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  • 階猛

「独立」ではなく「独善」-黒田日銀総裁


2016年1月に日銀が「マイナス金利」政策を導入してから、もうすぐ4年です。これにより利息が付かず家計が厳しくなりましたが、金融機関の経営も厳しくなっています。今年9月の中間決算では、地域金融機関の約半分の50行が本業赤字。金融機関の中には、①含み益のある有価証券の売却による利益計上、②リスクのある取引先への高金利での貸出しなどで、赤字を穴埋めしてきたところもあります。しかし、「マイナス金利」の長期化で含み益が乏しくなり、不良債権が増えるなど、防衛策も限界に近付いています。

11月29日の財務金融委員会で、日銀の黒田総裁は、現在の金融政策につき「政策の効果と副作用の両方を考慮することが重要」と述べましたが、「副作用」である金融機関や預貯金者の不利益は増大する一方、「効果」として期待されていた2%の物価目標は達成されるどころか遠ざかっています。内外の金融専門家も「マイナス金利」の長期化が、経済に悪影響を及ぼしたり、金融政策の効果を損なったりするということを指摘しています。

これを踏まえ、私から「マイナス金利の長期化は、効果があるどころか弊害を生んでいるのではないか」と黒田総裁に尋ねたところ、「現在の金融政策が他の金融政策に比べて劣るとは思わない。徐々に2%に向けて上昇していくと考える」と答弁。これに対し、「現に2%から遠ざかっている。効果はないのではないか」と指摘すると、聞かれたことには答えず、「議員のほうから代替案を示さない限り合理的な政策論争にならない」と開き直りました。

また、「マイナス金利」になる前から日銀は「量的・質的金融緩和」と称して、国債を大量に買い続けてきました。その額は480兆円にも上っています。現時点では「マイナス金利」のおかげで、それ以前に買ったプラス金利の国債は価値が上がっています。ところが、仮に「マイナス金利」をやめ、金利水準が現在より1%分上がったとするとどうなるか。黒田総裁は、日銀の保有国債の価値が33兆円程度下落することを認めました。そうなると日銀の保有国債には13兆円もの含み損が生じ、日銀の経営に大きな影響が及びます。

黒田総裁は、自分と日銀を守りたい、という一心で「マイナス金利」にこだわっている印象でした。これまでの度重なる物価目標達成の失敗も踏まえ、本来であれば辞任するのが当たり前ではないか、と最後に私が述べたところ、「議員の言っていることはすべて間違っている」と理由もなく、ムキになって反論。反省の色も見られず総裁の地位に居座る姿勢でした。

日銀は、法律で金融政策の「独立性」が保証されていますが、「独善性」までは保証されていません。日銀総裁には、自らの保身のためではなく、我が国の経済や金融の健全な発展のために金融政策を論じられる人物がふさわしいと思います。

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