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カジノとeスポーツの融合論がいよいよ日本でも

さて、eスポーツ業界と統合型リゾート業界の交錯がいよいよ始まりました。以下、経産省からの受託で日本eスポーツ連合さんが取り仕切りをしている『e スポーツを活性化させるための方策に関する検討会』の第二回議事録より。

第2回『e スポーツを活性化させるための方策に関する検討会』https://jesu.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/summary_vol2.pdf
円の図に「統合型リゾート」と書かれているが、この点は少し踏み込めるのではないか。IR の中の魅力増進施設(3号施設)という定義で解釈できるのではと思う。IR 誘致をしている自治体で、e スポーツやゲームのミュージアムを広げていくというのも一案。
残念ながらどなたからの発言なのかについては記載がないのですが、検討会の委員から上記の様な発言があった様です。当該委員が言及しているのは、第一回検討会において示された以下の「eスポーツの経済効果と社会的意義」を示した図の中の左上に示された統合型リゾート(IR)という記述であります。



第一回会合の開催前にこの図が詳細の説明なく開示されてしまった故に、一部メディアからは「経済産業省、eスポーツベッティングを視野に入れたeスポーツ検討会を開催へ」などと全くのデタラメな報じられ方をしてしまった「いわくつき」の図であったりもしますが、上記で委員が指摘している様にIR推進法でIR内の必置施設として定められている魅力増進施設(3号施設)としてのeスポーツをイメージしているようです。

IR整備法の第二条第三号に定められる通称「3号施設」ですが、実際の法文上の記載は以下のようなものになります。

我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの
この条項はあくまで「我が国の」伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行う施設を定めたものなので、残念ながら必ずしも日本発信ではない「eスポーツ」という概念がこの条項の定める3号施設に該当するかどうかは正直ちょっと悩ましいところ。そういう意味では委員が言及しているように、日本のポップカルチャーとしての「ゲーム」にその文脈を広げて施設展開をする必要があるのじゃないかな、と思うところです。

一方で純粋なeスポーツ施設の設置は、同じくIR整備法第二条の第六号に定められる「前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」には当てはまるんじゃないかなとは思います。

ただ、上記の検討会におけるeスポーツと統合型リゾートとの関係に関する論議が非常に残念なのは、統合型リゾート施設とeスポーツ関連施設の複合開発という表層的な論議に始終してしまって居ること。勿論、観光集客施設として統合型リゾート内にeスポーツ関連施設が大きく採用されることは、ラスベガスやマカオの実際の開発でも見られる事例であり、それはそれで一つのシナジーの形ではあるのですが、正直カジノ産業はそういう表層的な「複合」という意味だけでeスポーツ施設をそのオペレーションの中に取り込んでいるワケではありません。

現在、特にアメリカにおいてeスポーツ業界とカジノ業界が急接近しているのは、そこに「ゲームを遊ばせ褒賞を提供する」という共通項があるから。この二つの業界は、互いにその性質としての共通性があるからこそ近接して行っているわけです。そして、その両業界を繋ぐカギとなるのがアメリカの主要市場を中心に徐々に導入が始まっている技術介入要素のあるカジノマシンゲーム、「スキルゲーム」の存在です。

スキルゲームは、2015年にアメリカ国内の最大市場であるネバダ州に、2016年に東海岸のカジノの有力市場であるニュージャージ州で法律が制定されることで導入が始まった新しいカジノゲームの潮流。カジノゲーム、その中でも特にカジノのマシンゲームにおいてはその勝敗にプレイヤーの技術が介入できる要素が様々な形で制限されてきたのがこれまでのカジノ統制の歴史でありましたが、アメリカではここ数年、マシンゲームにおけるスキル要素導入を大きく開放する方向で法改正、もしくは新法の制定が進んでいます。その結果、ここ数年ビデオゲームとほぼ変わらないゲーム仕様のカジノマシンが多数誕生しているのが実情。例えば、このマシン;



本ゲームはまだ展示段階であり未だ実機の設置は行われていないものですが、ゲームセンターに設置されているソウルキャリバー2のCOM戦とほぼ同じ、コンピュータ相手に6戦連勝すると現金を獲得することが出来ます。この他にも例えば;

FPS(第一人称視点シューティング)ゲームのカジノマシン


今は懐かしのスペースインベーダーのカジノマシン


コチラも懐かしい4人対戦型パックマンのカジノマシン


など、既に様々なスキルゲームが登場しています。要は、今アメリカの業界で起こっている事は、カジノとeスポーツが「ゲーム」というIPを結節点として、それを「興行」として展開し複数人で賞金を争うeスポーツ産業と、それをシングルプレイ用のスキルゲームという形で提供するカジノ産業が並走してゆく未来図が描かれている。だからこそ、カジノ企業は自社の開発する統合型リゾート内にeスポーツ施設を大きく展開しているのであり、それは「ただの複合開発」ではないのです。

そして、やはり特筆すべきはこの分野における日本企業の競争力です。上記でご紹介したうちソウルキャリバーは日本のゲーム企業バンダイナムコ社のコンテンツですが、その他、パックマンも同じくバンダイナムコ、そしてスペースインベーダーはタイトー社と、伝統的にアーケードマシンゲームの開発に強かった日本企業はこの分野においては世界的に競争力のあるコンテンツを沢山持っているわけです。

またアーケードゲームから目線を少し横に動かすと、日本ではスマホゲーム分野でもカジノマシンゲームとしての採用に適したコンテンツが山ほどあるわけで、この分野はひょっとすると日本のゲーム産業にとって新しい国際競争分野になるかもしれない。というよりは上記でご紹介したとおり、既に感度の高い企業はこの分野に進出して行っているのが実態。

我が国のカジノ合法化と統合型リゾートの導入にあたって、eスポーツと統合型リゾートのシナジーを語るのならば、本来的にはこの様な両産業がより大きい絵図に向かって融合してゆき、さらなる経済効果を生み出して行く未来を語らなければいけない。日本eスポーツ連合が主導する国からの受託事業「e スポーツを活性化させるための方策に関する検討会」が、ほんの表層的な施設の複合開発の目線でしか統合型リゾートとの関係を整理できていないのは、非常に残念だなと思うところであります。

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