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「規制改革」を妨げる、国会議員の不当な言動を許してはならない。

 アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」の一丁目一番地は、「規制改革」だ。我が国では多くの分野で、時代遅れの規制が残され、新たなチャレンジやイノベーションが阻まれている。これらの規制を最新の技術や社会動向に適合させ、無用な規制は取り除き、民間事業者が最大限の力を発揮できる環境を整えることこそ、政府が行うべき最重要の成長戦略だ。

 私が本部長を務める自由民主党行政改革推進本部は、規制改革も所掌する。今年6月には、規制改革推進機関の「常設化」などを政府に提言した。こうした組織は90年代以来、3年程度の臨時組織で繋いできたが、これを改め、推進体制を抜本強化するようにも求めた。提言を受けて、安倍内閣は「常設化」を決定し、10月に常設の規制改革推進会議(議長:小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長)が発足した。

 自民党行政改革推進本部ではさらに、11月末、小林史明議員(規制改革チーム座長)が中心となって「デジタル規制改革に関する提言」をとりまとめた。インフラなど法点検のルールの見直し、国民や職員の負担となっている行政手続の電子化など、規制や働き方をデジタル時代に適合させる包括的な提言をまとめ、北村誠吾・規制改革担当大臣に申し入れた。この提言は、12月3日、政府の規制改革推進会議で来夏に向けた重点課題として正式に決定された。

 まだ十分な対応までは至っていないが、安倍内閣の「規制改革」は、着実に前進している。

 その一方、今国会では、「規制改革」の重大な障害になりかねない出来事もあった。規制改革に関わる会議の民間委員に対し、国会議員から不当な攻撃がなされたことだ。

 10月15日の参議院予算委員会で、森ゆうこ参議院議員(国民民主党)が、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理の原英史氏を名指しし、特区提案者から金銭を受け取り「国家公務員ならあっせん利得収賄で刑罰を受ける」などと発言した。

 原氏は、もともと経済産業省に務め、第一次安倍内閣では行革大臣補佐官として公務員制度改革を担当した人物で、私は当時からともに日本再生に向け、共に汗をかいて来た。その後役所を辞めてコンサル会社を運営するほか、ここ数年は国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、前の規制改革推進会議(10月に発足した新会議の前身)の投資等ワーキンググループ座長を務めるなど、「規制改革」の中核を担ってきた。

 森議員の発言が事実無根であることは、原氏本人が言論プラットフォーム・アゴラなどで説明しているので、詳細はそちらに委ねる。もともとは6月に毎日新聞が、原氏が特区提案者から金銭を受け取ったなどと報じたが、他紙は全く後追いしなかった。この種の報道で後追いがないことは、一般には誤報だったことを意味する。原氏は毎日新聞社を提訴し、訴訟では毎日新聞は「原氏が金銭を受け取ったと報じたつもりはない」と主張していたという。

 つまり、森議員の発言は、情報源の毎日新聞すら今や否定する、全く根拠のない誹謗中傷だったのだ。国会議員が、こんないい加減な国会発言をしてはならない。そのうえ、森議員は11月7日の参議院農水委員会で、原氏の自宅住所を記載した資料を国会で配布し、ネットで拡散した。個人情報の取扱いが社会全体で厳格になっている中で、およそありえないことだ。

 原氏は、多くの規制改革課題で既得権益と戦い、既得権業界や役所に逆恨みされることも多かったはずだ。おそらく、こうした関係者が報復などの意図をもってガセ情報を流し、一連の報道や国会質問につながったのだろうことは、想像に難くない。

 ともかく、こんなことを許してはならない。原氏本人にとっても深刻な人権侵害だが、さらなる問題は、こうした事態を放置すれば、規制改革に本気で取り組む民間人はいなくなってしまうことだ。せっかく常設化した会議の委員たちの間でも、「原さんみたいなことをされたら身が持たない」との懸念が広がっているという。委員たちが強力な既得権益への切り込みに二の足を踏むようなことになれば、規制改革は完全に停滞してしまう。

 原氏は12月2日、同じく規制改革や行政改革などに取り組んできた八代尚宏氏、冨山和彦氏、岩瀬達哉氏、朝比奈一郎氏らとともに、森議員の懲罰と再発防止策の検討を求める請願を参議院に提出した。
http://agora-web.jp/archives/2042978.html

 国会議員の発言は、憲法第51条で「免責特権」が定められ、民事でも刑事でも責任を問われないため、訴訟ではなく、国会への請願の形をとったものだ。

 免責特権は、国会での自由な言論を保障するための制度だが、これまでも問題の生じることがあった。例えば、かつて昭和60年、国会質問の中である病院長が「異常」、「破廉恥」などと誹謗中傷され、翌日自殺した事件があった。この件では、ご遺族が提訴して最高裁まで争ったが、結局、免責特権の壁に阻まれ、訴えは認められなかった。

 訴訟の道がほぼ閉ざされている中、残された数少ない手立てが、国会での懲罰(除名、登院停止など)を求めることなのだ。

 言うまでもなく、免責特権を濫用し、民間人を不当に誹謗中傷するようなことは許されてはならない。まして、規制改革の妨げになりかねない動きには、断固たる対応をとらなければならない。自民党として、この請願の採択と懲罰実現に向け、最大限取り組むべきだ。

 また、今後、免責特権を隠れ蓑に、こうした国会での人権侵害が繰り返されないよう、仕組みづくり(例えば、誹謗中傷された者の申立てから懲罰検討に至る手続きの整備など)の議論も必要だ。

 国会は、国権の最高機関として、事実に基づき、責任ある議論の繰り広げられる場でなければならない。

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