- 2019年12月04日 12:17
実質的にスポーツベット合法化?! 再燃するtotoくじ拡大論
さて、2015年に発生した読売巨人軍の賭博問題によって法案提出直前でとん挫することになったtotoくじ拡大論が再燃です。以下、毎日新聞からの転載。
国立競技場の運営費にtoto活用を検討 スポーツ議連が提言案
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20191203/k00/00m/050/324000c
超党派のスポーツ議員連盟は3日、東京五輪・パラリンピックのレガシー(遺産)を検討するプロジェクトチーム(PT)の会合を東京都内で開き、提言案をまとめた。大会後に国立競技場を有効活用するため、スポーツ振興くじ(toto)の収益金を運営に充てることを今後検討する。高収益のコンサート開催に向けた屋根の設置費や、維持管理費高騰の一因になっている大規模修繕費の積み立ての補助などが想定されている。
懸案となっている国立競技場の五輪後利用ですが、国としてはそもそもJリーグのクラブチームになんとか常用をして貰おうと画策していたものをリーグ側から無下にも突っぱねられ、当初計画されていたサッカー専用スタジアム化そのものが頓挫してしまったことで、完全に宙に浮いてしまっている状態。このままでは維持コストだけがどんどん積み重なってゆくということで、toto論議が再燃するのは時間の問題と言われていました。
一方、実はそもそもこれまでのtotoくじの拡大論はプロ野球への拡大が最大の「目玉」として水面下で論議が進んでいたのですが、先の読売巨人軍の不祥事以降、NPBはtotoくじの適用に対して相当「後ろ向き」になっているとの話が聞こえていました。それが、水面下で論議されていたtotoくじ拡大が、今の今まで表面化して来なかった理由ですが、今回の報道で拡大の方向をプロ野球に持ってゆくのではなく「Jリーグの1試合のみを予想する新方式」を主軸にすることに方針が切り替わったようです。
ギャンブル業界側に身を置く私としては当然、totoくじ拡大の方向性に関しては賛同であるわけですが、一方で「Jリーグの1試合のみを予想する新方式」に関してはナントモ悩ましいなあと言ったところ。
現在のtotoくじは、最大13試合の様相から最小3試合の各チームの得点を予想するものまでバリエーションが存在しますが「サッカーの複数かつ多数の試合結果の予想を行うことは原則的に難しく、ほぼ偶然性による勝敗にしかならない」という前提のもとで制度が形作られています。だからこそ、totoくじは宝くじと同様(=富くじ)に50%の控除率を一律に課し、一方でその当せん金に関しては所得税が非課税であるものとして処理がなされているわけです。
一方で、我が国では予想が出来る、すなわち技術介入の要素があり、人によって「勝てる/勝てない」の差が出て来る賭博というのは、原則的に公営競技だけとされてきたのが伝統で、そう賭け金額に一律25%の控除を課した後、それとは別に「勝ったプレイヤー」は払戻金に対する所得税を支払う。この様な運用が為されているのは、公営競技は「技術介入の要素があり、人によって『勝てる/勝てない』の差が出て来る」ゲームであるという前提に立っているからであります。これは、2018年に合法化され、2025年前後には我が国で誕生するであろうカジノに関しても、同様の運用となります。
となると難しいのが、今回のtotoに新たに追加することを検討しているとされる「Jリーグの1試合のみを予想する新方式」です。これまでtotoは「サッカーの複数かつ多数の試合結果の予想を行うことは原則的に難しい」という原則があるからこそ、宝くじと同様の運用が為されて来ましたが、その予想の対象が1試合の結果のみとなると基本的に諸外国で合法化されているスポーツベットと同様の賭博サービスとなってしまいます。だとするのならば、totoは公営競技やカジノと同様の賭博としての統制を行わなければならない…などと、実は制度論的にはなかなか一筋縄では行かないなあ、というのが専門家としての私の受け止めであります。
上記毎日新聞の報道によると、今回の検討を推進しているのはあくまで「スポーツ議連」であるとのこと。おそらくそこまで踏み込んだ制度的な課題検討などは行われておらず、検討に向けた大方針だけを示唆しているに過ぎないのだろうと想像しているところですが、これから起こり得る本格的な論議に向けて私自身も引き続き注視を行って参るつもりです。



