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【原発事故と避難の権利】「新たな分断持ち込むな!」〝自主避難〟全否定した被告国の暴論に「群馬訴訟」原告らが怒りの抗議声明

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原発事故で群馬県内に避難した人々が国や東電と争っている「群馬訴訟」の控訴審(東京高裁)の原告が、改めて怒りの声をあげた。国が今年9月の口頭弁論期日で「(福島に暮らしている)住民の心情を害する」、「国土に対する不当な評価となる」などと避難指示区域外からの避難(いわゆる〝自主避難〟)を全否定する主張を準備書面で陳述した問題に関し、2日夕の記者会見で抗議声明を公表。怒りをこめて撤回を求めた。会見には、福島県内に暮らしながら裁判を続けている「生業訴訟」の中島孝原告団長も同席。在住者の立場から「避難の有無で分断するな」と声をあげた。

【「〝自主避難〟責める仲間いない」】

 「ひと言だけ、すみません」

 約1時間にわたって開かれた記者会見が終わろうとした時、「群馬訴訟」原告の1人、丹治杉江さん(福島県いわき市から群馬県前橋市に避難継続中)が心情を吐露した。

 「避難元のいわき市の仲間たちは、私が避難した事を決して責めたりしません。逆に、群馬で暮らす事を応援してくれる人がたくさんいます。それなのに、国がこんな事を裁判という公の場で主張した事に憤りを感じています。群馬訴訟の原告たちはなかなか顔を出して主張する事が出来ないのですが、悔しさを抱えています」

 「私が前橋地裁での一審判決で得た賠償金は18万円です。それでも『たくさんの賠償金をもらったんだろ?』という言葉を常に浴びます。こうして裁判を続けていると『まだ金が欲しいのか?』と言われます。顔と名前を公表して闘うのは本当につらいんです。もうやめてしまいたいです。原発事故から8年9カ月が経ちました。本当につらいです。いわき市の自宅を手放し、夫と2人で群馬県に〝自主避難〟をし、仲間たちと裁判を起こしました。私たちは、とても言葉では言い表せないくらい、つらい想いをたくさんしました」

 そもそも、なぜ原発事故の被害者が司法の場で闘わなければ救済されないのか。なぜ正当な救済を求めているだけなのに周囲から責められなければならないのか。挙げ句、なぜ〝加害当事者〟である国に分断を加速させるような主張をされなければならないのか。丹治さんはこみ上げるものを押し殺すように、次のように言葉をつないだ。

 「でもね、今回の国の主張を読んで、絶対に負けるわけにはいかない、黙るわけにはいかない。この裁判に負けてしまったら未来の子どもたちに申し訳が立たない。そして〝自主避難〟して声をあげられない仲間たちのためにも頑張らなければならないという想いに改めてなりました。8年9カ月間、原発事故で苦しんでいるのは〝自主避難者〟も避難指示区域内避難者も、避難をせずに福島県内で暮らしている人々も同じです。国や東電はきちんと事故の責任を取っていただきたい。時期や区域で一方的に線引きしないでいただきたい。そういう想いでいっぱいなんです」


記者会見で抗議声明を発表した丹治杉江さん(右)。左は「生業訴訟」の馬奈木厳太郎弁護士=福島県庁内の県政記者クラブ

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