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民主党の規約(ルール)

皆さんもご存じの通り、先日の26日に社会保障と税の一体改革に関する法案が衆院を通過した。党内に反対や欠席・棄権する議員もいたが、なんとか3党合意の中で衆院を通過した。その前後で、党の政策決定手続きに対する疑問の声が党内やマスコミから出ている。政治評論家と呼ばれている方を含むマスコミの中には「民主党には党規約はない」などと発言している方がいるが、全くの事実誤認である。「党規約・代表選挙規則検討委員会(以下「党規約等検討委」とする)」の事務局であった私としては説明、反論しておきたい。

党規約の第9条第1項の3(2012年1月16日の党大会承認)に「党の政策に関して、常任幹事会の承認を得た政策決定手続きにもとづき、審議、決定する」とある。常任幹事会の承認を得た政策手続きとは、“政府・民主3役会議”であり、野田執行部が誕生した際の常任幹事会で承認され、両院議員総会でも異論が出なかった手続きの方法である。

党規約等検討委での議論が次のようである。政権交代後、鳩山執行部の時の政策決定は専ら政府に委ねられており、党内で政策を議論するいわゆる政策調査会は廃止された。一方で、陳情や要請を一括して受け付ける幹事長室(当時・小沢一郎幹事長)だけが政治的判断で政府に対して物申す機関として認められていた。つまり、政務3役と幹事長室の幹部以外は事実上政策にタッチできない仕組みであった。

次に菅執行部になって、党所属の国会議員からの要望もあって政策調査会(以下「政調」)が復活し、政策や法案を審査するように変わった。また、国家戦略担当大臣(当時・玄葉光一郎大臣)が党の政調会長を兼務した。ここでは党所属国会議員は政調のもとに設置された部門会議やPTなどに参加し、意見交換をする機会が得られた。

その後、野田執行部では、国家戦略担当大臣と政調会長の兼務は解かれ、あわせて政調会長(現・前原誠司政調会長)の権限を強くした。つまり、政調で承認を得ていない法案は提出できない仕組みに変わり、党の権限が強化された。そして、その政策の最終決定は、首相や官房長官のほかに幹事長や政調会長などが加わった「政府・民主3役会議」に委ねられ、その決定過程では政調会長に政策内容を一任できる仕組みとした。

このように、政権交代後は党の代表が替わるたびに政策の決定手続きが変わってきた事実がある。党規約等検討委では、この3度の変更を考慮し、「現時点では政策決定手続きの方法を定めてしまう段階ではなく、より良い方法を探るためにも試行錯誤があって良い」との判断で、上記で示した第9条の条文に落ち着いたのである。この政策決定手続きは、役員会、常任幹事会、両院議員総会、党大会と4段階の手続きを踏んで承認された内容である。よって、党内手続きは、少なくとも党所属の国会議員に対しては、極めて明確であると私は考えている。

合同部門会議では「社会保障と税の一体改革は単なる政策や法案ではなく、党の将来がかかっている。よって、両院議員総会で決を採るべきだ」との主張があった。実は「党規約等検討委」でも“政策とは何か”については議論があった。結論は、「政策調査会で検討していることを政策と位置づける」とした経緯がある。例えば、選挙制度などは現在幹事長室が中心となって検討している。このような場合の幹事長が座長となる。しかし、今回の社会保障と税の一体改革は、最初から政策調査会に属する『社会保障と税の一体改革調査会』や『税制調査会』、各部門会議(総務・厚生労働、財政金融、文部科学等)で検討してきたし、そのことになんの違和感もなく議員は議論に参加してきたはずだ。それを今になって、「それは単なる政策ではない」と言っても説得力はない。よって、党規約の第9条で定めた手続きで決めることは何も問題はないと私は思っている。

少し長くなってしまった。ただ、党の規約は明確であり、そしてこの度の決め方には何も瑕疵がないということを知って欲しい。野党時代の政策決定は、いわゆる『次の内閣』だったが、旧党規約では政権政党に就いた場合を想定した政策決定手続きは決めていなかったことは事実である。つまり、政策決定の手続きに関しては、今年の1月の党大会で改正が承認されるまでは、野党であることが前提の党規約しかなかったことになる。それはそれで恥ずかしい話ではあるが、改正した今の党規約は、与党経験を積むことによってより良い方法が確立していくことを想定している。
党外の方々にはわかりにくいことも認めつつも、党内から不明確と批判されるのには違和感がある。そもそも党規約を両院議員総会等で承認したのは党所属の国会議員だったはずである(2012年6月28日)。

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