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結婚式も子育ても親丸抱え「親リッチ」の人生観

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■親からの支援=苦しいからではなく、生活を楽しむため

データで確認してみましょう。親からの金銭的な支援を受けやすい年代である20代~30代に限定して親リッチ(以下、親リッチな若者)と親リッチ以外の20代~30代(以下、普通の若者)の親からの金銭的支援の有無を比較してみました。

親から金銭的な支援を受けている割合

電気代・ガス代、食費・日用雑貨品の購入費用といった日常の生活費に関して親から支援を受けている割合は、親リッチな若者と普通の若者でほとんど差はありません。ただし、この調査では親から支援を受けている金額については質問していないため、支援を受けている金額が異なる可能性はあります。

親リッチな若者と普通の若者で、親からの支援の有無に関して大きな差が出ているのが、「日常的な外食・レジャーの費用を出してもらう」(親リッチな若者が26%、普通の若者が15%)、「高額商品の購入時に費用を出してもらう」(同20%、8%)、「定期的にお金(お小遣い)をもらう」(同12%、6%)です。

日常の生活費ではなく、レジャーや高額消費に関して、多くの親リッチが親から支援を受けています。言ってみれば、生活が苦しくて親から金銭的な支援を受けているのが普通の若者で、生活を楽しむための支援を受けているのが親リッチな若者です。この点に関して、親リッチに聞いてみました。

■外食やレジャー、お小遣い、借金返済も

・親と一緒に旅行する時は一般的なホテルは使いません。泊まるのは、リゾートホテルか格式のある温泉旅館です。基本的な料金が高いうえに、ホテルの中で高いお酒を注文したり、ラウンジでプラスアルファの宴会をしたり、みんなで泊まって楽しむことに両親はお金を使っています。(30代男性、会社員)

・母方のおじいちゃんからお小遣いをもらって買い物をすることが多いです。毎回、2万円ずつ、合計すると月に10万ぐらいもらっています。2万円のお小遣いの代わりに、おじいちゃんのためにお使いに行ったりするみたいな感じです。(20代女性、学生)

・買い物をし過ぎてリボ払いで借金が膨らんでしまった時に、母に謝って借金分のお金を一括で借りて、すぐに全額返済しました。その時はお金がなかったので、借金を膨らませるよりも親から借りて返済するほうがよいと思いました。(20代女性、会社員)

これらのコメントから、親リッチな若者への親や祖父母からの金銭的な支援は、外食やレジャーだけでなく、定期的なお小遣い、借金の返済など多岐にわたることがわかります。また、親だけでなく祖父母からの金銭的な支援があることも見逃せません。

かつて、一人っ子が増えてシックスポケット(両親と両方の祖父母合わせて6つの財布があること)という言葉が流行(はや)りましたが、親リッチな若者のシックスポケットは、それぞれが巨大です。そう考えるなら、親リッチな若者1人当たりの消費へのインパクトは、普通の若者の数倍にもなるでしょう。

■結婚式も、家も、子育ても親が丸抱え

先に見たアンケートでは、「高額商品の購入時に費用を出してもらう」と回答した割合が、親リッチな若者に多かったのですが、高額商品とは例えば、どんなものを指すのでしょうか。

親リッチにインタビューしてみると、洋服や宝飾品といった贅沢品の購入だけでなく、結婚式、家や車の購入、子育てといったライフイベントを通じた消費を親や祖父母に依存していることがわかりました。

・車や家を買う時に両親に援助してもらいました。車はキャッシュで買いました。ローンを組むのは損だと思います。あとは指輪について、両親が亡くなった時に私と妹で喧嘩になるといけないからということで、姉妹2人に一つずつ同じものを買ってもらいました。(40代女性、専業主婦)

・私の親は、私の子どもが生まれた時のお祝いとして、ゆうちょにお金を入れて通帳ごとくれました。その後、子どもの進学など節目ごとにお祝いをもらっています。家を建てた時は、私の親と妻の親からそれぞれ1000万円ずつもらい、それを頭金にしました。(50代男性、会社員)

・夫の親は、私の子どもが生まれた時に「いちいち入学祝い、誕生日祝い、と言って渡すのは面倒くさいから100万円渡すわ」と言って、お祝いを一括でくれました。(50代女性、専業主婦)

■「目に見えない支援」が親リッチの人生を支える

結婚式、子どもの誕生、家や車の購入、子どもの進学など、親リッチの人生の節目のイベントや高額商品の購入には必ず親や祖父母の金銭的な支援が付いています。親や祖父母としても、何かしらの名目があったほうがお金を渡しやすいのでしょう。

また、金銭的な支援を受けた親リッチが現金で家や車を買うことも注目されます。ローンを組まずに現金で家や車を購入する若い人の中には、少なからず親リッチが含まれると考えられます。

親リッチが受けているのは金銭的な支援だけではありません。裕福な親や祖父母が持つ人脈、経験、社会的な地位に由来する、非金銭的な「目に見えない支援」が親リッチの人生を支えています。お金持ちには多額の資産があるだけではなく、「富を生み出すエンジン」があります。

■事業、不動産、地位や人脈も…

宮本弘之『親リッチ』(日本経済新聞出版社)

それは事業だったり、賃貸・投資目的の不動産だったり、医学や法律などの専門的知識や能力だったりします。また代々の資産家には、先祖から引き継いだネットワークや社会的な地位があります。つまり、お金持ちはお金の多寡だけでは測れない「見えない資産」を持っています。

お金持ちの持つ人脈を例にあげると、有能な税理士や弁護士、金融機関のプライベートバンカーや百貨店の外商といった専門家ネットワークです。親リッチは、親や祖父母を介して、このような専門家のネットワークにアクセスできます。

それ以外にも、裕福な親や祖父母には、地元の名士、有力な事業家、著名人とのネットワークがあり、親リッチの人生を支えます。信頼できる専門家にアクセスできることは、生きていくうえで大きなアドバンテージになります。

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宮本 弘之(みやもと・ひろゆき)
野村総合研究所コンサルティング事業本部 パートナー
1965年生まれ。90年、東京工業大学大学院理工学研究科修了後、野村総合研究所入社。2019年、埼玉大学大学院人文社会学研究科(経済経営学専攻、博士後期課程)修了、経済学博士。現在、野村総合研究所コンサルティング事業本部、パートナー。専門は金融機関の経営戦略・チャネル戦略・マーケティング戦略の立案と実行支援。
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(野村総合研究所コンサルティング事業本部 パートナー 宮本 弘之)

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