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全国の大学生を対象に消費税増税に関する意識調査を実施 「増税は仕方がない」~ドッドジェイピー調査~

NPO法人ドットジェイピーは4月23日~6月8日、全国の大学生(院生含)を対象に「消費税増税」に関する意識調査を実施した。その結果、半数近くの学生が消費税増税に賛成の意向を示す一方、4割強が増税に対し政府の説明が不十分と考えていることがわかった。本意識調査は、若者がどのような意識を持っているのか調査することを目的に実施し、全国の学生3466名が回答した。

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調査方法
【機関】NPO法人ドットジェイピー
【対象】全国の大学生・大学院生:3,466人
 (属性の詳細はグラフ1)
【期間】2012年4月23日~6月8日
【方法】Webアンケート、紙媒体アンケート

政府の説明は「普通」?

 今回のドットジェイピーが行った消費税増税に関する意識調査では最初に、そもそも消費税増税の議論があったこと自体を認識していたかを聞いている。「選挙離れ」や「政治的無関心」を指摘される若年層が、調査時の政治的ビッグイシューだった消費税増税をどれほど認知していたかがわかる興味深い調査だ。

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 結果はご覧のとおり(グラフ2)。93.4%が「知っている」と回答した。テレビやネットのニュースで連日、取り上げられていたため、仮に政治に関心が薄くとも認知度は上がっていたはずだ。さらに、生活に密接する話題であるだけに、ほかの政治的話題よりも関心が高かったことは想像に難くない。

 次に、「知っている」と回答した人に政府の消費税増税に対する説明への納得度を質問したところ、「十分」「やや十分」と回答したのは1割にも満たなかった(グラフ3)。一方、「不十分」「やや不十分」と回答したのは42.3%である。この数字では、消費税増税の議論の内容が十分に国民に伝わっているとは言えない。特に、今回の調査対象のような積極的に政治情報を得ようとしない層(=若年層)への説明が不足しているのは、生活に与える影響が大きい内容だけに、今後の課題としてとらえていかなければならないだろう。

 さらにここでは、48.3%を占めた「普通」という“いまふう”の回答に注目したい。「普通」とはいったい、どのような理解度・納得度を示しているのだろう? 「過不足はない」「ちょうどいい」という意味だろうか? 「やや~」も含めて「十分」や「不十分」という回答は、消費税増税議論に対し“理解している”“理解しようとしている”という動きが見えるのだが、「普通」はその中身が見えてこない。ここにも「政治的無関心」が現れているということなのだろうか。だとしたら、この半数に迫る「普通」の多さに、小さくない問題が内在しているように感じる。

政府の説明不足が露呈

 政府の消費税増税に対する説明が「不十分」「やや不十分」と回答した学生の理由を、自由記入で聞いた中で多かったコメントは下記のとおり。

  • ・消費税増税の理由、用途・目的、効果などが不明確。
  • ・デメリットや必要性の説明がない。
  • ・具体的な説明を聞いていない。
  • ・増税以外の方法はないのか?
  • ・なぜ今なのか?
  • ・なぜ“消費税”なのか?
  • ・支出を抑える方策を何か実施したのか?
  • ・民主党のマニフェストになかったが?

 ここからは、消費税増税の理由や目的、メリット・デメリット、必要性などに対する圧倒的な説明不足が見えてくる。ただ、中には「国会中継をあまり見ないから、よくわからない」「ニュースをあまり見ていない」などのほか、「テレビを見ない世代は、どうすべきなのか」といった意見もあり、“情報に触れる機会が少ない”や“選別された情報しか得ていない”という政府の広報施策とは別な背景を指摘する回答も少なくなかった。

 情報が十分、不十分という問題だけでなく、“そもそも情報を受け取っていない”という層が、少なからず存在している。情報の発信者(=政府)と受信者(=有権者)のギャップを埋めるには、双方の意識の変化が必要なのではないだろうか。

