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「カジノ整備計画の認定失効による解除」に関する論議

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IR整備法10条問題にまたまた世の中が揺れています。IR整備法は、その第10条に国によるIR整備計画の認定期間は当初10年であり、その後5年ごとの更新を定めています。また、この認定更新にあたってはIR整備計画認定と同様のプロセスが求められており、当初10年以降は5年ごとに各自治体における議会承認が必要となっています。

そもそも数千億円規模の民間投資を期待する不動産開発事業において10年という認定期間の設定自体がナンセンス過ぎるものであり、まずもってこういう規定を定めた役所の方々の常識的思考を疑うワケですが、一方でその更新認定にあたって当初の計画認定と同様のプロセスを5年ごとに求めるという状況も最悪。この条項を前提とした場合、IRが立地する自治体においては少なくとも4年に一回改選が行われる首長選や地議選においてほぼ毎回、IR存続の是非が争われ、事業者がその地での安定した営業を常井おびやかされる環境におかれてしまう可能性があるわけであります。

一方で、大きな資本投下を求めたい自治体としては、何とかこのIR整備法10条の定める認定期間の短さを乗り越えようと、以下のような妙なことを言い出す自治体も出てくるワケです。以下、先日発表された大阪府市のIR整備実施方針案からの引用。

・区域整備計画の継続判断基準(第 10-1.-(1)a 乃至 c)以外の事由により、大阪府が、区域整備計画の認定の更新の申請を行わず、若しくは、区域整備計画の認定の取消しの申請をし、又は、これらの認定の不更新若しくは認定の取消しを原因として実施協定が解除された場合は、大阪府は、実施協定の定めるところに従い、これらに起因して設置運営事業者が現実に被った通常生ずべき損害(逸失利益は除く。)について、設置運営事業者に対して補償する。

・ 但し、区域整備計画の継続判断基準(第 10-1.-(1)a 乃至 c)以外の事由により、大阪市が、更新付議同意を行わず、これにより大阪府が区域整備計画の認定の更新の申請を行わず、又はこれらの認定の不更新を原因として実施協定が解除された場合は、立地協定の定めるところに従い、大阪市が、これらに起因して設置運営事業者が現実に被った通常生ずべき損害(逸失利益は除く。)について、設置運営事業者に対して補償する。 (出所:大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備 実施方針(案) 、下線は筆者)

上記大阪府市が掲げる方針案の条項は、当初10年の認定期間を経た後に5年ごとに発生する認定更新にあたって、大阪府市が予め定められた基準以外の事由をもって整備計画の認定更新をしない場合、自治体側が事業者が被った損害を補填するという条項であります。要は、10年後の未来の首長や議会が、突然IRの継続設置を「やめる」と決断した場合、その時点で事業者が未だ回収しきれていない投資分を自治体側が損失補填しなければならない、という取り決めです。

この条項があれば認定更新にあたって想定される政治リスクを負わなくて良いということになりますので、少なくとも民間事業者側は大喜びするのでしょうが、未来の首長や議会の判断に金銭的リスクを負わせる様な事業者との協定締結が政治倫理的に許されるべきかどうか、という論議は当然ながら出て来るワケです。

そして、その様な論議がまさに噴出したのが先月末11月29日に行われた衆院内閣委員会でありました。以下、11月29日衆院内閣委員会における塩川鉄也議員(共産)の質疑。

塩川議員: 基本方針案では、IR事業は長期間にわたる安定的で継続的な実施の確保が必要であることを踏まえ、都道府県等とIR事業者の合意により区域整備計画の有効期間を超えた期間を定めることも可能であると、まさに政府の作っている基本方針案の段階で長期の期間での実施方針の取り結ぶことが可能なんだという風にお墨付きを与えてるという状況になっています。

そうはいっても、知事や市長が変わるあるいは議会の構成が変わってIRカジノを認めないとなった時に、その手を縛るということにはならないんですか?

赤羽大臣:そういったことも想定されるのだと思うのですが、我々は実施協定の中に立ち行かなくなった場合の決め事とか、議決が取れなかった時に損害賠償を起こさないとか、そうした項目を盛り込んで頂ければと思っております。

塩川議員:損害賠償を起こさないって話ですけども、実際にスタートの時には当時の首長や議会の構成によってIRカジノを進めましょうという形になったとしても、その途中でそれはオカシイという住民の声があって市長や知事が変わる、議会の構成が変わる。止めようとなった時に本当にそういった損害賠償を求めないというスキームになるのか。というのは最初の実施協定に何が書かれているかということになるワケですよ。最初の実施協定で縛りがかかるんじゃないのかとという問題であるワケです。

基本方針案の中では、都道府県等とIR事業者の間の実施協定においては、都道府県等の申請により認定の取り消しが行われた場合における補償について規定しておくことも可能としているわけです。ですから、何か問題があって認定の取り消しを行うと言ったような場合に、その変更を行った自治体の側に補償の責務が生じるということも可能だということわざわざ書いているんですよ。

現に大阪府市の実施方針案にもその様な内容が盛り込まれています。そうなると実施協定の段階で途中で変更したら補償もしますよと言ったことも含めて書かれてるとなったら、途中で知事や市長や議会の構成が変わったとしても、もう後戻りが出来ないとこういう仕組みにならざるを得ないのではないですか?それが実施協定の中身という事を皆さん、仰っているということではないですか?

当然ながら共産党はカジノ導入反対の立場ですから「こういうスキームでのカジノを進める案は認められない」として反対論でしめくくるワケですが、一方で実は推進側にいるハズの自民党議員からも類似する指摘が出てきておりまして。。以下、三谷英弘議員(自民)の質疑より。

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