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- 2019年12月07日 22:27
自治基本条例 廃止の可能性もある
武蔵野市は自治基本条例の議案をこの12月議会に条例案を上程した。審議はこれからなので、内容については別の機会にしたいが、制定した自治基本条例を廃止する動きがあり注目を集めている。

■石垣市で廃止の議論
廃止を検討しているのは沖縄県石垣市。石垣市では、陸上自衛隊駐屯地の配備で島内が割れており、住民投票実施を求める署名が行われ、有権者の約4割に当たる1万4263筆を集め昨年の12月に市に直接請求が行われた。そのため市が住民投票条例を議会に提出したところ、今年の2月に議会は否決。市は地方自治法上の条例制定請求手続きは終了したとして住民投票を実施しないとしている。しかし、署名を集めていた住民団体は、石垣市自治基本条例では4分の1以上の署名を集めた場合は、市長に投票実施を義務として規定しているため住民投票を行うべきと主張。現在、法廷で争われている。
一報で石垣市議会では、自治基本条例に関する調査特別委員会を設置し、12月2日に自治基本条例を廃止すべきと審査結果を議会に報告している。ところが、経緯は分からないが、いわゆる市長与党のみで構成されている特別委員会で構成されており、野党系議員が委員になっていないものだった。いわば「廃止ありき」との批判もあるという。
廃止の理由は、「市民」の定義があいまいで、住民登録をしていない外国人や反社会的な個人まで「市民」になることだと伝えられている。
特別委員会報告の内容について、市や議会に従う義務はないが、今後、市が廃止条例を提案する、あるいは議員提出議案として廃止が出されるかは分からない。廃止と考えている議員が多ければ、廃止は可能になってしまうのが議会というものなのだ。
石垣市自治基本条例は、2009年に沖縄県で初めて制定されている。廃止となれば全国で初めてとなる。
■指摘されている問題点
条例は議会の議決で決まる。そのため、議会が否決したり、廃止条例を提出したりするとなくなることも当然想定されることだ。自治基本条例での市民の定義は問題になることが多い。自民党は、「チョット待て!!"自治基本条例" ~つくるべきかどうか、もう一度考えよう~」としたパンフレットを党のサイトに掲載している。内容は、特定のイデオロギーに基づいて制定されており、国家の存在を否定している。住民投票の有権者資格は公職選挙法で規定する日本国籍を持つものとして、最終的には行政と議会が責任を持つことなどを求めている。
早い話、外国人や住民票がなくても活動している住民や団体は投票できないようにすべきで、住民投票の結果には縛られないことを求めているのだろう。
武蔵野市自治基本条例案の市民の規定は、公職選挙法によるものではなく、在住、在勤、在学に加えて市内で活動している人、団体など幅広くとらえている。自民党が問題点としている指摘している内容となっているため、審議ではどうなるかは現時点では分からない。
■武蔵野市自治基本条例案の課題
武蔵野市自治基本条例案で住民投票の条文はあるものの、詳細は別の条例で定めるとしてあり、自治基本条例が成立しても、住民投票が可能にならないためすぐに問題とはならないだろうが、上記のことは懸念材料だ、そのことよりも、災害時に市職員は市民の安全確保に努めなくてはならない(第8条3)と書かれているが、吉祥寺など繁華街へ来街者や通勤、通学の途中の人が市内で災害にあった場合(帰宅困難者など)、市民の定義にはならないので、これらの人の安全確保を職員がしなくていいのか? との疑問が残る。

いずれにせよ、自治基本条例の今後はどうなるか分からないということ。議会構成が変われば廃止、修正は可能になることを前提で考えておくことが必要だ。制定することがゴールではなく、実際に運用して、自治基本条例があってよかったと市民に思われないとならない。自治基本条例の本当のゴールはまだまだ先だ。
【参考】
沖縄タイムス どうなる住民自治? 石垣市議会の委員会 自治基本条例「廃止に」 5時間で結論(12/3)
武蔵野市 自治基本条例(仮称)素案(条文は未掲載)




