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中曽根康弘先生の思い出など

 石破 茂 です。

 中曽根康弘政権は5年にわたる長期政権であり、最後の一年は私も新人議員として議席を得ておりましたが、政権が終わるまで緊張感に満ちたものであったことを鮮烈に記憶しています。長期政権になれば緩みや弛み、驕りが出るというのは違うと思います。必然的にそうなるのでは決してありません。与党の一員として、今の状況に重い責任を有していることを強く自覚しなければならないと痛感します。

 中曽根先生は内務官僚から海軍に志願し、太平洋戦争中は各地を転戦されましたが、戦艦や巡洋艦に乗艦して海戦を戦うのではなく、主計将校として主に輸送部隊に勤務し、物資・燃料の補給に当たられたようです(終戦時の階級は海軍少佐)。補給や兵站を軽視した帝国海軍は輸送船に十分な護衛を付けることがなく、輸送部隊は次々と米潜水艦の標的となって多大な犠牲が生じたことも、敗戦の大きな要因の一つです(「輸送船護衛に就くのは腐れ士官の捨て所」。輸送や補給などの兵站や情報を軽視したのは帝国陸軍も同様で「輜重兵が兵ならば蝶々蜻蛉も鳥のうち」と言われたそうです)。先生の安全保障観や日米同盟観の根底には、間違いなく死線を彷徨われた戦争体験があったものと思われます。

 総理就任後、一番に訪問先として選ばれたのは韓国でした。中曽根総理は先の戦争について「私は、いわゆる太平洋戦争、大東亜戦争とも言っておりますが、これはやるべからざる戦争であり、間違った戦争であると申しております。中国に対しては侵略の事実もあった」と述べておられます(昭和60年10月29日・衆議院予算委員会・東中光雄議員に対する答弁)。その言葉の持つ意味を今一度冷静に分析し、考えてみなくてはなりません。

 中曽根先生と同年であり、一兵卒として日中戦争に従軍された田中角栄先生は生前、「戦争を知っているヤツが世の中の中心にいるうちは日本は安全だが、戦争を知らない世代が中核になると怖い。だからよく勉強して貰わなくてはならない」と語っておられたそうですが、まさしくそのような時代となりました。

 戦争の歴史を学ぶことの重要性が一層増しているにも拘らず、憲法論議においても場当たり的な議論が一部で横行していることに強い危機感を感じています。再発足した、安全保障を考える超党派の議連において、戦史も学び直すことが出来ればとても有意義だと思っています。

 今週3日火曜日に「秘密のケンミンSHOW」の収録があったのですが、明治9年に鳥取県が島根県に「併合」され、明治14年に再置された際の詳細な経緯など、自分が鳥取県民でありながら知らなかったことも多くあり、とても勉強になりました。

 「桜を見る会」事案については、依然として国民の納得が十分に得られない状況が続いています。政治が嘲笑の、官僚が憐憫の対象となってしまうことは何とも悲しく情けないことで、これを解消することは我々の責務であり、やがて世間は忘れるだろうとタカを括ることがあってはなりません。政治ですからすべてが綺麗ごとで済むとは思いませんが、綺麗ごとが全く失われた政治はその名に値しないということを自重自戒しています。

 週末は、7日土曜日が「衆議院議員 赤澤亮正君を励ます会」(午前11時・皆生グランドホテル天水・鳥取県米子市)、自民党鳥取県ちんたい(賃貸)支部との懇談会(午後2時・同)、大学アメリカンフットボール関係者忘年会(午後7時・都内)という日程です。

 週末残余の時間は暮れの挨拶廻りや、溜まりに溜まっている資料整理に充てる心算でおります。

 師走の慌ただしさが日に日に増して参りました。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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