと

「管理職になって難しいと感じたこと」で多い「働き方に対して意識差のある部下のマネジメント」「部下の叱り方」は、男性管理職からもよく聞く悩みです。個人差はあるものの、部下それぞれに合ったマネジメントをするのは、細かな配慮ができる女性管理職のほうがこれまで苦労してきたぶん部下の気持ちがわかり、得意な傾向にあると思います。

一方で、「自分のプライベートとの両立」が難しいと感じている方が多いように、部下を個別にコーチングすればするほど、ますます自分の時間はなくなり、疲れやストレスがたまっていきます。最初から「10頼んだ仕事が10できないとダメ」と考えるのではなく、「10のうち5できて良かったね」と、スモールゴールを設定して成功体験を繰り返させ、5を積み上げていくチームづくりをするなど、チーム全体がストレスを感じない仕事の進め方をしていかないと部下は育ちませんし、何より管理職自身が疲弊してしまいます。

ただでさえ、働き方改革の影響で、短時間で生産性を上げて成果を出さなければならなくなりました。仕事を部下にやらせると残業になってしまうからと、自分が肩代わりしている管理職も増えています。

今は「自分の時間が減るくらいなら出世したくない」という若手も少なくありません。管理職になっても部下に仕事を振れないから自分で行っている、プライベートを犠牲にして働く上司の大変な様子を見ると、若手はいっそう「ああはなりたくない」と思いますし、悪循環ですね。

女性上司に最も厳しいのは女性部下

ここからは、部下や上司、同僚から女性上司が実際にどう見られているかを見ていきましょう。「女性管理職として許せないと思う要素」として1位の「いざというときに部下を守らない」は、性差関係なく上司に求められる能力不足の指摘です。

上司の役割とは、背伸びが必要な仕事を「部下に任せる」こと、しかし丸投げではなく「成功するように応援する」こと、結果の成否にかかわらず「振り返らせて責任をとる」ことの3つです。男性より女性のほうが部下を守らない上司を「許せない」割合が多いのですが、男性には縦社会の中間管理職の難しさが見えているからかもしれません。

2位の「感情のコントロールができない」については、「許せない女性上司」の自由回答にもたくさんの意見が寄せられました。実際の企業研修でも、男女とも部下の人たちから「男性に比べて女性上司は感情が外に出やすく、すぐ怒る」とか、「機嫌の良い悪いがわかりにくく、対応に苦慮する」という声が上がります。また男性幹部でも、「部下にあたる女性管理職がチームメンバーとやり取りをしている様子を見ていると、ギクシャクするケースがあり、そうしたときには女性管理職の気持ちのケアの必要性を感じる」と案じている方もいます。

身だしなみについても、男性より女性のほうが厳しい意見が出ました。女性管理職自身も身だしなみには敏感で、「管理職になって増えた出費」の自由回答を集計したところ、ダントツは管理職にふさわしい「服飾費」でした。「プチプラ服は着られなくなった」「服のブランドをワンランク上げた」などの回答がありました。

今の日本企業の仕組みは男性がつくってきました。女性管理職からすると自分より上はいわゆる“オールド・ボーイズ・ネットワーク”なので、男性社会で上手に生きていくすべを考えますから、接し方だけでなく身だしなみでも男性目線を意識する女性もいます。ただ、それが女性の部下から見ると「上(男性)にこびている女性上司は嫌だし見苦しい」となることもある。男性より女性のほうが全体的に厳しい意見なのは、そのためでしょう。

決めつけてはいけませんが、傾向としてあるのが、女性のほうが職場の中の狭い範囲での横の関係に敏感で、男性は会社の中の縦の人間関係、つまり組織のヒエラルキーに敏感です。アンケート結果には、この違いが出てきているのでしょう。

令和のマネジメントは「共感・支援型」の女性が有利

「女性管理職に備わっていてほしい要素」では、「責任をとる覚悟」「公平」が上位に、また「ロールモデルになりそうな女性管理職像」は「自己管理」「決断力」が上位でした。

管理職になると自分を動かす仕事ではなく、人を動かすことが仕事になり、さらに上のステージになれば組織を動かすことが仕事になります。多くの選択肢から周囲の意見も聞きつつ、やることを決断する。出した指示に納得を得られなければ部下も組織も動きません。もしその決断が間違ったときには責任をとる。そして次に向かう。これは男女問わず管理職に必須の要素だと思います。

19年5月に「女性活躍・ハラスメント規制法」が成立しましたが、部下のマネジメントはますます難しい時代に突入します。性差のみならず世代によっても上司に求めるニーズは変わっていて、傾向としては若い世代ほど、承認欲求が強くなっています。


写真=PIXTA

少子化で兄弟姉妹が少ない代わりに、インターネットで常に友達とつながり、お互いに「いいね」し合って承認欲求を満たしてきた若い世代は、異世代とのコミュニケーションに慣れていません。上司のちょっとした注意にも、ものすごい破壊力を感じてショックを受けてしまいます。

今の40~50代は「四の五の言わずにやれ、仕事なんだから」と言われ、わからなければ自分で調べたり先輩に聞いたりしながらやってきました。ジョブローテーションで転勤や異動があっても同じ会社に勤め続ければ給料が上がっていきましたから、会社に尽くせたわけですね。

対して今の若い人たちは終身雇用を信じていませんし、会社がどうなったとしても自分で食べていけるだけの力をつけていきたいと思っています。自分の良いところを認めてもらって、それを活かすような役割を与えてほしいんです。だからそこにたけた女性上司は人気があります。

これからは組織や仕事の目的と個の尊重で動機づけする「共感・支援型」のリーダーシップが求められます。「あなたはどうなりたいの?」「そういうキャリアイメージを持っているのね」「それに近づくために、この仕事とこの仕事を、このステップでできるようになっていこうね」「私も応援するから一緒に頑張りましょう」などと、部下の話を聞きながら、ゴールと途中のステップを明確にし伴走してあげるのです。

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