記事

金正恩氏が愛する「女性兵士」たちの人には明かせぬ苦しみ

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は25日、金正恩党委員長が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第5492軍部隊管下女性中隊を視察した。同中隊は、韓国との軍事境界線に近い前線に駐屯している。

同通信によれば、金正恩氏の祖父である金日成主席と父・金正恩総書記は生前、この中隊の女性兵士たちを特に気にかけていたという。

そのような経緯もあり、金正恩氏は「教育室で教育手段と文化娯楽器具の利用実態について調べ、こじんまりと整えられた寝室、食堂、洗面・浴場で何の不便もなく暮らす女性兵士たちの生活ぶりを見て喜びを禁じ得なかった」という。

性上納行為「マダラス」

同氏はさらに、「中隊女性軍人みんながわが党の革命精神で徹底的に武装された女性革命家、真の党の娘になることを願うと温かい信頼を与え、双眼鏡と自動小銃を記念に授与」したという。

女性兵士を思いやる金正恩氏の気持ちは、本心からのものかもしれない。しかし、朝鮮人民軍の女性兵士たちの大多数は、そのような愛情が届かないところにいる。

金正恩党委員長は今年に入り、軍内で蔓延する性暴力に対して厳正に対処する方針を示した。

(参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、2月下旬から軍において「反性暴力闘争」が始まった。軍の幹部による、女性兵士に対する言語的、身体的な性暴力の根絶を目的としたこの闘争は、金正恩氏の指示に基づくものだという。

指示では、女性兵士の待遇を改め、性的暴力を根絶すると同時に、女性兵士に対しては「不当な上納要求、暴力に対しては信訴を行う」ように求めている。

信訴とは、上官からの理不尽な要求などを訴える制度を指す。しかし、「性暴力は被害者にも落ち度がある」とみなす北朝鮮の社会風土において、女性が名乗り出ることは非常に困難を伴うものだ。

(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

また、「マダラス」などと呼ばれる性上納行為を強要する上官の権力は絶大で、抗うのは簡単なことではない。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

情報筋も、「女性兵士たちは今回の指示で上官による性暴力、犯罪がなくなることを期待しているが、軍隊ではあまりにも頻繁に行われているので、一朝一夕になくなることはないだろう」と語っている。

※デイリーNKジャパンからの転載

あわせて読みたい

「金正恩」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    森ゆうこ氏への請願黙殺する自民

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  2. 2

    Uberで性暴行 約半数は客の犯行?

    島田範正

  3. 3

    高圧的な立民 野党合流は困難か

    早川忠孝

  4. 4

    志村どうぶつ園出演の家族に疑惑

    文春オンライン

  5. 5

    自営業者にも厚生年金を適用せよ

    PRESIDENT Online

  6. 6

    ジャパンライフと政治家の蜜月期

    文春オンライン

  7. 7

    中村哲医師はなぜ銃撃されたのか

    NEWSポストセブン

  8. 8

    中村医師巡る首相対応に「失格」

    天木直人

  9. 9

    安倍首相の虚偽答弁 新たに判明

    田中龍作

  10. 10

    「サイゼ料理をアレンジ」は面倒

    fujipon

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。