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「ダンスだけ特別扱いで規制されるのはおかしい」―「Let’s DANCE」呼びかけ人・中村弁護士に聞く

風営法の問題点について語る中村氏
風営法の問題点について語る中村氏

風営法に違反しているとしてクラブの摘発が続く中、坂本龍一氏、大友良英氏などが呼びかけ人となって風営法の規制対象から「ダンス」を削除することを目指す署名運動「Let's DANCE」@dance_shomei)がスタートした。多くのクラブが「客にダンスをさせた」として摘発されており、アーティストやクラブ関係者からはその厳しい摘発に対し、「ダンスを規制するのは時代にそぐわない」「クラブやライブハウスで生まれる文化に対する過剰な規制だ」などと強い反発が起きている。編集部では、6月10日に京都で行われたトークイベント「Let’s DANCE ダンス規制法を考えるつどい」を取材し、署名運動の呼びかけ人の一人である中村和雄弁護士に話を聞いた。【取材・執筆:村上隆則・永田正行(BLOGOS編集部)】

現状の風営法では「ダンスをするだけ」で規制対象

―まず簡単に自己紹介からお願いします。

中村弁護士(以下、中村氏):私の本業は弁護士です。27年間、労働者の解雇や行政関係の情報公開などの案件を中心に弁護士活動をしてきました。また、東京の方はあまり知らないかもしれませんが、2回ほど京都府市長選挙に立候補した経験があります。

―この問題については、以前から注目されていたのですか?

中村氏:僕自身はディスコに行ったことはありますが、最近のクラブに出入りしていたわけではありません。ですので、こういう状況になっているということは、ほとんど知りませんでした。

―では何故「Let's DANCE」署名活動に関わったのでしょうか?

中村氏:市長選に出馬し選挙活動をしていく中で、若い人たちに市政について関心を持ってもらうことを目的に、何回かクラブを借りて集会をやりました。その時に、参加者から「実はいまこんな状態になっている。中村さんは市長になったらどう考えていますか」ということを言われたんです。

―当時は「若年層を取り込もうとしている」という声もあったようですが。

中村氏:僕自身は、この問題については市長選が終わってからやろうと思っていたので、資料をいただいた時も「市長選が終わったら勉強します」という返答をしていました。しかし暇な時間ができて、家で資料を読んでいたら腹立たしくなってきた。どう考えてもこれは行き過ぎだし、何も悪いことをしていないのに踊ることを禁止される。これはおかしいのではないか、と思いました。これはヒドすぎると思って、この問題についてブログに書いたら多くの方が反応してくれた。結果的に市長選は落選してしまいましたが、市民の方から問題提起されたことですから、その後も法改正へ向けて活動を続けているというわけです。

―現状の風営法の問題点は、どのあたりだとお考えですか?

中村氏:おかしなところはたくさんあると思いますが、現状では「踊るということ」、ダンスをさせるだけで規制対象になるんです。しかし、ダンスは中学校体育の必修科目に入っていますし、健全なスポーツだということは公認されているはず。まるで「ダンスは不健全だ」と言わんばかりです。

ダンスをする場所だということで様々な許可をとらないといけない。これはどう考えてもおかしい。歌うことやスポーツをすることは、個人の自由ですよね。それなのにダンスだけ特別扱いされて規制される。しかも一昨年あたりから、許可を取っていないということ深夜1時を超えたということで、どんどん摘発が始まっている。これはひどいと思いました。

「クラブは健全な場所」ということをアピールする必要がある

―今後クラブの関係者たちは、どのように対応していけば良いのでしょうか?

中村氏:僕は弁護士ですから、法律を変えたいという思いがあります。しかし、それと併せて、クラブというものが非常に健全で、若者が多くのことを学んでいく空間であるということを理解してもらう必要がある。

現状では、比較的年長の人が、クラブに対する適切なイメージをつかめていないですよね。京都だと昔暴力団の組長が射殺された有名な「ナイトクラブ」がありますが、そのイメージがクラブだと思われている。今若者が通っているヒップホップのクラブは、昔の人たちが描いているようなイメージとは違う。健全だし、ちゃんとしているということを理解してもらう。そして、クラブに集う人たちも、適切なイメージを広めていく必要があると思います。

―ロビー活動など、外に向けての活動をしっかりやっていかねばならないと。

中村氏:一部で警察が取り締まりの理由としている点に、付近の苦情や騒音、ゴミといった問題があります。そういう問題に対する対応を、お店はもちろん利用者も一緒に解決していく。また、ドラッグの問題については、一部のクラブでそういうことがあるとすればクラブとしての経営を辞めてもらう、そういう人たちとは一緒に運動しないといった対応をして、「クラブというのは健全なところ」だとアピールする必要があると思います。

―例えばクラブ同士で事業者組合のようなものを作っていく、ということをやったほうがいいということでしょうか?

中村氏:ウチは暴力団を入れません、ドラッグを使う人たちを一切立ち入りさせませんというルールを作ったほうがいい。イベントに参加している人たちにも言っているのですが、現在規制が必要だと考えている人たちにもクラブの現状を見て貰って、若者がクラブでどういうことを感じどういう思いでいるのかをぜひ知ってもらいたい。クラブ関係者側からも、中高年の方々にクラブの存在意義を、呼びかけてほしいですね。

―運動に関わってみて、法改正の方向に進んでいくと思われますか?

中村氏:皆今の規制はどう考えてもおかしいと思っていますから。なぜダンスだけこんなに厳しいのか。私たちは10万人の署名を集めることを目標に活動していますが、そういう気持ちがどんどん集まっていけば法改正することは十分に可能だと思います。

―今後も中村さんはこの活動に携わっていくと。

中村氏:もちろんです。法改正まで頑張りたいと思います。

―本日はありがとうございました。

プロフィール:中村 和雄
弁護士。2008年、京都市長選に出馬。同和問題の解決や高速道路建設の中止を公約として掲げるも、951票の僅差で敗れる。2012年には脱原発を掲げふたたび京都市長選に出馬するも31794票差で敗れた。政治イベントをクラブで行ったことをきっかけに、今回の運動の呼びかけ人となった。公式サイト

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