記事

「2020年の景気は悪い」と断言できる統計的根拠

1/2

前回の消費増税より、今回のほうが落ち幅が大きい

11月28日、経済産業省が10月の商業動態統計の速報値を発表しました。それによれば消費増税直後である10月の小売販売額は前年同月比で7.1%減でした。増税の影響に加えて9月の駆け込み需要から10月の小売販売額は当然落ちるということは想定されていました。


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/erhui1979

それでは、この7.1%減というのはどのようなレベルなのでしょうか。

一番わかりやすい比較でいうと、前回の増税があった2014年4月の小売販売額は前年同月比で4.3%減だったということです。つまり今回の増税での減少額のほうが大きかったことがわかります。経産省の分析によれば10月に台風被害が起きたことも、小売りの販売減に影響しているということです。

「まあそういった影響もあっただろうな」とは思います。しかし今回の速報をストレートに見ると、やはり消費増税の影響で来年の景気は悪いほうに向かうことが想像できる。なんとなく嫌な速報数値だというのが私の第一印象です。

もう少し詳しくみると、どう悪くなるのかが見えてきます。今回の記事は数字が多くなるので「いやだ」と感じる読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、来年の景気予測について重要なことを書きますので、できれば我慢してお付き合いいただければと思います。

消費増税の影響を受けなかった3つの業種

まず小売全体は7.1%減になった一方で、それほど売上が下がらなかった業種が3つあります。

1つは飲食料品小売業で、売上は前年同月比2.2%減にとどまっています。これにはわかりやすい理由が2つあります。

1つは今回の増税で食料品は増税の対象外となって8%の税率が維持されたこと。増税していないので売上減が少ないということです。そしてもう1つは食料品は生活必需品であるということ。買わないわけにはいかないので、その分減り方も少ないということです。

ただ増税の影響で消費者が財布のひもをしめる際、当然のことながら消費行動としては贅沢をなるべく避けることになるので、食料の売れ行きは無傷というわけにはいかない。10月は少しマイナスになったことを考えると、安心するのはまだまだ早いと私は思います。

そもそも食品については消費増税以降、節約志向が高まると予想されていました。今回10月時点で「増税していないのに売上が減っている」という結果が出たことは、今後、生活が苦しくなってくるとさらに食品の節約志向が高まることを予感させる要注意情報だと考えたほうがいいでしょう。

ドラッグストアの食品売上がプラスになったワケ

2つめの業種はドラッグストアで、売上は前年同月比0.1%増と減っていません。これも予想の範囲内です。とくに処方薬を含めた医薬品に対する支出は減らすわけにはいきません。小売販売額に影響がなかったというのはわかりやすい結果だと思います。

ただこの点でもうひとつ深掘りすると面白い結果が見えてきます。それはついで買い効果がみられるという点です。

ドラッグストアでは調剤医薬品が8.9%増、増税の影響しない食品が7.4%増と、2つの主力商品が売上維持に大きく貢献しています。逆にトイレタリーや化粧品、ペット用品などの売上は減っています。しかしその減り方が小売業全体と比べると少ないという傾向が出ているのです。

もともと雑貨について、スーパーよりも安いイメージがあるのがドラッグストアです。だから今回スーパーやホームセンターの売上がドラッグストアに流れた。それに加えてさきほど触れたように食料品を本業とする小売店がマイナスだったのにドラッグストアの食品は大きくプラスです。

こういった点から、不景気な時代がくればドラッグストアは業態的には成長するのではないかという未来がなんとなく予感できるところが面白いと思います。

あわせて読みたい

「景気」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    コロナ後の日本は失業者増えるか

    ヒロ

  2. 2

    米で広がる分断 アジア人も下層

    WEDGE Infinity

  3. 3

    コロナでトランプ惨敗説が急浮上

    WEDGE Infinity

  4. 4

    給付金寄付の強制は「責任転嫁」

    非国民通信

  5. 5

    米の中国批判に途上国はだんまり

    六辻彰二/MUTSUJI Shoji

  6. 6

    渋谷で「一揆」補償巡りデモ行進

    田中龍作

  7. 7

    テラハ演者 陰湿さ増す悪魔構造

    女性自身

  8. 8

    マイナンバー遅れで残る利権構造

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  9. 9

    重症者少ないアジア 人種要因か

    大隅典子

  10. 10

    百恵さんの配信解禁 若者も絶賛

    女性自身

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。