消費税増税、賛成派が多数

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 次に、全員を対象に消費税増税に賛成か反対かを聞いた(グラフ4)。その結果、約半数が「賛成」「どちらかと言えば賛成」と回答。一方、「反対」「どちらかと言えば反対」と回答したのは37.0%だった。このうち「賛成」は16.6%であり、「反対」の15.1%を上回っている。

 ここで、それぞれの回答者の人数に注目してみる。

  • ・賛成 = 574人
  • ・どちらかと言えば賛成 = 1,087人
  • ・分からない = 521人
  • ・どちらかと言えば反対 = 759人
  • ・反対 = 525人
  • →賛成 + どちらかと言えば賛成 = 1,661人(賛成派)
  • →反対 + どちらかと言えば反対 = 1,284人(反対派)

 ちなみに、グラフ3の消費税増税に対する説明の納得度の実数は次のとおり。

  • ・十分 = 103人
  • ・やや十分 = 200人
  • ・普通 = 1,558人
  • ・やや不十分 = 749人
  • ・不十分 = 616人
  • →十分 + やや十分 = 303人(十分派)
  • →不十分+やや不十分 = 1,365人(不十分派)
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 これらの数字を踏まえて、消費税増税に「賛成」「どちらかと言えば賛成」とした人に、その理由を聞いたグラフ5をご覧いただきたい。61.0%(1,013人)の人が「社会保障費などをまかなうためにはやむを得ないから」を選択している。

 「賛成派」6割強が選択したこの「社会保障費などをまかなうため~」は、「不十分派」の理由の多くを占めた「理由や目的、用途・目的が不明」からはたどり着かない回答ではないだろうか。もしかしたら、「賛成派」(1,661人)の多くが「十分派」(303人)と「普通」(1,558人)から流れてきており、「不十分派」(1,365人)で「賛成派」となった人は少数だった可能性がある。

 つまりこれは、「賛成派」は「社会保障費などをまかなうため~」や「他の先進国に比べて消費税率は低い」「公的サービスの質の低下の歯止めになる」といった情報で“納得”しているが、逆に「反対派」は、それでは十分な説明になっていない、もしくは、その根拠や合理性の説明を求めている――という仮説も可能になってくる。ここから、賛成・反対の意識には、消費税増税の説明の中身や、どんな情報、どんな説明に接したかという部分が影響していることも考えられるのではないだろうか。

 一方、「賛成派」の理由を聞いた設問で「その他」とした人の回答で圧倒的に多かったのが、「国の借金(国債)を減らすために必要」だった。多くの学生が将来、債務超過に陥りデフォルトになってしまうことを懸念し、消費税増税もやむなしとしている。このほか、「震災復興のために必要」「いずれ上がるなら早い方がいい」などが目立っていた。

政府に対する不信感が「反対」の理由

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 消費税増税に「反対」「どちらかと言えば反対」とした人たちの理由をまとめたのがグラフ6だ。もっとも多かったのが「無駄の削減が先だと思うから」(42.8%)。これは、「無駄の削減ができていない」「消費税増税の前にやるべきことをやっていない」という政府に対する不信感をうかがわせる結果となった。

 このほかの理由では、「低所得者の負担が重いから」(17.2%)、「景気が悪い状況下ではデフレを呼ぶおそれがあるため」(12.1%)と続く。これは、実生活への影響を理由に挙げていると言える内容だが、景気がこれ以上低迷すると就職活動に悪影響があるという、学生ならではの発想も背景にあったのかもしれない。

 「反対派」の理由で「その他」を選んだ人の主な回答は以下のとおり。

  • ・増税しても期待する効果が得られるとは思えない。
  • ・政府がやるべきことをやってない、やる能力がない、信用できない。
  • ・消費税より、別な税金を上げるべき。
  • ・マニフェスト違反だから。
  • ・中小企業への影響が大きいから。

 ここでも、政府・民主党に対する不信感が目立った。各コメントを見ると、政府・民主党は公約を果たさず、コスト削減の施策も不十分なまま、負担を強いている――という認識を持っている学生が多いことがわかる。

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